英語の語順は日本語とかなり異なるため、特にアウトプットの際には語順(狭い意味での統語的知識)を明示的に学ぶことは重要だと思います。5文型という古典的な分類方法は、英語を理解する上でかなり有効だとは思いますが、もちろん不十分なところもあるわけで、その後7文型や8文型のような分類が生まれたわけです。あるいは認知言語学的な観点からの分類もなされているわけで。では教育的な観点でどれがふさわしいのかとなると、「まぁあまり複雑になりすぎるのもあれだし、今までどおり5文型でいっか」と然したる議論がないまま現状維持でいるところがなきにしもあらず、と思わずにはいられないわけで。しかし、高校で使用している学校文法書はほぼすべて、大学の先生方の監修(時には執筆)を受けているのに、文型の記述については示しあわせたかのように5文型を採用し、独自性は0です。これはおそらく教育的妥当性を考慮すれば、それほど間違った判断ではないとは思います。つまり、複雑な規則を教えることの確実な有用性が7文型や8文型に存在するとも思えないのです。一部の事例をうまく説明できないからといって、その有用性を否定するのではなく、現実的な理解のしやすさから5文型が選択されている、といったところなのでしょう。
さて、やたらと前置きが長くなりましたが、私はだから5文型に賛成、という立場ではありません。ここ2年くらい実験的に採用しているのが田地野(2011)が紹介している「意味順」という考え方です。これは「だれが、する・です、だれ・なに、どこ、いつ」と意味で分類し、並べることで語順を習得していく、という考え方です。これに従えば、ほとんどすべての構造を上の語順で説明でき、5文型のような規則さえ不要になるので非常に便利です。もちろんすべての統語的構造を説明できるものではありませんが、それは他の文型にも共通していえることです。「意味順に置き換えて指導することで飛躍的に英語が伸びました」なんて怪しげな誇大広告をする気はありませんが、少なくとも時間や労力がかなり節約でき、そのぶんを別の活動に充てることができるのは大きなメリットです。
それにしても時々教科書やワークブックに出てくる「これと同じ文型を選べ」という形式の問題、いい加減やめませんか?と思ってしまうのは私だけでしょうか。
【参考文献】
田地野彰.(2011).『〈意味順〉英作文のすすめ』.岩波書店.
さて、やたらと前置きが長くなりましたが、私はだから5文型に賛成、という立場ではありません。ここ2年くらい実験的に採用しているのが田地野(2011)が紹介している「意味順」という考え方です。これは「だれが、する・です、だれ・なに、どこ、いつ」と意味で分類し、並べることで語順を習得していく、という考え方です。これに従えば、ほとんどすべての構造を上の語順で説明でき、5文型のような規則さえ不要になるので非常に便利です。もちろんすべての統語的構造を説明できるものではありませんが、それは他の文型にも共通していえることです。「意味順に置き換えて指導することで飛躍的に英語が伸びました」なんて怪しげな誇大広告をする気はありませんが、少なくとも時間や労力がかなり節約でき、そのぶんを別の活動に充てることができるのは大きなメリットです。
それにしても時々教科書やワークブックに出てくる「これと同じ文型を選べ」という形式の問題、いい加減やめませんか?と思ってしまうのは私だけでしょうか。
【参考文献】
田地野彰.(2011).『〈意味順〉英作文のすすめ』.岩波書店.