高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

コーヒーゴマフボクトウ(西表島編7)

2010年03月09日 09時13分16秒 | Weblog
灯火に白い蛾が飛んできて地面を這っている。
ボクトウガの仲間だ。

四国でよく目にするのは普通種のゴマフボクトウだが、これは奄美大島以北に分布しているので、八重山諸島で見つかる個体はクロシオゴマフボクトウまたはコーヒーゴマフボクトウということになる。

背中の黒紋がほとんど見られないこと、前翅の黒色紋が小さく後翅の形状比較などからこれはコーヒーゴマフボクトウの方だと同定した。

この夜飛来したのはこれ1♂のみだったので、ゴマフボクトウほど多くはないようだ。

トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖縄本島、石垣島、西表島、マレーシア、インドに分布している。
幼虫はコーヒー、チャ、ワタを食べる。

(撮影:西表島大富 2007.5.15)

オオエグリノメイガ(西表島編6)

2010年03月08日 08時36分29秒 | Weblog
あれっ! これはいったい何だろう?
よく見ると蛾のようだが、茶色で何とも変わった細長くゆがんだ翅、腹部はうろこのような模様が見られる。
このグロテスクとも思えるからだつきは木の枝に似せた擬態なんだろうか。

大図鑑で調べるとこれはオオエグリノメイガだった。
これはメイガ亜科には見えない。
ノメイガの仲間にこのような体型をもつ種がいることには驚きだった。

大図鑑の解説では、インド~マレーから太平洋の島々に分布している本種の幼虫は、南米原産のマメ科カイコウズ類の枝やサヤに食入するので、食樹とともに世界の熱帯圏に運ばれ、土着したものと推定される。琉球ではデイゴの葉につくという。

日本では奄美大島、徳之島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島ほか、奄美大島以南に分布している。

(撮影:西表島大富 2007.5.16)

ウスグロイラガ(西表島編5)

2010年03月07日 09時57分03秒 | Weblog
おっと危ない!
気づかず危うく踏みつけそうになった。
茶色の地面に同じ茶色の蛾が止まっていて保護色となり夜間はわかりづらい。

これはいったい何だろう?
イラガの仲間らしいがどうも見覚えがない。
帰宅してじっくり蛾類大図鑑で見直した結果、やっとウスグロイラガの♀であることがわかった。

見覚えがなかったのも道理で、蛾類大図鑑に出ているウスグロイラガは♂だけで開張29mmしかないが、この♀は開張41mmもあるのだ。
雌雄でこれほど大きさが違うとは意外であった。

♂は触角が櫛歯状で、♀は糸状をしている。

台湾で発表された種で、これまで沖縄本島、石垣島、西表島、台湾で発見されているが、沖縄では少ないらしく、今回の旅ではこの1頭しか出会うことができなかった。

(撮影:西表島大富 2007.5.15)

ウスオビクチバ(西表島編4)

2010年03月06日 08時52分58秒 | Weblog
ウスオビクチバは奄美大島以南、西表島まで分布していることになっている。
しかし、移動性が高くトカラ列島、九州、四国、本州でも散発的に発見例されていてこれは偶産といえるだろう。

私は四国ではまだ見たことなく、この西表島で灯火に飛来したのが最初の出会いとなった。
沖縄では普通種で、昼間草地でも見られるということだ。

♂は後脚全体が毛に覆われ、後翅の裏面も全面に毛がある。
♀は一般に赤みを帯びる。

国外では台湾、インド、太平洋諸島、オーストラリアと広く分布している。
幼虫はイネ科その他の単子葉植物を食べるという。

(撮影:西表島大富 2007.5.17)

イリオモテアオシャチホコ(西表島編3)

2010年03月05日 09時06分53秒 | Weblog
イリオモテアオシャチホコは西表島特産のシャチホコガである。

前年に同地を訪れたときは全く姿を見せてくれなかったが、今回は7♂2♀も灯火に飛来してくれた。

前年とは一週間ほどの違いだが、丁度発生期に恵まれたのだろうか。
3月から10月にかけて長期間見られるという。
西表島ではそれほど珍しくはなさそうだ。

石垣島や西表島ではこのような金緑色に輝くシャチホコガは他にナチアオシャチホコもいるが、そちらと比べるとこのイリオモテアオシャチホコは色濃く、より神秘性を感じてしまう。

かねてより出会いたいと願っていただけに嬉しさもひとしおだった。
山中に入らないと見られないようだ。

幼虫や食草はわかっていない。

(撮影:西表島大富 2007.5.15)

アトホシボシアツバ(石垣島編2)

2010年03月04日 09時14分33秒 | Weblog
アトホシボシアツバは日本では1989年に石垣島で最初にGA-SHOWさんが発見したことが1994年「蛾類通信No.178」に出ている。

西表島でライトトラップに飛来したこの個体の色模様を見たとき、蛾類大図鑑には出ていないが何だか見覚えだけはあった。

西表島では初記録となるらしい。
このことはネット以外では発表していなかったが、今年「誘蛾燈No.199」で西表島で2009年に発見されたという報文が出ている。

濃褐色の地に白紋が波状に並んだこの模様はなかなか美しいと思う。

日本ではこれまで石垣島と西表島で発見されているが数個体しか確認されていないようだ。
国外ではインド北部、スリランカ、スンダランドに分布しており、台湾からはまだ発見されていない。

(撮影:西表島大富 2007.5.17)

アトアカヒトリ(西表島編1)

2010年03月03日 08時44分49秒 | Weblog
白いヒトリガが灯火に飛来してきた。
見ると後翅がピンク色である。

何だ四国ではどこでも見られる普通種のスジモンヒトリかと思ったが、ほかに飛来蛾も少ないので念のため撮影後持ち帰ることとした。

旅行から帰って改めて撮影画像をじっくり見直すと、背中に黒紋があるではないか。
何だか違うことに気づき、あわてて蛾類大図鑑を開いて探した結果、やっとこれはアトアカヒトリだとわかった。

これまで国内では石垣島と西表島で見つかっているが、わずかしか得られていない珍しい種であること、また今回西表島では初記録になることもわかった。
今回の旅では民宿の軒下に設置したライトトラップにも飛来があり、計2頭得ることができた。

翌年同時季に同場所で試してねらったが、再び出会うことはなかった。
やはり珍しい種なんだなと実感した次第である。

海外では台湾に分布している。

(撮影:西表島白浜 2007.5.22)

モンシロホソバ(石垣島編18)

2010年03月02日 08時40分29秒 | Weblog
今回のブログ石垣島編で最後に紹介するのは、以前2008年1月3日にもこのブログでも蛾類通信246の表紙の形で紹介した日本初記録となるモンシロホソバ♀である。

この夜は夕方心配していた風雨も幸い止まり、曇り空の絶好の気象条件に恵まれた。
灯火に飛来する蛾は多いけれど、ほとんどが見慣れたシロスジヒトリモドキやキイロヒトリモドキばかりである。
昼間は見られず、これほどたくさんどこに潜んでいるのだろうと思ってしまう。

夜もふけて新たにライトトラップに飛来する蛾も減り一息ついた10時20分頃、何気なく見た蛾の群れの中に1つだけ見慣れない模様の白い蛾が目に止まった。
黒い帯がある。
図鑑や報文では見たことがなく、一目でこれは日本未記録種だと気づいた。

帰宅してネットで問い合わせた結果、いろいろな方の教示をいただき種が判明し、K氏のお力を得て公表することができた。

モンシロホソバはインド北部、インドシナ、マレー半島、中国、台湾に分布していて日本で見られるヒトリガ科コケガ亜科では最大級の大きさ(この♀は開張56mm)になる。
今回発見した個体は偶産種ではないかと思われる。

幼虫の食草等はわかっていない。

(撮影:石垣島野底岳 2007.5.19)

ミナミフタキボシアツバ(石垣島編17)

2010年03月01日 08時44分22秒 | Weblog
ミナミフタキボシアツバは前翅の腎状紋が細長で黄色く、下に黒紋がある。

この画像のように止まった状態で見ると、まさに寄り目顔に見えてとてもおもしろい。
ウオーッと思わず声を出しそうになってしまった。
自然界で特に意味ある紋様ではないかもしれないが、何だか生物界の不思議さを感じてしまう。
これも天敵から身を守るためそなえられた擬態なのだろうか?

石垣島と西表島に分布している。
幼虫の食草等はわかっていない。

(撮影:石垣島野底岳 2007.5.19)