テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

コロナウイルスの事⑥:日本の都市封鎖は命令ではない!?ならばこそ、民主主義的に一致団結しましょう。

2020年04月01日 | コロナウイルス2020

コロナウイルスの事⑥:

日本の都市封鎖は命令ではない!?ならばこそ、民主主義的に一致団結しましょう。

事態が急速に進展しているように思えるので、このシリーズも連投、連続投稿です、

ここまで、なんとか持ちこたえてきた日本ではありますが、さすがに感染爆発の脅威が迫ってきているように感じます、

要因としては、

『海外からの帰国者による感染』が増えた(第2波流行)のに加えて、

『3月20日~22日の3連休での外出自粛の緩み』が重なり、

さらに『若者』と『夜の店での感染』が増えている可能性があります、

感染~発祥~検査~感染(陽性)確認まで2週間程度のタイムラグがあるので、

3月の3連休時の感染拡大の実態は今週末、4月3日~5日頃の新たな感染者数が一応の目安になります、

今週末に感染者数が激増するか否か、感染爆発が起こるのかどうかの分かれ目だと思います、

もし、感染者が急増したら、海外同様の都市封鎖が東京で実施される可能性があります、

今日のテーマはこの“都市封鎖”、

同じ言葉で表されますが、日本の場合、法的な事情で海外とはずいぶん様子が違うようです、

中国武漢に始まり、イタリア北部の各都市、そして今や欧州全体、米国NYにも広がっている都市封鎖、

メディアで報じられているように、海外では罰則を伴う“外出禁止命令”や“強制的な店舗休業命令”が出されています、これらは禁止命令です、

日本の場合は、、、

強制的な“外出禁止命令”や強制的な“店舗休業命令”は出ません、法的根拠がないためです、

日経ビジネス3月30日付け記事に書かれていますが、、

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく緊急事態宣言によって、都道府県知事が外出自粛の「要請」、学校や福祉施設などの使用制限に関する「要請」や「指示」が可能になる、、、

ということです、

外出自粛はあくまで「要請」です、店舗休業も同様です、命令ではありません、

学校などの使用制限や、一部施設を感染防止対策に使用する際は、「要請」ともう一段強い「指示」ができるようです、

他に「感染症法」での対応もメディアで紹介されていますが、これは時間的・地理的に非常に限定された狭い場所の生物学的汚染を前提にしているので、都市封鎖という施策には適用できないようです、

海外の都市封鎖の法的根拠になっている法律に比べると緩いように感じますが、これは日本が上等な民主国家である証でもあると考えたいです、

仮に命令でも禁止でもなく、罰則もないなら、都市封鎖の要請が出た場合、

日本政府はどんな対応をとるべきなのか?日本国民はどんな対応を取るべきなのか?

これを書きたいと思いました、ここが今日の「独酌酔言」の肝です、

以下に3つの可能性を示します、

A. 『禁止じゃないんだったら、命令じゃないのなら、開いている酒場を探して呑みに行こうぜ!』

これが最悪です、呑みに行く方も、店を開けている方もアカンやつです、
昨日書いたように、「医療現場の崩壊」を避けるためには、感染拡大のスピードを緩めて、ピークを低くコントロールする必要があります、
これを実現するために国民は様々な制約に自主的に甘んじるべきと考えます、

B. 『新たに強制力を持った法律を至急作るのが良い!国会は法律を作るのが仕事の立法府だから、速やかに強制力を持つ新しい法律をつくろう!!』

これはまあ正論です、こういうスピード感がないのが日本の欠点、ここでサッと頑張って法律を作るのも良いかと思います、、、

が、この場合、アレルギーもあります、その新しい力のある法律が悪用されないようにハザードがしっかりしていないといけません、事ある毎に国民に強制的な行動を押し付けることが出来るようになると民主主義の根幹に関わります、

それでなくても、我が国のトップは勝手に法解釈を変えたり、文書改竄を容認したりする悪癖があります、ここは慎重にならざるを得ません、

C. 『日本国民が民主主義的な意識の上に一致団結してコロナウイルスと闘う!!』

“民主主義的な意識の上に”というところが少々まどろっこしいですが、、、

これがないと“国民が一致団結して難局を乗り切ろう”と、なにやら先の大戦でのスローガンに聞こえてしまうのが嫌で、、

今回の一致団結は、第2次世界大戦時の『進め!1億 火の玉だ!』とか『1億総玉砕!』とは違うということです、政府のプロパガンダに踊らされたくありません、

良い例があります、この厄災に対峙したドイツのメルケル首相が3月18日にドイツ国民に対して行ったTV演説です、

メルケル首相の3月18日の演説全文と映像はこちら ⇒
(公式な邦訳が見つかりませんでした)

この演説でメルケル首相はとても重要で素晴らしい発言をされています、

ぜひ、全文を読んでいただきたいですが、ここでは抜粋します、恣意的ですがお許しください、

(メルケル首相の言葉 3か所を抜粋)

開かれた民主主義に必要なことは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。

 

東西ドイツ統一以来、いいえ、第二次世界大戦以来、これほど市民による一致団結した行動が重要になるような課題がわが国に降りかかってきたことはありませんでした。

 

私たちは民主主義社会です。私たちは強制ではなく、知識の共有と協力によって生きています。これは歴史的な課題であり、力を合わせることでしか乗り越えられません

(抜粋ここまで)

全文を読めば分かりますが、彼女は非常に丁寧に、細部にわたっての心遣い(医療関係者やスーパーマーケットの従業員への感謝)を国民に示しながら、

誠実に分かり易い言葉で、強い禁止事項の説明や協力要請を行っています、

とても、“民主国家のリーダーとしての自覚と自負”に溢れています、

“民主国家はコロナウイルスに打ち勝てるという強い信念”に貫かれています、

そしてなにより“民主国家を支えているドイツ国民に対する慈愛”に満ちています、

これが、国家的危機を迎えた時のリーダーシップであると強く感じました、

ドイツ国民はこの演説を聞いて奮い立ったのではないでしょうか?

今こそドイツは一つになるべきだ!!と、、、

ドイツの歴史や国民性を考えるとその可能性は十分あります、

彼我を比べると、もう云わずもがなです、

都市封鎖を始める時、我が国のトップはこういう知的で強くて優しいメッセージを発することが出来るのか?

難解な単語が並ぶ空虚な官僚の作文を、ディベートか演劇部の学生のように読み上げるだけで、日本は民主主義的な意識の上に一致団結できるのか?

でも大丈夫、

トップがどうであろうが、国民は民主主義的意志のもとに一致団結して闘う事が出来ます、

4つ目の可能性があります、

D. 我が国のトップがどんな演説をしようが、そんなことはお構いなく、

『もう、これ以上感染拡大のスピードは早めないぞ!』という意識を持って、強制ではない民主主義的都市封鎖に出来る限り協力する、

ということは誰にでも出来ます、民主主義的な一致団結です、

もうトップの演説の悪口なんか云っている時間は無いかもしれません、

それはまた次の選挙で意志を示すしかない、

もし、東京で、他の都市で都市封鎖が行われたら、出来る限りの努力をして“感染拡大のスピードを緩める”ことに協力したいと思います、

感染爆発が起こると、もう正面からコロナウイルスと闘うという選択肢は無くなります、

長期戦をつきあいながら被害を最小限に食い止める策を講じるしかありません、

冒頭に書いたように、今週末の感染者数の推移が最初の関門です、

そして次は、都市封鎖で失われる経済活動をどうして守るのか?という難題です、

これもまた政治の課題です、、、これはまたあらためて、、、

これまでの記事、

その①:『致死率1%を前向きに』『医療現場の崩壊だけは避けたい』はこちら ⇒

その②:『長期化は避けられない』『マクロ戦略は封じ込め』『ミクロではきめ細かい対応を』 ⇒

その③:正念場です!!日本でなぜオーバーシュートが発生していないのか?理由は分からないそうです!

その④:コロナウイルスの事④:日本のPCR検査数が少ないのはなぜか?そして、日本の感染者数増加が緩やかなのはなぜか?

その⑤:絶対に避けたい「医療現場の崩壊」日本の医療体制体力はどのくらいあるのか?