真夜中に
寒くて目が覚めた。防寒対策が足りなかった模様。時間を確認したかったが時計を忘れていた。時計はNさんがつけていたが確認できず。そして次に目が覚めた時にはすでに周囲は明るくなっていました。慌ててNさんを起こすも時間はすでに5時半。速攻雲取山に向けて出発するがすぐに樹間から朝日が差し込んできた。朝日に照らされて全てが赤く染められた東側の巻道をはやる気持ちを抑えながら早足で行く。強い風が淀みを吹き飛ばして、快晴の青空は気持ち良く澄み渡っていました
石尾根からは
富士山がよく見えるが上部にまだ雪は見えない。雲取山荘からの早立ち(って程でもないけど)とおぼしき若者のパーティー数組とすれ違う。小雲取山を過ぎて雲取山の頂が見えてくるが、やはり近所の裏山のような低地の森にも通じる親しみ深い山容でした。程なく山頂に到着。空気が澄んでいるため周囲の山々から都心のビル群までくっきり見える。都心の向こうの東京湾、房総半島、そして太平洋まで。名実ともに東京の巨大な裏山、それが雲取山ですね。近代以前は低地に至るまで日本中がこのような森に覆われていたはずだが、現代の我々にはそれを想像することしかできないのが残念なり。時間を超えてその姿を見る事ができたら…。日本列島は形そのものが自然の造作であり、そのシルエットがきらきらと光り輝くビジョンを垣間見たような気がしました。名残惜しい山頂を後にして下山を開始。強い風のなかを降りて行くが、ある標高以下になると風はほとんど吹いていなかった。
雲取山
日本列島
予定時間を
押しているので手早く朝食を準備する。小振りのフランスパン一本とウィンナー2袋を完食し、ドリップパックに仕込んでおいたNさんこだわりのコーヒーを淹れて飲む。贅沢な時間が流れるが直射日光に晒されているテント内は急速に暑くなってきて急かされるように撤収にはいる。荷物をまとめてから水場を往復し準備完了。広々として気持ちの良い幕営場でした。初めての山岳幕営だったが、周囲の木々が風に揺れる音に抱かれて過ごす時間が至福であることを知り、また風に煽られるフライシートの頼りない音が己の命のはかなさを思い出させる、そんな素敵な体験だった。またいつか家族を連れて戻って来よう、と心に決めて出発したのは予定時間を一時間過ぎた9時でした。
ドリップパック
2日目の
今日は鷹ノ巣山まで縦走して水根沢谷を下る予定。まず七ッ石山まで下降、登攀し、七ッ石神社(小さな祠だが鳥居もある)をすぎたら往路と別れてみちのみち(未知の道)に入る。初めての道を行く喜び。道は広く開かれて歩きやすくまた親しみ深い。…と思ったら尾根道を外れて巻道に入ってしまい高丸山を巻いてしまった。標識が分かりにくい、とNさんと愚痴り合って尾根道に戻り高丸山を振り返るとかなりの急登かつ高低差。巻いて正解でした。次の日影名栗峰も急峻で石尾根はなかなかタフな縦走路ですね(巻けばいいのだが)。直射日光は今日も鋭く、日向を歩いていると暑くて汗が出てくる。日陰名栗峰から(またも)急降下して鷹ノ巣山避難小屋のある巳ノ戸の大クビレに11時半着。
高丸山
日陰名栗峰
鷹ノ巣山避難小屋
鷹ノ巣山避難小屋付近では
大勢の登山者が休憩していました。今日は天気が良いので鷹ノ巣山日帰りの人が多い模様。ここから今行程最後の登り(これがまた険しい)が始まったが、急に体が思うように動かなくなった。ここに来て荷物の重さがこたえてきたのか、最低速ペースでのろのろと進む。何とか休まずに登りきり鷹ノ巣山の山頂に12時10分に着きました。広くて眺めの良い山頂で昼食にしたかったのですが木陰が無いため躊躇していると、頭上に雲が流れて来て日差しを遮りちょうど良い塩梅に。今山行は気持ち悪いぐらい天気に恵まれていました。富士山を見ながらカップラーメンの昼食。その間にも登山者が続々と到着するが、皆さん開けた眺望に喜んで思わず歓声を上げる人もいました。おしゃれなカップルも結構いましたが、山では最低三割り増しだからデートにはもってこいかもしれませんね。それにしても山スカートはスパッツ前提のためかやたら短くて何かエ(以下略)。
鷹ノ巣山
山スカート
一時半に
鷹ノ巣山を出発。ここから下山がはじまるが幅広い防火帯はまだまだ続く。二年前にここを下った時には幅広い道が落ち葉で覆い尽くされ、綺麗なものを拾って帰ろうと選んでいるうちに下山が遅れてヒヤヒヤしたことがあった。今回はまだ紅葉には早いがお土産に数枚の真っ赤な落ち葉を拾った。水根山から石尾根を離れ、榧の木尾根分岐から樹林帯に入りさらに六ッ石山分岐を水根谷沢に入るころから杉林になる。薄暗い森の中を黙々と降りてゆく下りの道のりは時間以上に長く感じられます。足の置き場を瞬時に判断しながらおりて行かなければならないので、疲れもあいまって下山することだけしか考えられない下山マシーンと化す。やがて道は水根沢谷にぶつかり沢沿いを下るようになる。
水根沢谷
沢沿いを
降りてゆくと沢登り姿の親子に追い付いた。振り返らず黙々と下るお父さんに必死について行く息子。髭面で強面なお父さんのメットには「士魂」の文字がペイントされています。山ではあまり見ないタイプの人ですが、その昔登山全盛期に髑髏の旗を掲げた荒くれ山岳会があったという話を思い出しました。荒くれ者が山を目指す時代、それは中々面白い時代のように私には思われる。やがてわさび田が現れ下界が近いことを実感。登山道の脇に生えていた馬鹿でかいキノコに見送られ(?)水根の集落に3時40分着。そこから水根バス停まで15分、さらに隣の奥多摩湖駐車場まで15分程。途中の「水と緑のふれあい館」でドクターペッパーを買い無事の下山を祝ってNさんと乾杯しました。
水根
奥多摩湖駐車場を4時40分に出発。奥多摩駅前のもえぎの湯で汗を流し、「きむらや」で美味しい蕎麦を食べて帰宅の途につきました。初めての幕営山行はこうしてつつがなく終了いたしました。雲取山山行記録これにておしまい。
五十人平(奥多摩小屋) 9:00
↓
七ツ石山 9:40
↓
日陰名栗峰 10:38
↓
巳ノ戸の大クビレ 11:30
↓
鷹ノ巣山 12:10
昼食 13:10
↓
六ツ石山分岐 14:00
↓
水根 15:55