英語教師のひとりごつ

英語教育について考える。時々ラーメンについて語ることもある。

英語の語順に慣れるための指導

2014-05-31 22:17:31 | 日記
英語の語順は日本語とかなり異なるため、特にアウトプットの際には語順(狭い意味での統語的知識)を明示的に学ぶことは重要だと思います。5文型という古典的な分類方法は、英語を理解する上でかなり有効だとは思いますが、もちろん不十分なところもあるわけで、その後7文型や8文型のような分類が生まれたわけです。あるいは認知言語学的な観点からの分類もなされているわけで。では教育的な観点でどれがふさわしいのかとなると、「まぁあまり複雑になりすぎるのもあれだし、今までどおり5文型でいっか」と然したる議論がないまま現状維持でいるところがなきにしもあらず、と思わずにはいられないわけで。しかし、高校で使用している学校文法書はほぼすべて、大学の先生方の監修(時には執筆)を受けているのに、文型の記述については示しあわせたかのように5文型を採用し、独自性は0です。これはおそらく教育的妥当性を考慮すれば、それほど間違った判断ではないとは思います。つまり、複雑な規則を教えることの確実な有用性が7文型や8文型に存在するとも思えないのです。一部の事例をうまく説明できないからといって、その有用性を否定するのではなく、現実的な理解のしやすさから5文型が選択されている、といったところなのでしょう。

さて、やたらと前置きが長くなりましたが、私はだから5文型に賛成、という立場ではありません。ここ2年くらい実験的に採用しているのが田地野(2011)が紹介している「意味順」という考え方です。これは「だれが、する・です、だれ・なに、どこ、いつ」と意味で分類し、並べることで語順を習得していく、という考え方です。これに従えば、ほとんどすべての構造を上の語順で説明でき、5文型のような規則さえ不要になるので非常に便利です。もちろんすべての統語的構造を説明できるものではありませんが、それは他の文型にも共通していえることです。「意味順に置き換えて指導することで飛躍的に英語が伸びました」なんて怪しげな誇大広告をする気はありませんが、少なくとも時間や労力がかなり節約でき、そのぶんを別の活動に充てることができるのは大きなメリットです。

それにしても時々教科書やワークブックに出てくる「これと同じ文型を選べ」という形式の問題、いい加減やめませんか?と思ってしまうのは私だけでしょうか。


【参考文献】
田地野彰.(2011).『〈意味順〉英作文のすすめ』.岩波書店.

旭川 OASIS(オアシス)のスープカレー

2014-05-31 17:38:40 | グルメ
旭川は最近スープカレーのレベルが高いので、スープカレー好きの私にとってはうれしい限りです。その中でもとてもおいしい店を発見しました。

OASIS(オアシス)という店の名前のとおり、こじんまりとした店内は非常に清潔感があり落ち着きます。そしてチキンフランクと野菜のスープカレーを注文しました。


見た目もきれいで、さらに味もめちゃくちゃおいしかったです。スープとしてもおいしく飲める味で、野菜のおいしさが引き立ちます。チキンフランクもチキンとは思えないほどジューシーです。超おすすめです。

意外と知らない英語の常識

2014-05-30 19:53:23 | 日記
今回は意外と知られていない英語の常識について。その中でも初めて会ったときの挨拶について考えてみます。もちろんはじめて会った時には次のように言うのが一般的でしょう。

(1)Nice to meet you.

しかし、意外と知られていませんが、これははじめて会った人への別れの挨拶としても使われます。しかし、別れる時には本来は次のようにいいます。

(2)Nice meeting you.

文法的に正しいのは(2)のほうですが、実際には(1)の方が用いられていると思います。また、2回目以降に会った場合の挨拶では、次のように言うこともできます。

(3)Nice to see you (again).

これは別れの時にも用いられます。もちろん正確には次のようにいうのが正しいでしょう。

(4)Nice seeing you.

しかし、(3)のように言う人が多いと思います。

次に動詞のdoについて。意外とどのような場合に用いられるのかわからないようです。次のような例は暗記している人も多いと思います。

(5)I did my homework.

宿題をする場合にはdoが用いられます。それ以外にはなかなか使いづらい、と思っている人も多いようですが、家事に関することについてはdoで済ましてしまうことが多いと思います。例えば次のような例があります。

(6)I have to do the laundry.(洗濯しなきゃ。)
(7)Can you do the dishes?(食器洗ってくれない?)
(8)I did the ironing.(アイロンがけをした。)

このように家事にかんする表現は、会話ではdoを使って済ましてしまうことが多いのです。代表的なこれらの例文は覚えてしまったほうが手っ取り早いでしょう。こういったコロケーションの問題はまずしっかり例文を暗記することで身についていくものです。特に特定の名詞と動詞の結びつきは意識して覚えることが非常に大事ですね。


海外ドラマに夢中になる

2014-05-25 20:05:00 | 日記
英語を勉強するために海外のドラマや映画を観る、あるいは逆に海外のドラマや映画を観ていて英語を勉強しようと決意する。どちらも重要な英語学習のきっかけです。私は日頃から海外ドラマや映画をよく観ますが、楽しみながら英語を学べるのはすばらしいことです。ただし、海外ドラマで英語を学ぶにはベースとなる知識がかなり必要だということもまた事実ですが。とっかかりとしてはトイ・ストーリーなどのアニメやアルフやフルハウスなどのsituation comedy(これをsitcomといいます)は比較的とっつきやすいでしょう。

また、ある程度土台ができれば、フレンズは非常に優れた学習教材になります。また、シンプソンズはアニメですが、アメリカの文化を学ぶこともできる大人のアニメです。

私の最もおすすめの海外ドラマはchuckです。シーズン5をもって惜しまれつつも終了しましたが、おもしろくてDVDボックスまで買ってしまいました。観た人は100%(といっても過言でないくらい)イヴォンヌ・ストラホフスキーという女優さんの虜になります。さらにそれだけでなく、1人ひとりのキャラが濃く、観ていて飽きません。最終回や特典映像の出演者のコメントに思わず涙してしまいます。主に笑いあり、そして感動もあるchuckが映画化することを心底望みます。最終回をまさに今日見終わった私は、何を楽しみに生きればいいのでしょうか。。。

イヴォンヌ・ストラホフスキーに恋をして英語を勉強したいと思う人が増えるなら、それはそれでawesome!です。

Why don't you ~?の悩ましい問題

2014-05-25 08:03:00 | 日記
Why don't you~?はどの高校教科書や文法解説書を読んでも「提案や勧誘」を表す、と載っていますが、実際に使われている用法を観察してみると、そうとはいえないものにかなり遭遇します。もう少し広く捉えなければこの用法を使いこなすことはできないでしょう。

まず押さえておかなければならないのは、Why don't you~?もHow about~?も「提案や勧誘」を表すのですが、Why don't you~?のほうが少し強く響くので、「助言」と捉えられる場合がある、ということです。特にWhy don't you~?はわりと親しい間柄で用いられるのが普通です。例えば友達を自分とどこかへ行くように誘うときには次のようにいいます。

(1)Why don't you come with me?(一緒に行かないか?)

このような用法だけでなく、もう少し強い意味、つまり「助言」として用いられると、次の例のようにも使えます。

(2)Why don't you go to the beach?(ビーチに行ったらどうだい?)(Huddleston&Pullum(2002;906)より)

Huddleston&Pullumも述べているように、Why don't you~?はshouldのような意味合いで用いられています。他にも例えばタバコを吸いすぎている友人に対してこのようにいうこともできます。

(3)Why don't you quit smoking?(タバコはやめたら?)

これは「助言」ともとれますが、場合によってはもう少し強く「軽い命令」ともとれます。柏野(2006)は軽い命令あるいは依頼として以下の例を挙げています。

(4)Why don't you go upstairs and get me a thermometer?(上に行って体温計持ってきてよ。)

(5)(父親が子供に対して)Why don't you sleep?(寝なさい。)

また、教師は生徒に次のように言うこともできます。

(6)Why don't you open your textbook to page 20?(20ページを開いて。)

これらの例をみても、Why don't you~?が一筋縄ではいかないことがわかります。ひとつの表現をいろいろな例からインプットすることで少しずつ日本語での暗記から脱却して、メンタルレキシコンなるもの(が本当にあるのなら)を修正していく地道な作業が必要です。この地道なプロセスが実は確かな英語力(というものが具体的に何を指すかは一旦棚上げして)になるのでしょう。ちなみにはじめはあくまでも日本語で覚えることが手っ取り早く、そして重要だということを繰り返し強調しておきます。


【参考文献】
Huddleston, Rodney& Pullum, Geoffrey K. (eds.)(2002). The Cambridge Grammer of the English Language. Cambridge University Press.
柏野健次.(2006).『英語学者が選んだアメリカ口語表現』.開拓社.