・艫(とも)綱に弛み秋の夕凪ぎる
・放牛の離るを拒む秋の牧
・秋草にえのころ草は触れなんと
・万珠沙華炎えてもえて影のなく
放牧の牛に売られゆく時期が来たのだろうか、閉牧にはまだ間があるのに、梃子摺らせて車に積まれて行く牛の光景に出会った。自由な牧を去りがたいのか、売られることを察知しての抵抗かは知る由もないが、青空牧場から牛が減ってゆくのは寂しい。
・放牛の離るを拒む秋の牧
・秋草にえのころ草は触れなんと
・万珠沙華炎えてもえて影のなく
放牧の牛に売られゆく時期が来たのだろうか、閉牧にはまだ間があるのに、梃子摺らせて車に積まれて行く牛の光景に出会った。自由な牧を去りがたいのか、売られることを察知しての抵抗かは知る由もないが、青空牧場から牛が減ってゆくのは寂しい。
御句から、単純に春から秋へと、自由に草を食んでいた牛も、牧舎に返される時が来た。牛が嫌がって四肢を突っ張っている様子に、一抹の寂しさと、牛への情を禁じえません。生きるものの、定めの苛酷さを思い知らされます。