最近やたらと見かける「authenticな教材」という言葉。日本語の文献でも見られるようになりましたが、海外の文献ではけっこう前からわりと目にしていました。この「authenticな教材」とは何を指すのかを私の知るかぎりにおいて表現するならば「言語教育のために作られたものでない、本物のニュースやテレビ番組、映画、新聞や本やインターネットなどから得られた、ネイティブスピーカーによるネイティブスピーカーのための素材」のこと。らしい。いや、正確にはこの言葉が指すものは研究者によって若干異なるような気がします。しかし、ある程度的を射た定義ではあるでしょう。さて、このauthenticな教材を使って指導することがなぜ重要なのか、そんな疑問を持った今日この頃。たまたま眺めていた文献で若干説明がされていましたので引用しておきます。
「そのコンテンツが内容的にも言語的にも文化的にも非常に豊かであるため、教師も生徒も英語と知識と思考をフル稼働させてテクストに取り組むことになり、高い次元の学習効果と達成感が得られ」、「現実社会で生産され消費される『本物』の迫力が知的興味を刺激し、学習意欲をかき立てるという情緒的側面」もあるから(以上渡部など(2011;21)より)
これを読んで「なるほど、その通り!」と思えない私はauthenticな教員ではないのかもしれません。ただ、なんとなくすぐには納得できるものではありません。authenticな教材とauthenticでない教材はそれぞれの長所と短所を踏まえて有機的に取り入れていくものではないのか、と思います。authenticな教材の長所はいうまでもなく、本物の場面に位置づけられた、本物の表現が学べることでしょう。そして、それ故に特に初級や中級レベルの生徒に合ったとっつきやすいものを選ぶのはかなりの困難があるのが短所でしょう。それにたいして、authenticでない教材の長所は、学習させたい項目に重点を当てることが容易であることが挙げられるでしょう(そのために内容構成されている場合が多いわけです)。一方短所は、学習者のレベルに合わせるために自然な言語使用でなかったり、不自然な表現を使わなければならないことが多々あることでしょう(ピーターセン(2014)による指摘は参考になります)。ではどちらが優れているのか、といわれるとケース・バイ・ケースだと思います。両方の長所を生かして、短所を補うのがベターだと思います。
そもそもauthenticな教材を推奨する立場に対しては「じゃあauthenticじゃない教材は生徒の知的興味を刺激しないの?内容的に優れたものはないってこと?」という疑問が拭えません。
ただし、こういった狭い意味でのauthenticに対して、もっと広い意味でこの語を説明している文献もあった(はずなのにどの文献だったか覚えていない...)ので、もう少し調べてみたいと思います。
【参考文献】
マーク・ピーターセン.(2014).『日本人の英語はなぜ間違うのか?』.集英社インターナショナル.
渡部良典・池田真・和泉伸一.(2011).『CLIL 内容言語統合型学習 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第1巻 原理と方法』.上智大学出版.
「そのコンテンツが内容的にも言語的にも文化的にも非常に豊かであるため、教師も生徒も英語と知識と思考をフル稼働させてテクストに取り組むことになり、高い次元の学習効果と達成感が得られ」、「現実社会で生産され消費される『本物』の迫力が知的興味を刺激し、学習意欲をかき立てるという情緒的側面」もあるから(以上渡部など(2011;21)より)
これを読んで「なるほど、その通り!」と思えない私はauthenticな教員ではないのかもしれません。ただ、なんとなくすぐには納得できるものではありません。authenticな教材とauthenticでない教材はそれぞれの長所と短所を踏まえて有機的に取り入れていくものではないのか、と思います。authenticな教材の長所はいうまでもなく、本物の場面に位置づけられた、本物の表現が学べることでしょう。そして、それ故に特に初級や中級レベルの生徒に合ったとっつきやすいものを選ぶのはかなりの困難があるのが短所でしょう。それにたいして、authenticでない教材の長所は、学習させたい項目に重点を当てることが容易であることが挙げられるでしょう(そのために内容構成されている場合が多いわけです)。一方短所は、学習者のレベルに合わせるために自然な言語使用でなかったり、不自然な表現を使わなければならないことが多々あることでしょう(ピーターセン(2014)による指摘は参考になります)。ではどちらが優れているのか、といわれるとケース・バイ・ケースだと思います。両方の長所を生かして、短所を補うのがベターだと思います。
そもそもauthenticな教材を推奨する立場に対しては「じゃあauthenticじゃない教材は生徒の知的興味を刺激しないの?内容的に優れたものはないってこと?」という疑問が拭えません。
ただし、こういった狭い意味でのauthenticに対して、もっと広い意味でこの語を説明している文献もあった(はずなのにどの文献だったか覚えていない...)ので、もう少し調べてみたいと思います。
【参考文献】
マーク・ピーターセン.(2014).『日本人の英語はなぜ間違うのか?』.集英社インターナショナル.
渡部良典・池田真・和泉伸一.(2011).『CLIL 内容言語統合型学習 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第1巻 原理と方法』.上智大学出版.