我家の東は南志賀高原。
車で1時間も走れば万座温泉を越え、群馬の白根山駐車場に着く。
ここは標高2,000mくらいあって、じっとしていれば肌寒いほどの気温だ。
ちょっと高いが410円の駐車代を払って車を停める。
今は隣の本白根山のコマクサが最盛期を迎えて、それを見に来る人も多い。
途中までシャトルバスも出ているが、1.3kmの距離なのでもちろん歩く。
高原の風。青い空にくっきり浮かんだ雲が流れる。澄み切った水をたたえた弓池。それらすべてが待っていたよと迎えてくれる。
コマクサを見に行くのは毎年の恒例行事。
カモシカだって迎えてくれる。
花はコマクサだけじゃないんだよと控えめに告げるヒメシャジン。
おっと、おいらも忘れてもらっちゃ困る、とかなり目立つコキンレイカ。
今年はもう、見頃を少しすぎたかなという時期。一週間遅かったかな。
それでも2,150mの高原に花は咲き、人々は訪れる。
夏の短い高山では、数日の違いが大きな違いに増幅される。
三日前に咲いてた花が今日は無いということがある。
一日一日の重みが凝縮されて平地の何倍にもなる。
シャトルバス、そしてゲレンデの夏山リフトを乗り継いでくれば、そんなに苦労しなくてもここに来れる。
ツァーで来る人もたくさんいる。
先週は白馬岳に登ろうと登山基地の猿倉に向かったのだが、かなり下の方で止められて、駐車場が満車なのでタクシーで行ってくださいと言われ断念。
ここ何年も白馬も登山者が減ったなあと感じていたので、ちょっとほっとしたりもする。
白馬山荘で、かつて長男も長女も高校生の時バイトをしていたのだ。
登山ブームで白馬にも人が押し寄せるようになったのかもしれない。
そんな訳でこの時は雨飾山に変更したのだが、この山も百名山のひとつ、人がいっぱいだった。
涼しくカラッとした空気の中で、下界はアツイだろうなあ、帰りたくないなあと思う。
こんなに気持ちのいいところだから人も押し寄せてくるのだろう。
駐車場近くの弓池にはワタスゲが白い花を咲かせていた。
緑の中の白い綿毛はいかにも涼しげで、夏の高原の風情を漂わせていた。
盆過ぎには定年退職の身。
零細企業なので、退職金など無いに等しい。年金だっていくらももらえない。
そんなことを考えれば不安はいっぱいあるが、まあ、なんとかなるだろう。健康でさえあれば。
体を作り、これまでの人生でやり残してきたことをやろう。もちろんときたま仕事もしながら。
そういう意味では本当の人生はこれからだ。