英語の時制を正しく使い分けることは、日本人学習者にとっては非常に難しい問題です。これは英語の時制が日本語とは異なるからだと勝手に思っているのですが、その確たる証拠はありません。特に現在完了や過去完了に関しては、自信を持って適切に使い分けられる生徒は非常に少ないと思います。現在完了を指導すると、過去形を用いるところでも現在完了を用いたり、過去完了を指導すると、過剰に2つの出来事の前後関係を意識し出して、文が作れなくなったりします。過去完了に関しては、英語の小説を読んでいるとわりと頻繁に登場します。これは過去形で表される時間よりも前の話を挿入するときに効果を発揮します。しかし、実際にはそれ以外の場面(特に日常会話)で過去完了を絶対に用いなければならないことは、限りなく少ないので、あまり神経質になることはないでしょう。
話は少し戻って、現在完了を導入して過去形を用いるべき文でも過剰に現在完了を使ったりすることで、学習者は試行錯誤しながら過去形、そして現在完了を習得していきます。よって、こういった誤りは学習する上で必然であって、悪いことでは全くないことは理解しておきたいものです。この試行錯誤段階で、明示的指導、さらには否定的証拠の提示がどの程度効果的で、効果的であるならばどの程度効果が継続するのか(一時的な効果なのか、継続的な効果なのか)はまた別の機会に考察したいところです。
話をやっとタイトルにもなっている現在完了進行形へ。教員であってもこの現在完了進行形に関しては意外と間違って指導してしまっているのでは、と思うことがあります。例を2つ挙げておきます。
(1)I have known him for 5 years.(彼と知り合って5年になる。)
(2)I have been playing baseball for 5 hours.(僕は5時間野球をし続けている。)
(1)の例は現在完了、(2)の例は現在完了進行形の例です。どちらも<過去から今まで>の話をしており、現在完了の継続を表す用法に分類されますが、(1)のknowような状態動詞の場合は現在完了、そして(2)のplayのような動作動詞の場合は現在完了進行形、というルールでとりあえず高校生には十分でしょう。今回問題にしたいのは、動作動詞であっても次の(3)ような文は正しいのか、ということです。(2)も併せてもう一度見ておきます。
(2)I have been playing baseball for 5 hours.
(3)I have been playing baseball for 5 years.
見ての通り、違いは1ヵ所だけです。先ほども述べたとおり(2)は問題ありません。「5時間前から野球をやって、今も実際にやっている」からです。しかし、(3)は今実際に野球をやっているわけではなく、習慣の継続をについて述べています。にもかかわらず、(3)は問題なく使われます。
しかし、英語教師によっては、この(3)の例を以下の理屈から否定的に見る人もいます。つまり、
「5年間ずっと休まず野球をやっている、といったように聞こえる」
というのです。確かにネイティブスピーカーの一部(私が尋ねたところではイギリス人でした)にもこういった意見の人がいるのは事実です。しかし、私が尋ねた他のネイティブスピーカー(主にカナダ人)はみな、(3)を全く問題ないと判断しました(もっと正確にいえば、(3)の方が自然だとさえ言っていました)。
さて、では国や地域によって違いがあるのでしょうか。この辺についてはしっかり調査してみないと何ともいえませんが、イギリス人だから使わない、ということはないでしょう。その証拠にイギリスのサイトから、(3)のような例はいくらでも見つかります。
ちなみに(3)を間違いだと語ったイギリス人のネイティブは、こういった場合は次のようにいうのが一般的だと言っていました。
(4)I have played baseball for 5 years.
ただし、(2)のような文を次のように表現すると、容認度はかなり落ちます。
(5)?? I have played baseball for 5hours.
さて、ここで私の結論を整理しておきます。動作動詞の現在完了の継続用法については、「過去から始めて、今も正に実際にやっている」行動は現在完了進行形で表します。
(6)I have been playing the piano since this morning.
「過去から始めて、今も習慣としてやっている」行動は現在完了、あるいは現在完了進行形で表します。
(7)I have played the piano for 10 years.
(8)I have been playing the piano for 10 years.
しかし、正確には(7)と(8)は少し意味合いが異なるとの指摘があります。つまり(7)の現在完了では「10年間続けてきたけど今はもうやっていない」という完了(あるいは経験)として解釈される場合があります。一方(8)では今もその習慣が続いていることが強調されます。(ただし、ネイティブによっては(7)のみ認めていたり、逆に(8)の方が自然だと見なしたりします。)しかし、これらの違いは学習者にとって過度に気にする必要はないので、(7)と(8)のどちらも可能だ、と指導して問題ないでしょう。
話は少し戻って、現在完了を導入して過去形を用いるべき文でも過剰に現在完了を使ったりすることで、学習者は試行錯誤しながら過去形、そして現在完了を習得していきます。よって、こういった誤りは学習する上で必然であって、悪いことでは全くないことは理解しておきたいものです。この試行錯誤段階で、明示的指導、さらには否定的証拠の提示がどの程度効果的で、効果的であるならばどの程度効果が継続するのか(一時的な効果なのか、継続的な効果なのか)はまた別の機会に考察したいところです。
話をやっとタイトルにもなっている現在完了進行形へ。教員であってもこの現在完了進行形に関しては意外と間違って指導してしまっているのでは、と思うことがあります。例を2つ挙げておきます。
(1)I have known him for 5 years.(彼と知り合って5年になる。)
(2)I have been playing baseball for 5 hours.(僕は5時間野球をし続けている。)
(1)の例は現在完了、(2)の例は現在完了進行形の例です。どちらも<過去から今まで>の話をしており、現在完了の継続を表す用法に分類されますが、(1)のknowような状態動詞の場合は現在完了、そして(2)のplayのような動作動詞の場合は現在完了進行形、というルールでとりあえず高校生には十分でしょう。今回問題にしたいのは、動作動詞であっても次の(3)ような文は正しいのか、ということです。(2)も併せてもう一度見ておきます。
(2)I have been playing baseball for 5 hours.
(3)I have been playing baseball for 5 years.
見ての通り、違いは1ヵ所だけです。先ほども述べたとおり(2)は問題ありません。「5時間前から野球をやって、今も実際にやっている」からです。しかし、(3)は今実際に野球をやっているわけではなく、習慣の継続をについて述べています。にもかかわらず、(3)は問題なく使われます。
しかし、英語教師によっては、この(3)の例を以下の理屈から否定的に見る人もいます。つまり、
「5年間ずっと休まず野球をやっている、といったように聞こえる」
というのです。確かにネイティブスピーカーの一部(私が尋ねたところではイギリス人でした)にもこういった意見の人がいるのは事実です。しかし、私が尋ねた他のネイティブスピーカー(主にカナダ人)はみな、(3)を全く問題ないと判断しました(もっと正確にいえば、(3)の方が自然だとさえ言っていました)。
さて、では国や地域によって違いがあるのでしょうか。この辺についてはしっかり調査してみないと何ともいえませんが、イギリス人だから使わない、ということはないでしょう。その証拠にイギリスのサイトから、(3)のような例はいくらでも見つかります。
ちなみに(3)を間違いだと語ったイギリス人のネイティブは、こういった場合は次のようにいうのが一般的だと言っていました。
(4)I have played baseball for 5 years.
ただし、(2)のような文を次のように表現すると、容認度はかなり落ちます。
(5)?? I have played baseball for 5hours.
さて、ここで私の結論を整理しておきます。動作動詞の現在完了の継続用法については、「過去から始めて、今も正に実際にやっている」行動は現在完了進行形で表します。
(6)I have been playing the piano since this morning.
「過去から始めて、今も習慣としてやっている」行動は現在完了、あるいは現在完了進行形で表します。
(7)I have played the piano for 10 years.
(8)I have been playing the piano for 10 years.
しかし、正確には(7)と(8)は少し意味合いが異なるとの指摘があります。つまり(7)の現在完了では「10年間続けてきたけど今はもうやっていない」という完了(あるいは経験)として解釈される場合があります。一方(8)では今もその習慣が続いていることが強調されます。(ただし、ネイティブによっては(7)のみ認めていたり、逆に(8)の方が自然だと見なしたりします。)しかし、これらの違いは学習者にとって過度に気にする必要はないので、(7)と(8)のどちらも可能だ、と指導して問題ないでしょう。
コメントいただきありがとうございます。Makki様の英文法や旅のブログ、私も拝見させていただきました。私も旅好きなので、今後もブログ拝読させて頂きます。