ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

エンリケ航海王子の夢の跡

2018-09-21 09:57:36 | 海岸を散歩する聖人の旅行記
2018年9月21日

体調不調のため、更新の間を空けてしまいましたが、復帰です。
今回から、「海岸を散歩する聖人の旅行記」として新しいカテゴリをつくりました。訪れたポルトガルの町々を時々案内してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、ポルトガル南部のアルガルブ地方にあるサグレス岬の要塞です。


ポルトガル大航海時代の礎を築いたエンリケ王子は英国人の血を引き、イギリスでも人気があるポルトガルの歴史人物の一人である。

サグレス要塞は15世紀にアルガルヴェ地方のラゴスを拠点にし、当時「不帰の岬」と呼ばれ船乗りたちに恐れられていたアフリカ大陸沿岸へ船を送りだし、国家事業として海外進出に乗り出したエンリケ航海王子の終の棲家になる。



テンプル騎士団の後継であるキリスト騎士団初代総長となったエンリケ王子は騎士団の富を資金源に新しい船の造船にも力を注いだ。キリスト騎士団員は独身でいることを求められ、グランドマスターの王子も生涯独身を通したが、ヨーロッパの小国ポルトガルに大航海時代という黄金時代をもたらしたのはこのエンリケ王子である。

末弟フェルナンド王子と共に北アフリカのタンジール攻略をするが失敗、フェルナンド王子は人質となり6年間の幽閉後アフリカで死す。

以後エンリケ王子はサグレスに引きこもり天体観測に専念し、ヨーロッパ各国、イスラム国からさえも航海知識者を招き航海教育に努めたと言われる。サグレスに王子の航海学校があったとされるのはこの所以であるが実際に学校そのものが存在したかどうかは明確ではない。



要塞の門をくぐるとすぐ左手に直径40メートルの羅針盤跡が見られる。サグレス岬を一周するには1時間半ほど。岬のコース途中の数箇所に設けられている航海時代に関するモニュメントも興味深い。







余裕があるならば夕刻の訪問を勧めたい。生涯独身、陸路の果ての断崖岬で大西洋に沈む夕日を眺め、星を求めたであろう孤高の人エンリケ航海王子の夢の跡が残照に見えるかもしれない。



エンリケ航海王子、1460年、サグレスにて没。
最後に、航海王子と異名を持つもののエンリケ王子は陸での計画に携わり、実際に航海には出なかったことを付け加えたい。






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