ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

ポルトガルのコネ社会

2018-01-01 22:12:19 | ポルトガルよもやま話
2018年1月1日

新年 明けましておめでとうございます。
本年度も拙ブログにお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。


今日は、昨年9月まで30年間ほど狭い我が家を掃除に来てくれたお手伝いさんの話です。

週に2度、解雇したくも解雇できず、ずるずる去年まで午前中の3時間、大きくもない我がフラットの掃除を頼んできたDona Belmiraが(ドナ・ベルミーラ)おりました。倹約のために、もう来ていただかなくてもいいかな?と思ったりすることもあったのですが、長年通って来てもらうと家族の一員みたいなもので解雇などとても出来なくなっていました。息子の小さい頃から、娘の場合はわたしのお腹の中にいた時から知っているのです。

Donaと言うのは、ポルトガル語で既婚女性の名前の前につけられます。例えばわたしの場合は、「Dona Spacesis」と言う具合です。奥さんということでしょうか。

さて、そのベルミーラおばさん、ある日我がフラットのドアを入るなり、自分が先日行った血液検査クリニックでの不満をまくし始めました。

ポルトガルでは血液検査は病院ではしない。それ用のクリニックがあり、そこで採血してもらって後日検査結果を受け取けりに行き、それから、その結果を病院の担当医にもって行って診断を仰ぐのである。

彼女が何に立腹していたかといいますと、こうです。

どこもそういう検査のクリニックは人でいっぱいになるのは目に見えているので、家を朝早く出た。それでも自分の番号札は44番。じ~っと我慢の子、自分の番号が呼ばれるのを待っていたのだそうです。

段々44番に近くなり42番が呼ばれた。いよいよ自分の番だと思いきや42番から43番、44番をスッ飛んで50番と54番を看護婦さんが呼んだのだそうだ。

実を言えばこういうことはよくあるのです。
看護さんが番号を間違えるのではなくて、間に例えば知り合いとか、知り合いの紹介とかの人をサーッと間にいれるのでして、言うなればコネですね(笑)

しかし、ベルミーラおばさん、黙っておりませんです。なんでよ。なんで43の次が50になるの!と、早速その場で看護婦をひっつかまえて、一席ぶったそうな。

「ちょ、ちょっと、看護婦さん、お待ちよ。今、呼んだ番号、何番と何番?」
「この番号札、順番でしょ?」 「そうですよ」と看護婦。
「あたしゃ、44番なのよ。43の次がなんで50になるんだぃ?」
「あたしの里じゃ、43の次は44が来る。50は49の後と学校で習った。ここは違うのかい?」

ここまで聞いてわたしはギャッハハと大笑いしてしまった。ベルミーラおばさんは続ける。

さすがの看護婦もこれには抗しきれず仕方なく43、44と呼びなおした。しかし、Dona Yuko,その後がいけまへん。

「見てくださいよ、これ」と採血の痕がついてる腕をつきだして、「あの看護婦ったら、腹いせに2度も間違った振りして、針が通らないとこに突き立てて!」  見ると、腕の同じ箇所に3つの注射針の痕が確かにある。

必ずしも故意にしたとは思われないが、なんともわかりません。 えらい気の毒なことではありましたが、わたしは、ベルミーラおばさんがプリプリ怒っているに拘わらず、「あっはははは」と大声で笑わずにおられないのでした。

こういう小さなことから大きなことまで、ポルトガルがコネ社会であるのは間違いない。フェアじゃないと知っていながら、夫の同業の医者や看護婦から、わたしも時々夫の七光りを受けて、43番の次に50番が来るようなことをしてもらってることが残念ながら・・・ある。そのようなことを自ら頼みはしないが、夫を知っている人たちは知らぬ間にそういう計らいをしてくれてるはずです。

そう思ったら、「あっはははは」とひとしきり笑った後で気がひけてしまいましたっけ・・・
いやぁ、わたしもエラそうなことは言えませんて。

ベルミーラおばさんが我が家を去って後、今は週に一度、新しいお手伝いさんが通って来ていますが、こんな楽しい話が聞けたりするようないい関係になるといいなと、楽しみにしているわたしです。


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2 コメント

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こね (ほげほげとまと)
2018-01-03 00:09:00
spacesisさん

コネも実力のうち

って夫がよく言っていました

あはは


ほげとま
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ほげとまさん (spacesis)
2018-01-03 07:05:27
残念ながら、ご主人がおっしゃったように、
現実社会では多分にそうでしょうね。



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