テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

「生物模倣」って知ってます、はい、最新の科学研究なんですが、これが面白いんですわ!~今日のお店:京都高倉錦上ルの「松川酒店」。

2016年11月22日 | 世の中

ここも元気でやったはりますね、

酒屋の雰囲気そのままの角打ち、

かと思いきや、細い通路の向こうには呑み専用カウンターもありますな、

あんまり使われてないようですが、

大将もお母さんも健在ですよね、うん、今年はね、お見掛けしましたよ、

え!?こちらの方は??お店の方?

いやいや、ワタシは単なる客ですわ、ちょっとね、手が足らん時は手伝いますねん、

あ、いらっしゃい、お嬢さん二人?ほな、ここでね、飲んでくださいね、

へ~、常連さんが仕切ったはるんや、面白いですな~、



それはそうとね、この前、東京でね、山手線に乗ったら、東農大の広告があってね、

ここは、昔クライアントで何回か行ったことあるんですわ、

たしか、オホーツクの方に分校とかあってね、

あ~こういうとこで、もう一回勉強したいなあ、とか思ったもんですわ、いや、ほんまに、

でね、その東農大の広告でね、『玉虫の玉虫色から学ぶ』みたいな話がありましてん、

ほう、バイオミメ・・・なんとかちゅやつですな、ね、日本語でいうと“生物模倣”、

そうそう、それですわ、

いろんな生き物のカタチや機能を真似して、新しい製品を作る技術ですな、

そんな学問があるんですな、

ほんで、玉虫色ね、あの独特の緑色からいろんな色に虹のように輝く色、

あれはね、色素でああいう色になってるんやないそうですわ、

詳しい理屈は分かりませんが、なんか表面に薄い被膜が何層もあって、ああいう色に反射がしてああ見えるそうです、

ほんで、この玉虫の被膜の構造を利用して、色素を使わずにいろんな色を再現した製品を開発しているそうですわ、

なるほどね、えらいもんですな、自然というのは、

あったでしょ、サメ肌構造のめちゃ早い競泳水着とか、あれも凄いですよね、

人類はね、いままで独自の英知でいろんなものを発明してきましたけどね、

たとえば、飛行機、あれはもう鳥のよう飛びたいという願望を、人類独自の方法で解決したカタチなんです、

他にも人類が発明した道具はほとんど全部、自然界にはなかったもんなんですな、

こんなんできるのは、たしかに生き物の中では人類だけかもしれません、

なもんで、なんか人類ちゅうのは生物の中で一番偉い存在のような気がしますが、、、

この“生物模倣”の科学を調べて行くとね、

自然界の中にもビックリするような“発明”がいっぱいあるんですわ、

それは全部、『自然界の中で自然が自然と進化発達』して成し得た機能なんですわ、

それを、あらためていろんな生物から学ぼう、ちゅうこの“生物模倣”化学、

なんか、オッチャンはこれが気に入ってますねん、

自然界にないものを作り出すより、自然界にあるものに習う、そんな気持ちの問題だけですけどね、

自然とか地球に敬意をはらう謙虚さが人類を救うと思うんですけどね、

おっと、コップ酒、こぼれるまで入れてくれはった、

これはコップを持つとこぼれますな、ここは口から行くんです、

こうやって、唇突き出して、一口つい~といただくんですわ、な、こうしたらこぼれへん、

これはねえ、蚊とかハチドリとかの行動から、生物模倣によって開発された酒飲みの知恵ですわ、

いや、ほんま、

【今日のお店:松川酒店】

京都の台所“錦市場”、

京都四条通りの1本北側の東西の通りが錦小路、

この錦小路のだいたい東は寺町通りから、西は高倉通りまでが錦市場です、

最近は完全に観光地化され、外国人観光客もいっぱい、

新しい店もどんどんできましたが、それでもまだまだ老舗もがんばってます、

その高倉錦の角をちょっと上ルと「松川酒店」があります、

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京都でも屈指の角打ちとして現役でガンバッたはります、

大将とお母さんで店を取回しておられますが、いたってのんびりとした感じ、

いやいや、客対応は丁寧なんですが、ふと家事や用事でいなくなられる時があります、

すいませ~ん、お酒ください、

とか云っても返事がない時も、、、あれ、お母さん、どっか行ってしもたな、

てな調子です、

そんな時は、、、常連さんが差配されます、

はいはい、ビールはねそこにあるのんから取ってね、

日本酒はここ、自分で入れてね、

そこ、ちょっと詰めてもらって、一人入れてもらえますか?

こんな感じで自主運営です、

ええでしょ、みんなでエエ雰囲気で飲みたいから、みんなで気を使いあう、

京都はこんな店もあるんですな、

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錦市場へ行った折にはぜひ、ちょっと寄り道してみてください、