わが村は枝垂れ桜の里。県外ナンバーの車がたくさん入り込んでいる。
普通なら、とてもいい季節で、ゆっくり桜巡りなどしているところだが、14日の熊本の大地震と、それに続く本震、余震の数々に、桜を楽しむ気分ではなくなっていた。
加えて、この大地震の朝、娘が1年ぶりにオーストラリアから帰って来た。
インフルエンザというお土産を持って。
僕は3日後にひどい状態になった。
それから5日間、何とか熱は37度台に下がったが、夜は38度近くまで上がる。
ただ、今は峠を越しつつある感じ。
この娘が、今度行こうとしていた先が、何と熊本だ。
球磨川のラフティングのガイドだという。
球磨村という、人吉市の近くの村だ。今度の地震で直接の被害はなかったらしい。
ただ、こんな時に、、、、、
昨夜、夜行バスで長野駅から羽田までの夜行バスに乗って出発。翌日飛行機で鹿児島空港へ向かうはずだった。
バスの出発時間間際に電話がかかって来た。
『高速バスの乗り場が分からない!』
『その辺の人に聞いてみれば?』
『タクシーの人に聞いたんだけど、感じ悪くて教えてくれないだよ』
『バス会社に電話してみれば?』
僕はパソコンでその会社のバス乗り場を調べた。こちらから連絡すると、まだわからないらしい。
近くのビルの名前など教えるが、なかなか見つけられない。出発の時間は迫るし、かなり焦っているのが感じられた。
ようやく見つけ出したとき、バスはもうそこにいた。
僕の熱は再び上がった。
嵐の日々。
こんな状態で、世界の各地を、よく旅することができるものだなあ。
僕が律儀すぎるのだろうか。ある程度適当で良しとしなければ、冒険など出来ないのかもしれない。
熊本の地では、どんな状況が待ち受けているのだろう。
子供たちが、校庭に書いた次の言葉が、やたらに胸に沁みる。
「のみ水ありがとう がんばるけん」
椅子で書いたSOSも素晴らしかった。
僕も残雪期の山でよくやるのだが、雪の上に登頂年月日などを書いて、写真に撮る。
非日常の中で、生きる知恵や力が試されるのだろう。
ともかくも、一つの嵐は去って、少しほっとしている。
がんばるけん。がんばるけん。何度もつぶやいてみる。