ららみ先生のピアノのおけいこ

自閉症でも、発達障がいでも、
両手でピアノが弾けるんです♪
ピアノが弾けるって、素晴らしい!

楽器を身につけておくということ~宮下奈都「静かな雨」

2018-12-22 | 読書、文学など

Cちゃん(高3)に薦められて、宮下奈都 著「静かな雨」を読みました。

「博士の愛した数式」を彷彿とさせるような、切ない物語でしたが、
宮下さんの文章が美しく、一気に読むことが出来ました。

 

内容は、ひとことで言うと。。。

1人で、たい焼き屋さんを営む「こよりさん」と、
その たい焼き屋さんのお客さんだった「行助さん」との恋愛物語です。

2人の交際が始まったばかりの頃、こよりさんは事故に遇います。

そして こよりさんは、記憶が1日しか保たなくなってしまうのです。

そんな2人は、一緒に暮らし始めるのですが。。。

 

この作品は、さりげない会話の随所に、奥深い意味が隠れています。

2人での会話や、こよりさんが、たい焼き屋さんに集う高校生に話しかける言葉。。。

含蓄のある会話が多すぎて、どれもメモしておきたい程です。

その中で、楽器に関する こよりさんの会話を、以下に記しておきたいと思います。

 

こよりさんは、子供の頃から続けていたピアノを、大学進学の際に止めてしまいます。

でも、ピアノを止めてしまった事を、心のどこかで後悔しているのです。

そんな事を行助に語った後、こよりさんは言います。

「楽器をしっかり身につけておくと、音楽を聴くときの深さが違うのね。
面白さっていうのかな。   楽器は自分で弾く為だけにあるんじゃないのよ。」

 

ここの箇所は、大きく頷きながら読みました。

確かに、ひとつの楽器を極めていくと、他の楽器の良さもわかります。

そして、音楽を、様々な角度から味わうことができます。

まさに、楽器は自分で弾く為だけにあるのではないのです。

そんなことを、改めて認識させられたのでした。

 

この作品は、他にも心に残る名台詞が沢山出てきます。

そして、「静かな雨」と言う題名の通り、
優しくて静かな余韻を、読む人に与えてくれる小説だと思います。

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