Why don't you~?はどの高校教科書や文法解説書を読んでも「提案や勧誘」を表す、と載っていますが、実際に使われている用法を観察してみると、そうとはいえないものにかなり遭遇します。もう少し広く捉えなければこの用法を使いこなすことはできないでしょう。
まず押さえておかなければならないのは、Why don't you~?もHow about~?も「提案や勧誘」を表すのですが、Why don't you~?のほうが少し強く響くので、「助言」と捉えられる場合がある、ということです。特にWhy don't you~?はわりと親しい間柄で用いられるのが普通です。例えば友達を自分とどこかへ行くように誘うときには次のようにいいます。
(1)Why don't you come with me?(一緒に行かないか?)
このような用法だけでなく、もう少し強い意味、つまり「助言」として用いられると、次の例のようにも使えます。
(2)Why don't you go to the beach?(ビーチに行ったらどうだい?)(Huddleston&Pullum(2002;906)より)
Huddleston&Pullumも述べているように、Why don't you~?はshouldのような意味合いで用いられています。他にも例えばタバコを吸いすぎている友人に対してこのようにいうこともできます。
(3)Why don't you quit smoking?(タバコはやめたら?)
これは「助言」ともとれますが、場合によってはもう少し強く「軽い命令」ともとれます。柏野(2006)は軽い命令あるいは依頼として以下の例を挙げています。
(4)Why don't you go upstairs and get me a thermometer?(上に行って体温計持ってきてよ。)
(5)(父親が子供に対して)Why don't you sleep?(寝なさい。)
また、教師は生徒に次のように言うこともできます。
(6)Why don't you open your textbook to page 20?(20ページを開いて。)
これらの例をみても、Why don't you~?が一筋縄ではいかないことがわかります。ひとつの表現をいろいろな例からインプットすることで少しずつ日本語での暗記から脱却して、メンタルレキシコンなるもの(が本当にあるのなら)を修正していく地道な作業が必要です。この地道なプロセスが実は確かな英語力(というものが具体的に何を指すかは一旦棚上げして)になるのでしょう。ちなみにはじめはあくまでも日本語で覚えることが手っ取り早く、そして重要だということを繰り返し強調しておきます。
【参考文献】
Huddleston, Rodney& Pullum, Geoffrey K. (eds.)(2002). The Cambridge Grammer of the English Language. Cambridge University Press.
柏野健次.(2006).『英語学者が選んだアメリカ口語表現』.開拓社.
まず押さえておかなければならないのは、Why don't you~?もHow about~?も「提案や勧誘」を表すのですが、Why don't you~?のほうが少し強く響くので、「助言」と捉えられる場合がある、ということです。特にWhy don't you~?はわりと親しい間柄で用いられるのが普通です。例えば友達を自分とどこかへ行くように誘うときには次のようにいいます。
(1)Why don't you come with me?(一緒に行かないか?)
このような用法だけでなく、もう少し強い意味、つまり「助言」として用いられると、次の例のようにも使えます。
(2)Why don't you go to the beach?(ビーチに行ったらどうだい?)(Huddleston&Pullum(2002;906)より)
Huddleston&Pullumも述べているように、Why don't you~?はshouldのような意味合いで用いられています。他にも例えばタバコを吸いすぎている友人に対してこのようにいうこともできます。
(3)Why don't you quit smoking?(タバコはやめたら?)
これは「助言」ともとれますが、場合によってはもう少し強く「軽い命令」ともとれます。柏野(2006)は軽い命令あるいは依頼として以下の例を挙げています。
(4)Why don't you go upstairs and get me a thermometer?(上に行って体温計持ってきてよ。)
(5)(父親が子供に対して)Why don't you sleep?(寝なさい。)
また、教師は生徒に次のように言うこともできます。
(6)Why don't you open your textbook to page 20?(20ページを開いて。)
これらの例をみても、Why don't you~?が一筋縄ではいかないことがわかります。ひとつの表現をいろいろな例からインプットすることで少しずつ日本語での暗記から脱却して、メンタルレキシコンなるもの(が本当にあるのなら)を修正していく地道な作業が必要です。この地道なプロセスが実は確かな英語力(というものが具体的に何を指すかは一旦棚上げして)になるのでしょう。ちなみにはじめはあくまでも日本語で覚えることが手っ取り早く、そして重要だということを繰り返し強調しておきます。
【参考文献】
Huddleston, Rodney& Pullum, Geoffrey K. (eds.)(2002). The Cambridge Grammer of the English Language. Cambridge University Press.
柏野健次.(2006).『英語学者が選んだアメリカ口語表現』.開拓社.
手紙送らさせていただきます。なお、今回のコメントについては先生の個人情報もありますので近日中に削除させていただきます。 ご容赦ください。