夢の続き・・・

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こよなく愛し、ささやくブログ

悪人

2010年10月18日 19時53分19秒 | 映画
先日、◎賞を深津絵里さんが受賞し、ニュースで大きく報道され、脚光を浴びた映画「悪人」を見た。



話題の映画だけあったので、いつ行っても混んでいた。
そこで、少し時間をあけて観た。
朝日新聞夕刊に連載され、毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した吉田修一さんの作品を
映画化した犯罪ドラマだ。
主演は妻夫木聡さん、深津絵里さん、江本明さん、樹木希林さん、満島ひかりさんをはじめ、
豪華キャストだ。

妻夫木さん演じる清水祐一は、感情表現など苦手で、余り社会に順応できるタイプ。
とはいえ、祖父母の介護といった面倒を見るなど悪い人間ではない。
ある日、清水が出会い系サイトで知り合った女(満島ひかりさん)とデートを約束したが、
目の前で別の男の車に乗る。



腹を立てながら尾行するが、この時は殺意まで持っていない。
しかしこの女、峠道で喧嘩し蹴落とされる。そこに尾行してきた清水は、助けようとするが、勘違いされて罵倒され、一瞬の衝動から首を絞めて殺してしまう。
ここから逃避行となり、逃避行中に同じく出会い系で知り合った光代(深津絵里さん)より連絡があり、
出会う。そこでお互いに惹かれあい、逃避行を続けて警察に捕まるまでを描く。
逃亡する二人、加害者側家族、被害者側の家族、双方に関る関係者などの側面から物語を構成する。
柄本さんは被害者の父役、樹木さんは加害者の祖母役など素晴らしい演技で、双方の重苦しい雰囲気をだし、見ている側を引き付ける。
また、その他の共演陣もまた素晴らしい演技で、それぞれ見せ場がある。

清水も、悪人ではないので、光代と愛が深まれば深まるほど、犯した罪の大きさに気付き苦しくなる。
妻夫木さん、深津さんの苦しい胸中の逃避行は見事な演技であった。

悪の定義って難しい。本当はいい人であっても、いかなる理由であれ、殺人を犯せば、第3者から見ると、只の殺人鬼としか見てもらえない。
そこには事情などどうでもよい。結果だけで悪人となる。
それを間違っているとは思わない。これが世間だ。
極悪非道の悪人ではなく、世間の悪人を描いた映画だと個人的には感じた。

キャストが素晴らしく、感情移入が出来、久々に面白かったと思う。
殺意の衝動へとつながる女の発言が少し無理があるような気もするが、そんなのはたいしたことではない。
よって☆4.5 
DVDでもう一度見たいと思う。