マ ス ク
政府は,現状下でのマスク着用について,マスクをはずせる条件についての指針を発表した。慎重を期したのかもしれないが,遅すぎた感が無きにしもあらずだ。
ところで,昨日の朝日新聞13面の「耕論」は,『マスクから見える日本』と題して,新型コロナパンデミックにおけるマスク着用について,3人の方の見解を紹介していた。
飲食店経営の藤嶋由香さんは,自分の店での酒類提供について政府の指針に従わなかった体験を踏まえて,指針はルールではなく,自己責任においてそれに従うかどうかを判断すべきであることを強調する。そして指針をルール化してマスクを着けたり外したりすることが,個人の自由を権力に明け渡すことにつながる危険性を指摘する。
東京女子大学学長の森本あんりさんは,アメリカ人のマスク着用への対応は,自己主張であって,そこにはアメリカという国の,歴史的,宗教的,政治的な背景があることを指摘する。マスク着用についてまわりの空気を読む日本人とは対照的に,アメリカ人は自己主張することがむしろ安心感につながるのだという。
心理学者で筑波大学教授の原田隆之さんは,マスク着用が,手洗いやワクチン接種とちがって,一目瞭然であることを指摘し,それが徹底してきた理由として,科学的に効果が明らかになったこと,うつりたくない・うつしたくないという気持ちが多くの人にあったこと,「マスク警察」に象徴される同調圧力が働いたことをあげ,その背後に感染拡大当初のコロナイルスに対する恐怖感,不安感からくる負の記憶が存在することを指摘する。そして同調圧力について,人は集団でなければ生きていけないので,その集団が崩壊しないように規範を作るという意味で,悪いことだけではないと述べている。
わたしは,自転車,散歩,畑仕事のように人と接触しないところでは,以前から自分の判断でマスクを外していた。しかし,すべてについて自分で判断することは不可能である。専門家の検討を経て出される指針は,寄りかかるべきものとして必要だと思う。判断の素材がほかにない時に,指針に従うことは没主体的とは言えないのではないだろうか。
それにしても,早くマスクをはずせるようになるといいのに。
STOP WAR!
すべきと思います。