白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

山々は冬支度を急ぎ 気持ちはまだ追いつかない

2020年10月11日 21時25分43秒 | 日記
このところ毎日栗拾いに追われていた。
台風14号が近づいて、昨年のように千曲川が氾濫するのではないかという危惧があった。
それもどうにか逸れて、ホッと一息。
栗拾いも盛りを過ぎて、今日は休みになった。
山の紅葉は今年色づきが悪いと聞いていたが、出かけてみることにした。
紅葉の名所、松川渓谷に沿って山田牧場まで登ってみると、そこには見事な効用があった。

ここは笠岳の登山口。
笠岳は二千メートル以上あり、信州百名山にもなっている。
高山村から山ノ内町の志賀草津ルートに抜けられるとうげがここ。
峠の茶屋があるが、営業していない。
公共のトイレも無くて、茶屋のトイレを使うことになるが、処理は茶屋の持ち出しだという。
村は何年も前に村に補助を要請したが、未だに梨のつぶてだという。
下の山田牧場に一億一千万円もかけて足湯を作るという愚かとしか言いようのない計画を村は持っているが、そんなことよりこの付近に多くの山小屋が設置しているバイオトイレを作るとか、信州百名山の看板を掲げるとか、そんなことの方がよほどいいと僕は思っている。

山は確実に冬支度を始めた。




志賀草津ルートはさすがにこの時期、県外ナンバーの車が多い。

渋峠。
日本の国道の中で、最高の標高を持つ。
ここはサイクリストの聖地。憧れの地だ。
いづれはここに登ってこれる、かな?

ここは僕がまだ若かったころ、リゾート感あふれる高原だった。この道路も有料道路で、夏は多くのハイカー、冬はスキーヤーで賑わったものだ。
原田知世さんの『私をスキーに連れてって』の映画もこの地で撮影された。
この頃はずいぶん寂れて、わびしさが感じられる。
それでも、この大自然にとってはこの方がいいのかも知れない。
ようやく、大人の高原になったのだ。
信州と上州の県境にある横手山の登り口には若山牧水の碑などが建っている。
いかにも旅姿の牧水が歩いているにふさわしい気がする。

帰路、箱山温泉に立ち寄り入浴と食事。
箱山定食。千円。
美味しかった。

ぶどう畑だったが、夢でご先祖様?が現れて、ここを掘りなさいと告げたそうな。掘ってみると温泉が湧いたというウソのようなホントの話。
少し濁った温泉は体に優しく、緊張をほぐしてくれる。
それほど有名な温泉ではないので、ほとんど地元の人しか行かない。
お気に入りの隠し湯。

帰宅すると、三陸の秋刀魚が届いた。
埼玉にいる昔からの山友達が送ってくれた。

震災で大変な三陸の人たちを少しでも支援したいから、と友は言う。
ありがたいことだ。
大好きな東北へ、また出かけてみよう。すこしでも支援になるように。
さっそく焼いて食べた。
秋刀魚、秋刀魚、秋刀魚苦いかしょっぱいか。佐藤春夫の秋刀魚の歌など口ずさむ。
『もう一匹所望いたす。~もう一度庭を見ようか?』落語の目黒の秋刀魚などを思い起こしながら心からの満足を覚えた。
秋刀魚の漁獲量が減って、昔のように大衆魚ではなく、今や高級魚になってしまった秋刀魚を、こうして食べられる幸せ。
気持もようやく晩秋の中に歩入れるようになった。

あとわずかとなった栗拾い、明日から頑張ろう。