ご自愛ください
朝日新聞の文化欄の連載物に『”I”アイをください』というのがあって,8月21日に,《自分に向けて「ご自愛ください」》という記事が載っていた。
「ご自愛ください」は,わたしも手紙などでよく使い,それは相手を思いやる意味で使っている。ところが,この記事によると,最近は自分をいたわるという意味で使われることが増えてきているという。「ご自愛タイム」,「ご自愛ごはん」,「ご自愛スウィーツ」などなど,ネットで検索してみたら,「ご自愛レシピ」とか「ご自愛タイムの過ごし方」のような記事が見つかった。
デジタル大辞典によれば,「自愛」とは,「自分を大切にすること」ということで,意味からいえば自分に向けられてもおかしくないかもしれない。
しかし,「ご自愛」は奈良時代から使われ,相手を慮る意味で使われてきたという。自分に向けて言おうとするならば,「ご」を取っ払って「自愛」だけでいいように思うが,「ご」が付けられるとホンワカしたニュアンスが出てくるのだろうか。
同じ傾向は,「ご褒美」という言葉にもあり,本来相手あるいは第三者にあげていたのが,「自分にご褒美をあげる」という使い方が当たり前になっている。
精神科医の藤野智哉さんは、自分に向けた「ご自愛」が広がる背景の一つに、コロナ禍があると分析している。人と疎遠になり,孤独感が増していく中で,だれも助けてくれない,自分で頑張って生き延びなければというようになってきているのでは,と指摘する。
本来は人と人との思いやりやつながりを表す「ご自愛」が,孤独を癒す意味で使われるようになったのは,ちょっと寂しい気がする。
なお,ひとのためでなく自分のために,という風潮の代表的な言葉に,1996年のアトランタ五輪の女子マラソン銅メダリスト有森裕子さんの「自分で自分をほめたい」がある。この言葉は「ほめてあげたい」と変形して流布されたが,昨日の記事で,有森さんは「あげたい」という言い方はしてないと否定している。そして,自分に重圧をかけて頑張ったことへの「自己肯定」であり,あの言葉はあの時一回だけで,しょっちゅう使えば単なる怠け者だと述べている。
蝶の折り紙
カミさんが,友達に教わって,折ってくれた。
STOP WAR!
私はここを読ませていただき現代人の「孤独」というか人とのつながりの稀薄を感じました。
蝶の折り紙は綺麗で、素晴らしいです‼︎