七七ブログ

タダの詩人「七七」による人心体実験の記録 

「落とし天狗文の」第九回

2007-12-01 01:04:34 | カットアップ
 秘書があわてふためいて社長室に駈け込んできた。片目を強く閉じてウィンクし、わけもわからぬまま平安朝時代へ行ってしまった。なかなか可愛い娘で、考えることすらできません。コンピューターに頼り切って仕事のすべてをまかせ、ちゃんとベッドに入って、一日中ぼんやりしていることがあるでしょう。
 ある百人ほどの会合で、やっと談合成立。いい気になって眼を見開いたおれの瞳孔に太陽光線が焦点を結んだ。いきなりでっかいのがドーンとくることもあるよ。男性で言うなら陰嚢のつけ根と肛門の間、夢にまで出てきた野外音楽堂の片隅のビタミン・ドリンクの空き瓶。本来性から切り離されて複数の意味を持つようになる。不適切なことばで代用してしまうことはわれわれの日常の会話でもよくあることですが、ぼくはそれにじっと耐えている。相手の倍の速度ですべてに対応できるなら、あとは闇に葬られてもよいものであろうか。かの血に鎮座まします慕わしき卵白太政大臣にはいつになったらおしゃもじを噛んで踊っていただけるのか。
 何ほどのものでもなかった。夢を見るだけである。どこで間違えたんだろう。やはりことばが出てこない。小説が書けなくなり、ついにはズボンのベルトをゆるめて股ぐらまで拭いはじめた。この様子を見ていた者がいて噂は広がり、もうそういうことはしないようにという意味の手紙を、アナウンサーが喋りはじめた。このままでは国家の滅亡とまで言われるようになった。 
 一方SF界では、目玉のやたら大きい異様な風貌のアンタレス星人たちが好奇心にあふれ返った表情でおれを注視している。宇宙規模の平和条約会議とかであるが、これだけでは面白くないからと、屁が燃えるかどうの議論となり、かくて日本国家滅亡の危機は危ういところで免れたのであった。彼らの話に注意を向けているうち、彼らから声をかけられたという。そしてこの日は最初から狂気の大騒ぎを始めた。打電=電気を殴ること……あれえっ。
「うん。本当に鳴りますよ」と、これを鳴らしながら宇宙を創ったロック奏者がいわゆる神である。がらがっちゃがっちゃ。これはあべこべである。そこでは多くの論理が焦げついていて成分そのものは蒸気となり入道雲に同化していく。光のようなものが走るんだが、彼らは互いに、酒席で、組み立て、踊りまくるのである。相当に高度の知能を有している証拠である。これが十数回くり返されたため、寒うて寒うて寝てられへんよってに当然徹夜や。と、いうことをえんえん原稿に書き続けるのだが、完全に表現できないことがわれわれの存在の事実なのだ。家の中のどこを捜しても見あたらない。いまだにわからない。由美は答えられなかった。たとえエンターテインメントであっても、実際はこんなにうまくは行かなかったのであるが、無意識まで表現できるわけがなく、相手もずいぶん驚いた様子である。そこにぼんやりと立っている旦那の姿。自分だった。おれを見て微笑した。いつまでもいつまでも、こんなところにあったか。
「綺麗なお花畑が見えてきた」
ふたりはおそるおそる、天麩羅とざる蕎麦を注文した。


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