高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

ムラサキトガリシャク♀(石垣島編13)

2010年03月15日 08時56分25秒 | Weblog
ライトトラップから少し離れた地面に美しいうす紫色の大型の蛾が止まっている。

前翅先端が尖り、斜めの筋模様がある特徴から考えるとカキバトモエしか頭に浮かばない。
それにしては色模様がずいぶん違うようだが八重山ではこのように変異するのだろうかと思っていた。

宿に帰り図鑑を取り出して現物と比較してみると全く別物ではないか。
では何者か、ページをめくって探す中でムラサキトガリシャクが合致することがわかった。

講談社の蛾類大図鑑には♂の個体しか図示されてない。
♀はずっと大きく前翅も丸みを帯びていて形状が異なることからすぐには気づかなかったのだ。
それにしてもこれがシャクガの仲間とは思えなかった。

高知県では同属のハスオビトガリシャクが見られるが、♀はこれほど大きくなく、さらに前翅の形状も雌雄の差異は少ない。

石垣島、西表島、台湾、中国西部、マレー半島、ボルネオ、スマトラ、インドに分布し、いくつかの亜種に分かれている。
八重山での採集例はあまりなく、この旅でもこの1頭しか得られなかったので少ない種ではないだろうか。

(撮影:西表島大富 2007.5.17)