英語教師のひとりごつ

英語教育について考える。時々ラーメンについて語ることもある。

ヨーロッパ旅行

2014-07-29 07:12:51 | 日記
私事ですが...2週間ほどヨーロッパに行ってきます。フランス、スペイン、イタリアをクルーズで回ってきます。お金かかります。おそらく人生最大の大旅行。このために(授業以上に)入念に準備してきたことはいうまでもありません。何気にスペイン語も勉強しましたが、突貫工事で話せるレベルではありません。ちょっと試しに使ってみますが。改めて語学にはCDが大事だと気づかされました。

では行ってきます。

「この仮定法ってどういう時に使えばいいの?」という疑問

2014-07-19 21:40:57 | 日記
先日、ある生徒に「仮定法って、実際にどういう時に使えばいいんですか?」と質問されました。私は実際にその生徒を教えているわけではないのですが、非常に文法の本質をついた質問に思わずドキッとしてしまいました。

おそらくそうした質問が出るということは、指導する側の問題も少なからずあるのだと思います。もちろん形式と意味も重要だと思いますが、さらにそれに加えて使用場面(この場合の使用場面は文献によっては機能あるいは使用とも呼ばれています)を加えて三位一体で指導することが重要である、と改めて気づかされたのです。

さて、最近の英語教育をめぐっては、まさに文法指導の如何をめぐる論争が絶えず、いまだに答えも出てはいませんが、とにもかくにも文法指導をどう取り入れていくかについては単純な訳読式ではいかんのだ、という当たりはそれなりに的を射ているでしょう。何をどう学ばせるべきか、という議論が盛んに行われているだけに、それに関する文献も多数発売され、最近はそれらを一通り読破していました。なるほどな、と思えるものもあれば、それほどでもないものもありましたが、私なりに文法指導をどう考えていくべきかについて、いくつかの文献を紹介しながら、主に仮定法を通して見ていきたい、というのが今回のテーマです。

今回見ていくのは、柴田・横田(2014)、卯城(2014)、そして田中・田中(2014)の3冊です。

まず柴田・横田(2014)は、文法指導についてだけでなく、英語教育全体の英語教師の思い込み(と思われる類)を紹介し、それぞれについて議論を深めていく形式なので、読み物として非常に読みやすい内容になっています。記述は非常に洗練されているので、「はじめに」で「英語教育のすべてを扱っているわけではな」い、と述べていますが、結果的にはわりと包括的に述べる形になっていると思います。英語教師ならまず目を通しておきたいくらい内容の濃いものになっています。文法についてもかなりのページを割いて書かれています。この本のすばらしさについては実際に読んでいただくことにして、1つだけ記述で腑に落ちないのがp.89にあるポイント1の部分でしょうか。ちょっと引用しておきます。


「たとえば、現在完了形を教えるとき、過去形と区別するための練習としてふたつの形式を使った文章を提示して、それぞれが使われている状況設定からどのようなときに現在完了形を使うのかを生徒に導き出させる練習をすることがあります。しかし、これは返って生徒が混乱したり母語に訳そうとしたりするので、本来の練習目的が達成されません。」


これで果たして文法項目の理解ができるでしょうか。形式だけを指導するのならこれでかまいませんが、意味や機能を理解させるとき、似たような文法事項とどのような違いがあるのかを理解できなければ、生徒が実際にそれを使うことができるようになるとは思えません。似た文法事項と比較することは、その文法事項を他の文法事項との関連の中でどのように位置づけるかにかかわってきます。生徒個々の文法の全体イメージの中でその文法事項がどのようなことが表現できるようになり、どのような役割を果たしていくのか、はっきりさせてやらなければ実際に使える文法にはならないと思います。この後見ていく卯城(2014)や田中・田中(2014)はどちらも文法指導についての指南書ですが、どちらも生徒の既知の文法事項と比較して指導することを勧めています(たとえば田中・田中のpp.32-3を参照)。

「主に仮定法を通して見ていく」はずが、話がかなり横道に逸れたのですが、文法指導の際の大事なポイントなので指摘しておきました。さて、少しずつ本題に戻る形で、次に卯城(2014)について見ていきます。卯城は「場面で導入、活動で理解」というプロセスの重要性を具体的な文法事項をほぼ網羅する形で具体的に議論しており、明日の授業で生かせる、かなり実践的な内容になっています。導入の流れについては参考になるものが多いのですが、理解させる活動の記述については少し疑問が残ります。これらの活動を行ったから、文法事項を場面に合わせて使えるようになることは難しいと思います。たとえば、ということで仮定法に話を移します。

卯城の仮定法過去の記述を見てみると、仮定法過去が「現時点における実現しそうにない願望や現在の事実に反することを述べる」としていますが、まずこの出発点に問題があることは以前述べたとおりです。実際にはもっと広く「実現可能性が低いことについて仮想的に述べる」わけで、そこから発言をためらいがちに述べるという、語用論的機能があるわけです。こちらの方が実際にはかなり用いられるわけです。それをどんどんさまざまな場面を通して理解することで、英語の丁寧さについて知識を深めることができると思います。そのうえでも仮定法の指導はかなり重要なもののはずです。もちろん「もしも歴史上の人物に会えたら」を仮定するのもよいですが、これでは生徒は「非現実」の場面でしか仮定法は用いられないようにカン違いしてしまいます。実際には別に「もしも大好きな芸能人と話せたら」でもよいわけです。ちなみにどの程度「起こる可能性が低い」と話者がみなしたときに用いられるのかはその場面によってかなり異なります。しかし「もしも大好きな芸能人と話せたら」のような場面や、もっと実現可能性がやや高い場面でも、実際には仮定法は用いられるようです(この点については論点から脱線しすぎるのでくわしくはJames(1986)やKartunnen&Peters(1977)あたりを参照されたい)。

またたとえば「If I were you」は、ちょっと控えめにアドバイスを送る場面で非常によく用いられます。このような頻度の高い用法こそ、活動を通して理解させるべきだと思います。この点については田中・田中(2014)が参考になります。p.40の使用場面で「どのような行動をとればよいか迷っている相手に、自分だったらこうすると控えめな形でアドバイスをしたいとき」という項目があり、まさに「if I were you」を用いる場面設定です。しかし、この場面設定ではかなり抽象的すぎるので、もう少し具体的に「告白しようか悩んでいる友達がいます。友達に自分だったらどうするかアドバイスをおくってあげてください」のようなより具体的な場面設定で示してやるほうが、生徒はわりとすぐに具体的なアドバイスが思い浮かぶでしょう。こういった内容は生徒も喜んで考えるので、授業に活気もでます。

田中・田中は、今まで行われてきた文法指導を少し変えるだけで実践可能だという意味で、形式・意味・場面を意識した文法指導をするための知識を得るよい本だと思います。具体的な文法事項があまり網羅されていないので、卯城と合わせて読むことで、かなり文法指導の方法の見通しが立つと思います。ただし、上で述べたようにこれらの本でもまだ不十分だということを踏まえたうえで、自分なりにこれらの本を参考にして、アレンジしながら指導する必要があるでしょう。生徒を一番よく知るのは指導している教師ですから。


【参考文献】
Celece-Murcia,M&Larsen-Freeman,D.(1999). The Grammar Book An ESL/EFL Teacher's Course. Boston, MA: Heinle&Heinle.
James Francis.(1986). Semantics of the English Subjunctive: UBC Press.
Kartunnen,L&Peters,S.(1977).“Requiem for Presupposition” BLS3,360-71.
卯城祐司編著.(2014).『英語で教える英文法―場面で導入、活動で理解―』.研究社.
柴田美紀・横田秀樹.(2014).『英語教育の素朴な疑問―教えるときの「思い込み」から考える―』.くろしお出版.
田中武夫・田中知聡.(2014).『英語教師のための文法指導デザイン』.大修館書店.

札幌 寅乃虎の「二の虎」

2014-07-07 22:25:59 | グルメ
新感覚のラーメン屋といえばここ。スパイスの効いたラーメンです。札幌に帰ったついでに寄ってきました。札幌人なら大好きなスープカレーのスープのようなラーメンですね。


円山にひっそりとたたずむ名店です。芸能人も多数来店。だからうまい、とは言いませんが、ひとつ言えることは、私は大好きなんです。普通のラーメンが物足りないと思ったらぜひ。