七七ブログ

タダの詩人「七七」による人心体実験の記録 

「天狗の落とし文」カットアップ「落とし天狗文の」第15回

2009-03-27 23:26:32 | カットアップ
 昨夜自殺した女優だ。十四の角がある。咆哮するように泣き声を張りあげているのだ。
両側からゆるやかに海水が道路へ流れ出てきた。道もだんだん狭くなり、歩けなくなりました。あまりの臭気に気絶してしまった。死ねば意識はない。そんなことはすべて、悪いことである筈がない。

 心ない編集者が、ある夜待ちかまえ、言ったそうだよ。
「あんたに本当の女の味を教えてやりたいよ」
互いに相手のことを知らぬまま、テーブルをはさんでおれたちは向かいあった。そのお二人も加え、イカスミのスパゲッティを四皿平らげた。水は次第に増えてこちらへ流れてくる。四人も最初はその液体が何であるのかわからなかったが、軽トラックの運転手は、せいいっぱいの大声で言った。
「アイスクリーム、タスケテクダサイ」
おれは歌いはじめた。
「まさかあ。ほんとかなあ」
話し方にリアリティが感じられないからである。ピアノの前奏が始まるなり、おれはテーブルにはさまれた狭い通路を奥へ進む。幅一メートル六十センチ、運動公園の広い石段を降りていくと、顔をぴかぴか光らせた驚くほど美しい娘が沢山いた。
三人がおれに殴りかかってきた。ある女性はおれにこう言った。
「この子たちがそうなのよ」
「ああ。イタコはんでっか」
 彼女はどんどん肥りはじめ、ついには顔も中年女となった。どちらにしろほぼ全員がまだ遊んでいた。
突き出した掌に硬貨を載せてやると手をいったん引っ込めて中に落とし、数本のマイクが突きつけられる。
「まあまあ。ちょいマチス」
 目を見ひらいたままで、さっと自分だけ車内に戻る。本気で嫌がらせをしているのだろうか。知識の披瀝とか競争意識とか気負いとこが勝って、なんとなく身体全体が重いような気がする。これにはさすがの暴漢も辟易して退散してという。
これで世界中のマロブラドをトムハンクすることができる。
ところが道でお弟子さんに出会いまして、あわてて内ポケットへ手を入れる。この間合いが一瞬でも遅れると大変なことになる。あれは極めて危険なことじゃ。小説家たるものがそんなものに頼りはじめてはもう、副上司=腹上死(ふくじょうし)ということになってしまうのであります。ささささーっと崇高な、短篇小説、長編小説のアイデアがいっぱい、けんめいに夢の世界を生きているのだろう。
科白もないまま長時間の収録につきあってくれた役者、
汗びっしょりになって乗ってきた男、
遠くの席の一団の中に妻の相手の男がいることを知った寝取られ男、
隣家に住む怪獣の一族 キムラ
自己弁護のための学問、掲載してあげたこと、鳥越九郎(とりこしくろう)
それは即ちふけや目やに鼻くそ鼻毛ピーナッツの皮蜜柑の皮蚊の死骸蠅の死骸ゴキブリの死骸犬の死骸馬の死骸……。
そのすべてを斬り殺したという夢だ。

 ペニスや睾丸を窮屈なパンツの中に押し込めておくのはよくない、破砕や飛散をすることはない。
スズメやカラスも追い払わねばならない。こういうことは厳に戒められねばなりませんね。
こうなったらもう、ハレルヤ! 
楽しみにしておきたまえ。


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2009-03-09 22:28:03 | 自動書記
これはだめだ まだ保ったままだ
ほかの惑星の中に生まれた
もう一つの これ以外のすべての可能性の中に
拡散が止められないなら 粉々の体のかけらに全てを託して
今ここで死んでしまえ
死の向こうに何があるのか誰も知らないし
やがて超える虚空の現出 失うものはこの世にはない
悲しくない 寂しくない 空しくもない
極彩色の高笑い
はみ出たあまりをひねりつぶした
指差す切っ先がかまいたちにずたずたにされた
俺が崩壊する現場で起こった新しいざわめき
地獄でまた会おう 
暗黒の炎が内側から天国を焼き尽くす
消えてしまう 両方とも同時に
その時だけは身を切られるようさ
地下室から持ち出された
絶望感
寒空の下恥じている
無力感
遠い夕焼けを見つめている
遠吠えが読んでいる
もどかしくて狂ってしまった
おかしくなったまま走り出した
スピードを上げて止まれなくなった
1ミリでかわして抜け出てまた取り戻した
家に帰る間にまたなくした
ループする毎日の輪の中に凪いでいる台風の目が見つめている
血管が充血 運命の満月 輪廻の惑星直列
ひとつながりに全てが並んでしまう偶然に
可能性があるが起きることのない誕生祭
頭の中の嵐 頭の中だけの嵐 頭の中だけの究極の自由
自家中毒の乱用者 無性生殖
深淵にダイビング 突き破ってしまうまで墜落するイカロス
物理法則が通用しなくなる速度 光並み
絶対零度で停止する危険信号 終わらせろ
舞踏病
意味のない笑いを泣き顔に塗りつぶせ
赤を黒く塗れ
壁に向かって叫べ
後ろから突き抜けるから
ものは必ず腐って落ちるから
俺も落ちてゆく
底知れないぬくもりの中で
眠りに落ちてゆく
ろうそくが消えてゆく
燃え尽きる
疲れ果てた脳味噌が
片隅でうずくまって
夢にうなされている