「今日は、学校にいきたくないってれんげが言ったんで、学校休ませちゃったんです。」椿さんが、おかしそうに笑う。
ついでに、自分も店を休んだそうだ。
アニメのビデオを見ているれんげちゃんの前に、オレンジジュースのグラスを、置きながら、マスターが、休みたい時には、休めば良いよと、声をかけた。
「大人だって、5月病が、あるんだから、子供にだってあるよ」
カウンター席に腰かけてるヤマさんも、頷く。
「そうですよ。我慢のし過ぎは、病気になっちゃいますよ。今の時代、大人も子供も忙しすぎますよ。」
冬子さんも、何時もの席から椿さんを、慰める。
「私、マスターの店があって、本当に良かったって思うんです。一人で子育てしてると、凄く、辛くて、本当にこれでよいのだろうかって、悩むんですけど、ここに来ると、皆さんが声を掛けて下さるでしょ、救われます。」
椿さんの言葉に、ヤマさんが、そんな大げさに考えない方が良いよと元気づける。
マスターも、こんな店でも、誰かの役に立っているなら、何よりだと言って、おかわりの☕を椿さんのカップに注いでくれた。
ビデオに夢中だと思っていたれんげちゃんが、皆の方を振り返って、「私、大人になったら、喫茶店のマスターになろうかな?」と、言ったものだから、皆が一斉に笑った。
笑われたれんげちゃんは、意味がわからず、そんなにおかしいかなと、独り言をいっている。