「黄色い薔薇、綺麗ですね。」
渚ちゃんが、店に入って来るなりマスターに言った。
「花屋で、見た時、黄色が鮮やかで、春が来た~って感じでさ、思わず買ってしまったよ。」
マスターが、カップを拭きながら答える。
「黄色い薔薇って、素敵だけど、黄色い薔薇の花言葉って、別れじゃなかった?」
久実さんが、微笑みながら言う。
そう言えば、私もそんなことを、聞いたことが有る。
「でも、靴を贈ると別れるとか、江の島にカップルで行くと別れるとか、色々聞くけど、それってジンクスでしょ?」
「皆ひどいよね、たまに花を買ってきたら、別れだ、なんだって・・・。」マスターがコーヒーを運んできながら、ため息をついてる。
「でも、別れの後には、出会いが待ってますよ。」
離れた席から冬子さんが、助け舟を出す。
青磁の花瓶に生けられた黄色い薔薇が、ちょっと笑ったような気がした。 🌹