ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(映画)
NHKBSプレミアムで放映されたものを録画しておいて観た。
2017年に発表された,スティーヴン・スピルバーグ監督によるハリウッド映画。実際に起きたことを題材にしている。
映画は,1965年,泥沼化したベトナム戦争の現場から始まる。この状況を視察した政府派遣の軍事アナリスト,ダニエルは,時のマクナマラ国防長官に報告するが,報告は秘匿され,戦争は継続する。
この経緯を,マクナマラ長官の指示でダニエル・エルズバークらが記録したのが,7,000頁に及ぶいわゆる「ペンタゴン.・ペーパーズ」で国家最高機密文書である。
義憤から,ダニエルは「ペンタゴン・ペーパーズ」を何回かに分けて密かに持ち出し,コピーをとる。そして,1971年にそれをニューヨークタイムズにリークし,ニューヨークタイムズは特ダネシリーズとして発表するが,司法長官による記事差し止め命令によって2報目以降は出せなくなる。
一方,ワシントンの地方紙に甘んじていたワシントンポストの編集主幹ベン・ブラッドリーは,これをチャンスと社主のキャサリン・グラハムに,彼女の友人でもあるマクナマラから「ペンタゴン・ペーパーズ」を入手できないかと要請するが,却下される。
ベンは,かつて同僚だったダニエルが文書を持ち出したと見当をつけ,コピーを譲り受け,記者を自宅に集めて,記事のかたちに編集してゆく。
ベンの報告を受けたキャサリンは,このスクープが社に与える危険性と,友人のマクナマラの立場を考え,悩んだ末に新聞の持つ報道の自由の権利に思いをいたし,記事の掲載を許可する。
このことを知った重役と法律顧問は,キャサリンとベンに記事を取り止めようと迫る。特に記事の取材源がニューヨークタイムズと同一だったことを知った法律顧問は,差し止め中の記事を掲載することは法廷侮辱罪に相当し,キャサリンの逮捕と社の存続問題に発展することを危惧して,記事の取り止めを強く要求する。一方ベンはこの記事が差し止められれば,記者の多くが辞職し,ワシントンポストは機能不全に陥るとして,発表を主張する。
決断を迫られたキャサリンは,記事発表を命令し,スタンバイしていた輪転機が印刷を始める。
反響は大きく,各新聞社がワシントンポストのスクープに追随する。そして,裁判の場においても最高裁判所で新聞側が勝訴する。
映画は,ホワイトハウスでニクソン大統領と思われる人物が,憤懣をぶちまけ,ウォーターゲイト事件の発端に着手することを示唆する場面で終わる。
映画はサスペンス仕立てで,画面に引き込まれる緊張感が続いている。主演のメリル・ストリープとトム・ハンクスは,アカデミー賞の主演女優・男優賞にノミネートされた好演で,助演陣も安心して観ていられるキャストを集めている。
ハリウッド映画お得意のアメリカン・デモクラシー賛歌であるが,観終わって悪い気持ちにはならなかった。
先だって亡くなった毎日新聞西山太吉記者による,沖縄をめぐる秘密外交文書の暴露事件を思い出しながら観ていた。
道端の花
スイセン(上)とユキヤナギ(下)。阿見町内で撮影。
STOP WAR!
「奮起せよ」ジャーナリスト。道端の花「春到来」ですね。咲き誇る「桜」より野に咲く「花」に愛おしさ
を感じます。