夕空ノート

管理人、天野空流の日々を書き綴る場所です。出かけた際の写真などを中心に書いていこうと思います。

冥王星、はるか彼方。

2007-05-10 23:52:49 | 宇宙


大気が不安定だとかで、雷鳴の轟きを耳にした日でした。

またも宇宙ネタということで。
この手のものは、いろいろと調べているうちに内容が肥大してしまう
傾向にありますね・・・(^^;)


さて、学会を騒がせてきた、「冥王星」。
最終的に太陽系の外側を取り巻く、エッジワース・カイパーベルトと呼ばれる小さな天体の集合体の一部であるという見解から、(観測技術の発達で、冥王星より大きな天体が見つかってしまったため)冥王星は太陽系の惑星からははずされてしまいました。
そもそも冥王星は地球から約60億キロというとてつもなく遠い天体です。
おまけに、火星や木星などとは異なり、大きな楕円軌道となっていて、公転周期は278年。発見が1930年なので、発見からまだ太陽を半周もしていないことになります。
冥王星はカロンという衛星をともなっており、冥王星自体は月よりも小さいものです。
遠くて、小さくて、質量も小さい。
これゆえに、いくら技術が発達したといってもなかなか細かいことまではわかりません。

そこで、まだ太陽系内で唯一探査機の送り込まれていない、この冥王星に探査機を送り込もうという計画が90年代からNASAなどで練られていました。
ところが、遠いということで、巨額の費用がかかります。
計画途中で、成果が期待のできる火星ミッションのほうに費用がまわされてしまい、計画は頓挫したのですが、遠い天体、まだ未知なる世界、そういったものに憧れる、学者をはじめ、アマチュアの天文家、一般の人からの根強い要望から、再び計画が浮上。
これが、「ニュー・ホライズン計画」です。

主なミッションとして、冥王星とその衛星カロンの地表の様子などの細かい撮影、大気成分、構成物質などの調査。
そして、冥王星でおわらず、そのまま冥王星の外側に広がる、カイパーベルト天体を調査するというものです。

前回などで紹介したボイジャーなども木星まで到達したあと、冥王星へむかう軌道もとれたものの、当時の選択で、木星の衛星タイタンに向かったため、冥王星には到達しなかったため、今回のミッション、冥王星への探査は初になります。


計画は遅れたものの、2006年1月、地球より打ち上げられ、10年以上に及ぶ航海が始まりました。コースとしては、地球からの打ち上げ後、木星でのスイングバイで加速、その後冥王星へと向かう軌道にのります。
遠い旅のため、初速をできるだけ速く打ち上げる必要があるため、アトラスと呼ばれる強力なロケットを使用し、発射9時間後には月の周回軌道を通過しました。
アポロ号が月を訪れたときは、月までが4日だったので、どれだけ早いかおわかりいただけると思います。
2007年1月に、ニューホライズンズは人類史上最速の1年1ヶ月で木星に接近。
木星に立ち寄り、スイングバイでさらに、秒速4キロメートル増速し、このスイングバイの接近チャンスを利用し、木星を観測。
木星の中赤斑のカラー画像、衛星イオの溶岩、リングの詳細な画像などが地球に送信され、各機器が正常に動作していることが確認されました。
どの機器も性能をフルに発揮しているようで、非常に鮮明なものでした。
このあと、木星での観測を終えた探査機は秒速23キロメートルで、太陽系を遠ざかります。
その間、主な電気系統のスイッチは落とされ、年1回のシステムチェックなどを経て、約8年間の孤独な航海を続けます。


冥王星到着は2015年。
その頃には自分は何をしているのかなと、思わず思ってしまいます。
そのときの新たな発見を期待して。