雪しきり降りて水面に積らむか
誰か来てうしろに佇てる流氷野
冬渚釦のような貝燦と
妻に今年は一度も近くで見ていないと言われ、冬の渚で接岸した流氷を見に行った。これが海かと思う海氷原である。人の気配に振り返ると観光客が吐息まじりに見惚れていた。忘れられたかの様に浜砂にめり込んで煌めく釦の様な貝が印象的だった。
誰か来てうしろに佇てる流氷野
冬渚釦のような貝燦と
妻に今年は一度も近くで見ていないと言われ、冬の渚で接岸した流氷を見に行った。これが海かと思う海氷原である。人の気配に振り返ると観光客が吐息まじりに見惚れていた。忘れられたかの様に浜砂にめり込んで煌めく釦の様な貝が印象的だった。
流氷に埋め尽くされた海でなければ、この句のような詠みはなかなか出来ませんね。寒さ厳しい地で生活する人々の声にも聴こえます。
「海氷原」という言葉も初めて目にしました。
流氷野という言葉は初めて目にしましたが、その現場に立って眺めればなるほどと思うでしょうね。毎年見慣れた光景とはいえ、自然の織り成す巨大な仕組み、脅威も感じて感慨を新たにされている作者がよく窺えて素敵な句です。「うしろに佇てる」の中七の語句に、作者もまた、見惚れておられた様子を巧みに表現されていると思いました。