何を血迷ったか、『冬のウルトラO_2022 四賀のジオめぐり ウルトラオリエンテーリング』に参加を申し込んでしまった。
それというのも、距離が26.5キロ、制限時間が5.5時間なら、自分にも走破可能だと思ったのだ。何といっても、時速5キロで行けば27.5キロ行ける。走らなくても間に合う。
10日の土曜日、自分にはお天気の神様が付いていて、この上ない上天気。絶好のオリエンテーション日和となった。
コースは今は松本市に吸収合併となってしまったが、旧四賀村の役場跡、四賀支所から、四賀のジオ巡りをして、標高1,000メートルを超える刈谷原峠を経て、松本城、そして松本駅がゴール。
地図をもらって、11時にスタート。
最初から上り坂。
ここは善光寺街道の会田宿。
常念岳。
ポイントは10ヶ所ある。
大ポイントを過ぎて、折り返してくるランナー。
第1ポイント。
四賀キャニオン。
タモリさんが喜びそうな地層。
ここが第2ポイントの藤池百体観音。
ここに着くまでの苦闘を少しだけ語ろう。
2万5千分の1の地図は読めるつもりでいた。
山の地図はよく読んでいたから。
ところが、里の地形図や小さな農道の複雑さには閉口した。
走り、歩いていると、すぐに自分の現在地を見失う。
コースアウトして1.5キロ程遠回りしてしまった。
メインの道路を行き過ぎて、曲がるべき杣道を逃してしまったのだ。そのことに気づかず、その先で完全に道迷いの状態になった。小さな農道がいくつもあり、どこに行けばよいのか分からなくなった。
さんざんさまよった末、かろうじて第2ポイントの百体観音の手前まで来たとき、大分後方にいたはずの人たちが、折り返してきているではないか。
百体観音に着いたとき、偶然主催者のメンバーがそこに居た。
オリエンテーションの専門家で、地図の読み方をレクチャーしてもらいつつ、一緒に走った。
色々な地層が合体した豆岩。何故そう呼ぶかはわからない。
ここが第3ポイント。
この山に、クジラの化石!
大きなガラスケースがそのまま建物。第4ポイント。
クジラの骨が、本当に石になっていた!!
地図読みレクチャーの木村さん。
コースアウトしそうになった時声を掛けてくれた。
このコースには峠が二つある。最初の峠はまだ生ぬるい。
ただ走り続けるにはつらいので歩く。
ここが第5ポイント。
写真ではよくわからないと思うが、左側の陰になった部分と日向の部分にまたがって、逆Z型の文字が隠れている。
これが逆断層だという。
ここから最初の峠の下りが始まる。
そして一人旅が始まる。
第6ポイントの四賀化石館。
ここで先行グループに追いつく。
良い目標ができたと追走。
小さな女の子が天使に思えた。
こんな小さな子が軽やかに走っているのだから、遅れるわけにいかない。
道はいよいよ急な刈谷原峠の1,000メートル越えに向かって急になる。
自分にはいっぱいいっぱいの登りだった。
遅れないようについていくのがやっと。
第7ポイント。馬頭観音。
昔、ここを通って善光寺に向かった旅人もいるのだろう。
女の子に歳を聞いてみた。
3年生、9歳と。62歳の差だ。なんだかわからないけど感無量!
峠の頂上まであとひと踏ん張り。
ここはポイントではないけれど、頂上。
1,000メートルを超すとさすがに寒い。少し下まで半そで1枚で来たが、慌ててジャンパーを着る。
ここからは松本城をめがけて下るだけ。
距離も半分以上来ている筈。
未知のコースは、どれほど体力を温存してよいのか判断がむづかしい。
山道を走り、里入口に第8ポイントはある。
ここからアスファルト道。
古の古き良き時代の面影。
岡田神社参道が第9ポイント。
ケヤキだろうか、太い太い樹。
車が走ってる!街だ。
最後のポイント。北門大井戸。
飲んでみた。
非常に滑らかな口当たり。
少し生ぬるい感じが残念!
もう大分傾き始めた西日の中に、松本城。
ここから松本駅までもう少し(のハズ)。
時刻は15時23分。
制限時間は16時30分なので十分間に合う。
車を置いてきた四賀支所まで戻るバスの時間は、バスターミナル発15時40分。それを逃すと19時しかない。バスは午後2本しかない。
バス発車迄17分。間に合うだろうか。
ゴール。松本駅。
時間は15時33分。
電話でゴールの連絡を入れ、バス乗り場の場所を訊く。
なんと駅前の大通りを渡ったその先にある。
信号はなかなか変わらない。時は過ぎる。そして、時は過ぎる。
長い信号待ちがようやく終わり、ダッシュでバスターミナルに駆け込む。
若い女性が二人、半そで1枚で走る姿を見て『さむー!』と思わず叫んだ!
そんなことには構っていられない。
バスはすぐに見つかった。
そのままバスに駆け込む。
慌ててマスクをして時計を見る。
15時38分。2分前だ!
出発地点の四賀支所に到着。
このバスに乗った参加者はいなかったから、多分この後開かれる忘年会に参加するのだろう。
未来図という会社が企画したこのイベントには常連さんらしき人がたくさんいたから、楽しく今年を振り返るのだろう。
近くにあった松茸山荘という温泉で汗を流し、ひと息ついた。
美人の湯というすべすべした感触の温泉。
暮れていく山の景色を眺めながら、どうしてコースアウトしてしまったのだろうとか、地図読みをもっと習熟しないとな、とか、つらかったけど楽しかったなとかとりとめもなく考えていた。
後に、地図読みレクチャの木村さんにお礼のメールをしたところ、『見ていて、地図を見る頻度が少なすぎると感じた』という指摘を頂いた。
そうだったのか!
走り、歩くことのみに注意が偏り過ぎていたのか。
改めて、もっと地図読みを確かなものにしようと誓った。