テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

なるべくわかりやすく!コロナウイルスの事33~PCR検査数はもう充分、増やさなくても良い。

2020年06月28日 | コロナウイルス2020

なるべくわかりやすく!コロナウイルスの事33~PCR検査数はもう充分、増やさなくても良い。

東京を中心に第1波の感染拡大が終わりませんね、

感染拡大抑制と経済再興という二律背反の現実、これは受け入れるしかない、

このまま、感染爆発を招かないよう丁寧に対応(3密回避・クラスター対策)していくしかない、
(コロナウイルスの事32参照)

◆独酌酔言的予測では6月末に新規感染者(全国で)一ケタ、は無理なようです、

独酌酔言ではいくつかの予測をしました、

感染爆発はすでに起こっている、そして、日本の感染ピーク低い
(4月21日コロナウイルスの事16)=ポイントはPCR検査の陽性率の低下

GW終わりから60日で全国の新規感染者一ケタになる、7月初めまでは外出自粛は続
(4月28日コロナウイルスの事18 )=ポイントは武漢・韓国の先例

一つ目はまずまず及第点の的中、

二つ目は当たりませんでした

まず、外出などの自粛解除は経済再興との見合いで相当前倒しで実施されました(これは妥当と感じています)、

その影響で感染は相変わらず続いており新規感染者(全国)一ケタは達成できそうにありません、

しかし、、、このレベルの感染継続を容認して経済再興を目指す、これが今の戦略です、正しいと思います、

避けなければならないのは、医療現場の崩壊を招く規模の感染爆発(パンデミック)です、

パンデミックのみを避けて、ワクチン開発の時間を稼ぐ、そんな時期です、

◆他国の現状は?米国では1日4万人が感染!!ブラジルは世界2位の感染者数に

米国とブラジルは悲惨です、多少ワタシの政治的偏見が入っていますが、政策の間違いのような気がします、

こんな状態だけは避けなければなりません、

詳しくは以下のサイトで、

米、1日で新規感染4万人 過去最多、半数が35歳未満(6月27日)

米国で1日の感染者が最多の4万人超に、ブラジルもハイペースで増加 : 新型コロナの国別感染者数(6月26日夕更新)

◆今日の本題、PCR検査数はもう充分です

残念ながら未だに、

『PCR検査数が少ないから感染者も少ない』、

『PCR検査数を増やせば感染者も増える』

という声を聞きますが、これはまったくの認識間違いです、

この論への反論を書きますが、それは間違いであるということもさることながら、

この論は災害時に頻発する“デマ”、混乱を招くだけの根拠のない“デマ”になっている可能性があるからです、

日本政府の対応に万全の信頼を置いている訳ではありませんが(未知のウイルス、万全など有り得ないし)、

根拠のない“デマ”のような『PCR検査少ない論』で混乱を招くのは避けたいと考えるからです、

低い陽性率、現状でこれ以上PCR検査を増やすのは無意味

最新のPCR検査の陽性率(感染が確認できた率)は1%~2%です、

つまり、100人検査をしたら98人は陰性ということです、

1人か2人の陽性者を見つけるために100人に検査を行っています、

各日までの1週間のPCR検査陽性率(全国)(厚労省日報より集計)

     陽性率  PCR検査数
4月12日 10.6% 32742
4月19日 10.2% 35435
4月26日 7.8%  36258
5月3日   4.8%  34177
5月10日 2.9%     31005
5月17日 1.9%     30196
5月24日 1.0%     26749
5月31日 1.7%     19235
6月7日   1.2%     23747
6月14日 1.2%     24575

陽性率の減少は明らかです、

以前にWHOが出した声明では『12%を超える陽性率だと検査数が足らない』と云われていました、

日本の感染ピークだった4月中旬はそれに近い(それでも低い陽性率)数値でしたが、現状はまったく充分な検査が行われていると考えます、

◆検査数と陽性者数の関係

『検査を増やしたら感染者数も増える』というのも当たっていないと考えます、

実情は『感染者がいるから検査数も増える』(濃厚接触者・周辺の人を検査するから)という状態ですが、

ただ、これを証明する詳細な数値を持ち合わせていないのです、

クラスター別の検査数とそれに対する感染者数の個別データがあれば分かると思うのですが、、、

卵が先か、鶏が先か、的な問題に直面しています、

なにか証明できる数値があれば良いのですが、残念、、、

なぜ、現状ではPCR検査数を増やす必要はないのか?

そもそも、PCR検査は“その人がその時感染しているかどうか”を検査するものです、

感染者が全体で何人いるのかを推計する検査ではありません

その時に感染しているかどうかを見る検査であって、

倍検査をしたら感染者も倍になる、という性格のものではありません、

更に判定率(正しく判定できる率、時間経過により変動する)や、偽陽性などの問題もあり、余計に“全体像を見る”には適していません、

なので『全体でどれくらい感染者がいるのか心配だからPCR検査を増やせ』という論は意味を持たないのです、

さらに現状の陽性率1%~2%という現状を見ると、もうこれ以上PCR検査を増やす必要を感じません、

100人検査して98人~99人の非感染を確認している、これは“PCR検査は徹底されている”と云って問題ないレベルです

これ以上増やすのは非効率的で効果は上がらない、

でも、検査の網にかからない感染者が街中にウロウロしている、というのもまた真実です

◆抗体検査は定期的に行うべし

かたや、抗体検査は“これまで感染経験がある人を見つける検査”なので大量のサンプルで定期的にやる意味があります

ある意味統計的な数値として観れる検査なのです、

すでにソフトバンク他の検査結果が出ています、

最新の厚生労働省の検査結果(サンプル数7950人)では、

陽性率(抗体保持率)は東京で0.10%、大阪0.17%、宮城0.03%、

思いのほか少ない抗体保持率、これは意外な結果でした、日本の感染者数は本当に少ないのです、
(コロナウイルスの事31参照)

また、集団免疫を目指すのは難しいのがよく分かる数値でもあります、

スウェーデンは集団免疫を目指して規制を行わず、多くの感染者と死者を出していますが、抗体保持率はわずか7.3%、

集団免疫へは程遠い道のりです、

◆感染者数の真の値はどこにあるのか?

みなさんが知りたいと思っている、感染者数の真の値=実際には何人感染者がいるの?

これを推計してみましょう、

前提と推論です、

① 抗体検査の数は充分である
② 真の値もほぼ1%~0.05%くらいの間にある

今回の抗体検査の数量、これは統計学的にその数値がある程度の確度で真の値を示すに十分なサンプル数です、

ざっくり独酌酔言的統計学の基本をひけらかすと、

ややこしい計算式があるのですが、結果、サンプル数別の標準誤差はこんな感じです、
(ざっくりした数字です)

結果別の誤差の一覧表、

「調査・リサーチ・統計の基礎その3」より抜粋転載

まず特筆すべきは、この標準誤差は母数の数に影響されないのです、

つまり、母数が1万であれ、100万であれ、1億であれ、サンプルが上記の数さえあれば、この標準誤差の中にある確率(この場合たぶん95%の確率)で真の値がある、ということです、

日本全国であれ、東京であれ、大阪であれ、1万人調べれば、統計的には上記誤差内の率が出る、ということです、

さらに統計の標誤差は結果が50%を示した時が一番大きいのです、

つまり1万人に調査して、抗体保持者50%、無保持者50%という結果が出た時が一番誤差が大きいのです、

サンプル1万人で±1%の誤差、サンプル5000人で±1.4%の誤差、

逆に保持者10%、無保持者90%となった時は、誤差は小さいという理屈です、

サンプル1万人で±0.6%の誤差、サンプル5000人で±0.9%の誤差、

なんとなく分かりますよね、白黒半々なら真の値のぶれ幅が大きい、

でも、白90黒10の場合は、そんなにはぶれない、という感じです、

今回の厚労省調査の東京都の場合、

サンプル数5000以上、東京都のサンプル数が不明ですが半分くらいかな?

結果は、保持者0.1%、無保持者99.9%な訳ですから、誤差は非常に小さくて、真の値がこの近くにあるのはほぼ間違いないのです、

(一応注釈)

ここではサンプルの抽出方法の問題を除外しています、

無作為抽出とか聞いたことあります?

おそらく厚労省の調査はこれだと思います(確認できず)、

つまり調査結果に影響を及ぼすような偏ったサンプルの抽出をなるべく避けるために無作為にサンプルを選ぶ方法です、

ソフトバンクの調査は社員という有為的なバイアスがかかっていますが、

それでも感染率に直接影響するバイアスではないように思います(抗体保持率は高いですが)、

意図的に感染疑いの強い人を選ぶと当然率は上がります、

SBの医療関係者という括りがこれに当たる感じです、

とにかく、これまでの抗体検査で5月頃の国内の感染者数はおおよそ把握できたということです、

◆仮に抗体保持者0.1%で考えてみると

東京都の人口約1400万人(2019年)、

抗体保持者0.1%=1万4000人、

PCR検査で確認された東京都の感染者数5997人(6月26日)

感染者発見率 42.8%=5997÷1万4000人、

約40%の感染者を検査の網で見つけているということです、

これは無症状者、軽症者が多くいるCOVID-19の特長を反映しています、

逆に云うと8000人ほど(おそらくは無症状者・軽症者)の感染者が街中にいる、ということになります、

ずいぶん上の方で書いた、

『検査の網にかからない感染者が街中にウロウロしている、というのもまた真実です』

というのは、このことです、

日本全体で観ると(抗体保持率0.1%として)(実際には地方はもっと低いがこれで計算)、

1億2600万人×0.1%=12.6万人

検査で確認された感染者数 18197人

感染者発見率 14.4%=18197人/12万6000人

なので『PCR検査数が少ないから、きっと感染者はもっとうじゃうじゃいる』というのは正しい、たしかに半分は正しい

後半の『きっと感染者はもっといる』は正しいのです、

実際には判明している感染者の2.5倍~7倍ほどいる計算になります、

でも前半の『PCR検査数が少ないから』は当てはまらないのです、

それは前述の1%~2%という低い陽性率を考えれば納得がいくと思います、

そして、これ以上検査数を増やすのは、とっても効率が悪いというか、あまり意味がない、

東京都の場合、見つかっていない感染者は8000人ほど、

仮に、陽性率1%で残りの(見つかっていない)8000人ほどを見つける(まだ全員感染しているとして)となると、

100倍の80万人程を検査しなければならない、ということになります、

これを『だから“検査数が少ない!”』と云うなら、まあ、その通りなのですが^^)

2020年2月から現在まで全国で行われたPCR検査は約44万件、発見した陽性者18197人(6月26日)

その倍の検査を行って8000人見つけるということに意味があるのか?

ワタシは無いと考えます、

それも、その時限り、その日限りの陽性者です、

もし一斉に検査したとしても、翌日にはまた新しい陽性者が生まれてきます、

いたちごっこをするのか?ということです、

結論としては、、、

感染可能性の高い人を重点的に行うのが合理的だし、現在のPCR検査数はこれで充分です、

◆重要なのは数ではなく、ニーズとのマッチングとスピードです

3月~4月に問題になった本質は“検査数が少ない”ことではなく

“検査を受けるべき人がなかなか検査を受けられなかった”ことです

第2波が来た時には、ここをしっかり改善することが肝要です、

一方、抗体検査はその時点での統計学的な意味があります

どれくらいの人がこれまでに感染したのか?これが分かるからです、

これは定期的に十分なサンプルで検査すべきです、

これも、むやみにランダムに検査するのではなく、疫学的、統計学的に意味のある統制された手法・時期・標本数で行うべきです、

今後、民間でも希望者に抗体検査を施す余裕が出て来たら、それはそれで拡大していけば良いことです、

ふ~、めちゃ長くなってしまった、

なるべくわかりやすく!のコンセプトがぶれてきた、難しいなあ、、、

学習します、、、修行します、、、



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