白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

樹と語り合う

2020年11月25日 21時29分12秒 | 日記
かみさんの実家の庭は森のような樹が植えてある。
かつては植木屋さんが入って手入れをしていたが、もう何年も前からそれもなくなった。
樹は伸び、ゆうに十メートルを超えるものもある。
植木屋さん伐採を頼んだが、やりたがらない。植木屋さんも高齢で、とてもそんな仕事はできないのだろう。
この家の住人も八十歳を超え、庭などにかまっていられなくなった。
高原の別荘のような庭は、荒れ果てた密林のようになり、母屋に陽が入らなくなった。
見かねて何とかしてあげようと、時折手入れに通っている。

この樹はこんな状態。
根元から伐ってしまって欲しいと別棟に住む息子は言う。
だが、親が思い入れを持って作った庭だ。
樹よ、お前はどうして欲しいのだ。
陽が当たり、風が通る。当然密は嫌だ。


取り敢えずこんな風にしてみた。
こんな樹が他にも何本もある。
抱えきれないほど太い樹もある。
長期戦を覚悟する。
本日はここまで。

これは昨日のことだ。
そして今日、頼まれていた友人の庭の樹の手入れ。

ヤマボウシ二本、楓一本。

仕上がりはこれだ。
南側には他家が陽を遮り、ただでさえ冬は陽当たりが悪い。
何本か伐採し、枝も剪定した。
すっきり、さっぱり。
庭木の専門家には、色々意見もあろう。
ただ、これは多分に感覚的なものがあるので、人によって違う。
陽が当たり、風が通る。これが基本だ。


この樹の仕事は、他にも頼まれていて、とても抱えきれないほどの梅の古木を伐採して欲しいというもの。
すぐ横に小屋があって、一筋縄ではいきそうもない。


他には民宿の台所の床板の修理も頼まれている。
自宅の趣味小屋に前室を作る仕事や、沢庵の漬物の仕事、すんき漬け、畑の耕運、黒豆の収穫、無線LANのルーターやモデムのすっきり収納の段取り等々、結構多忙な日々。あっ、あと蕎麦を打ってリンゴやカキを頂いたお礼に配ったり、釜揚げうどん用にうどんを打ったり、ハックルベリージャムを作ったり...
キョウヨウとキョウイクがある我が身です。
さて、私は何屋さんでしょう。


人間はミスを犯すものだ

2020年11月17日 06時35分08秒 | 日記
そばを打った。
いよいよ新そばに切り替わると製粉会社からメッセージ。
自宅に在った去年のそば粉を使い切ろうとオリジナルブレンドを作った。
既に発売になっていた北海道産の新そば300グラム、玄挽150グラム、韃靼そば50グラムの計500グラム。そこにツナギの小麦粉100グラム。いわゆる二八そばだ。
加水は様子を見ながら、数回に分けて。
徐々に粉がまとまり、小豆大からピンポン玉大になり、色も湿りを帯びて黒っぽくなった。さらに数的水を加えまとめに入る。鏡餅風になった。いい感じ。
捏ねに入る。
ん!なかなか照りが出ない。すぐに思ったのは、玄挽というそば粉は粗挽きで水をたくさん吸うということ。それもすぐにではなく時間差がある。徐々に水を吸って、加水が足りなくなってしまったのではないか。そこで、禁じ手ではあるが、手に水を付けて練り込む作業を繰り返した。その結果、いい具合の加水になったように見えた。やれやれとホッとしたのもつかの間、鏡餅を手で押しつぶす手延しの作業で、ひび割れが入る。
「オレの技術はこんなものか、まだまだ初心者の域を出ないなあ」
すっかり意気消沈。こんな状態ではそばになるのだろうか。改めて打ち直そうか。ブレンドすると加水率が判らず寒に頼るしかない。ブレンドしないで打ち直そうか。
そこまで考えて、ん!待てよ、もしかして...
ツナギに使った小麦粉の入れ物を見て、「あ~、やっちゃった!」
なんと、それはよく似た打粉の入れ物だった。
500グラムのそば粉に加えたのは花粉と呼ばれる蕎麦粒の中心部分の打粉だったのだ。この打粉は御前粉とも呼ばれ、湯捏ねでなければ繋がらないといわれる粉。それを2割も加えてしまったのだから、繋がらなくて当たり前。
改めて打ち直す決心をしたが、せっかくのそば粉も無駄にしたくない。ダメ元で打ち続ける。猫手は駄目、コロコロ加圧。延し棒は垂直加圧。壊れ物を扱うようにそっと慎重に切りまでもっていく。
その後、北海道の新そばと韃靼そばのブレンドで二八そば5人前のそばを打った。
非常に楽に打てた。自身も取り戻した。
事故で十割蕎麦になったそばと、二八そばを夕食に供した。娘は十割そばがうまいと言った。かみさんは二八そばがいいと言う。息子はどっちもいいかなという。
家族には事故で十割蕎麦になったことは内緒にしておいた。何とかそばになってよかったと内心胸をなで下ろしていた。
打粉とつなぎ粉の入れ物にはしっかりラベルを張ったことは言うまでもない。
『人間はミスを犯すものだ』
そのミスをいかに防ぐか、リカバリーするか、そこに人間の力量が問われる。何とかキレイにまとめようとしているが、本当に初歩的なミスを犯して恥ずかしい限りであります。反省(のポーズ)。






え!これで全国一位なの?

2020年11月15日 17時42分04秒 | 日記
僕は田舎に住んでいるので、街中の車で走るのはとてもストレスを感じる。
このところあおり運転が問題になり、罰則も強化されたが、それでもウィンカーも出さずに車線変更したり、強引に割り込んだり、えげつない運転をする輩が多いと感じる。スマートでエレガントな運転をするのが僕の理想とするところ。とても問題にならない。そんな訳で僕は街中の運転は好きではない。高原のワインディングロードなど最高だ。
それでも、よんどころない事情で街に出ることもある。
僕も自転車やランニング、ウォーキングなどで信号のない横断歩道を渡ることがある。そんな折、車がなかなか停まってくれない。
僕は横断歩道は歩行者が絶対優先だと認識しているから、渡ろうとする人がいれば必ず一時停止する。それは譲るとか思いやるとかの話ではなく、法的な要請だ。一時停止しなければ違反なのだ。
警察も、ネズミ捕りなどに精を出すのではなく、現場に出てそのことの指導をもっと徹底すべきだと思う。
JAFの調査結果を見て驚いた。

都道府県2020年2019年2018年
停止率↓前年比停止率前年比停止率
1長野県72.43.868.610.058.6
2兵庫県57.113.943.232.111.1
3静岡県54.11.352.813.739.1
4新潟県49.413.236.222.413.8
5島根県43.22.041.214.726.5
6山梨県35.89.826.020.45.6
7長崎県35.015.919.19.110.0
8愛知県32.53.728.86.222.6
9福岡県31.4-2.233.615.218.4
10宮崎県31.37.923.415.57.9
11石川県29.3-0.529.82.926.9
12広島県27.910.417.516.51.0
13茨城県27.310.117.28.09.2
14三重県27.123.73.42.01.4
15福島県27.018.38.75.23.5
16千葉県26.7-4.331.019.111.9
17熊本県25.714.711.02.28.8
18山形県24.84.420.412.87.6
19神奈川県23.40.722.78.314.4
20岩手県23.29.513.78.84.9
21北海道22.4-2.224.620.44.2
22鳥取県22.0-2.824.8-0.825.6
23秋田県21.84.417.49.87.6

全国21.34.217.18.58.6
24京都府19.914.95.01.23.8
25福井県19.79.310.45.94.5

岐阜県19.73.716.013.82.2
27奈良県19.02.916.14.311.8
28滋賀県18.77.411.33.08.3
29鹿児島県18.35.213.16.17.0
30佐賀県18.1-2.820.912.98.0
31山口県18.09.09.02.36.7

沖縄県18.0-11.829.820.39.5
33和歌山県15.97.08.97.51.4
34大分県15.70.715.08.36.7
35愛媛県14.50.314.24.39.9
36栃木県14.21.013.212.30.9
37群馬県13.95.78.22.45.8
38高知県13.45.67.83.64.2
39青森県12.98.54.42.32.1
40埼玉県12.40.811.63.87.8
41香川県12.12.79.43.36.1
42大阪府11.8-4.716.512.54.0

徳島県11.82.89.04.64.4
44富山県10.75.45.30.54.8
45岡山県7.1-6.313.42.610.8
46東京都6.60.85.83.72.1
47宮城県5.7-1.77.44.03.4


出典:日本自動車連盟(JAF)「信号機のない横断歩道」における歩行者優先についての実態調査

長野県が何と一位にランクされているではないか。
実感として、こんな運転をしていていいんだろうかと思うことがよくあるのに。
長野県民として嬉しくはあるのだが、横断歩道の一時停止は100パーセントでなければならないはずだ。それは盗んではいけない、殺してはいけないというのと同じで、停まらなければいけないのだ。
こういう点では僕は頑なだ。誰も見ていないからいいや、みんなやっているからいいや、という風には絶対なりたくない。自分のタガを外してしまうと、自分で自分に誇ることができない。
こんな風にして僕は世渡り下手なまま70年近くを生きてきた。
今更変えようもないではないか。





力なく弱まっていく日差しの中で僕は不思議な安らぎを感じていた

2020年11月12日 22時09分53秒 | 日記
近くの山に雪が来た。
山に三度雪が来ると里に雪が降るという。

ラニーニャというペルー沖の海水温が低い状態が日本に影響を与え、夏は暑く冬は寒いという。今年の冬は冬らしい冬になるという。
日ごとに陽射しが弱くなり、斜光線が柔らかくなる。
もう紅葉の鮮やかさは消え、落ち着いた赤味がかった茶色と針葉樹の緑、新雪の淡い白の三色になった。
こんな季節は冬ごもりの準備に忙しい。
もう冬を迎える覚悟もきっちりできて、為すべき事を為すだけだ。

渋柿を500個以上干した。冬から春の貴重な甘味だ。
ハックルベリーのジャムも作った。
栗の渋皮煮も作った。
これから漬物もやらなければならない。
買ってくれば済むのだけれど、かたくななまでに自分で作る。黒板五郎さんのように。それが自分の生き方。
作る楽しみを味わいたい。

午後は自由時間。
自転車で飯山線の旅を目論んでいるが、今回は予行演習。始発の豊野駅まで行った。そこから信濃浅野、立ヶ花、上今井と四つの駅を細い道や遠回りの道を選んで走破した。

高社山と千曲川。向こうに見えるのは上今井橋。

昨年氾濫した千曲川も、今は静かに流れる。色が深い緑に変わってきた。

ここも昨年大きな水害があった小布施町の堤防の桜並木。
堤防の強化のために桜を伐ってしまうという話も聞こえる。

今日の走行距離は四十キロ。
小布施は標高三百メートル。自宅は五百六十メートル。行きは良いよい帰りは怖い。結構大変です。それがトレーニングになる、と言い聞かせペダルをこぐ。
周囲の風景は次第に眠りにつく準備に入っているようです。

北アルプスの白馬三山もすっかり冬の装いです。

静かに深く、自分の心の中に枯葉を降り積もらせ、次第に眠り込んでいくようなこんな季節もまんざら悪くない。