さぼりたい日   247

2024-05-21 16:24:49 | 小説

「今日は、学校にいきたくないってれんげが言ったんで、学校休ませちゃったんです。」椿さんが、おかしそうに笑う。

ついでに、自分も店を休んだそうだ。

アニメのビデオを見ているれんげちゃんの前に、オレンジジュースのグラスを、置きながら、マスターが、休みたい時には、休めば良いよと、声をかけた。

「大人だって、5月病が、あるんだから、子供にだってあるよ」

カウンター席に腰かけてるヤマさんも、頷く。

「そうですよ。我慢のし過ぎは、病気になっちゃいますよ。今の時代、大人も子供も忙しすぎますよ。」

冬子さんも、何時もの席から椿さんを、慰める。

「私、マスターの店があって、本当に良かったって思うんです。一人で子育てしてると、凄く、辛くて、本当にこれでよいのだろうかって、悩むんですけど、ここに来ると、皆さんが声を掛けて下さるでしょ、救われます。」

椿さんの言葉に、ヤマさんが、そんな大げさに考えない方が良いよと元気づける。

マスターも、こんな店でも、誰かの役に立っているなら、何よりだと言って、おかわりの☕を椿さんのカップに注いでくれた。

ビデオに夢中だと思っていたれんげちゃんが、皆の方を振り返って、「私、大人になったら、喫茶店のマスターになろうかな?」と、言ったものだから、皆が一斉に笑った。

笑われたれんげちゃんは、意味がわからず、そんなにおかしいかなと、独り言をいっている。

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 開店当日   246 | トップ | 指輪   248 »
最新の画像もっと見る

小説」カテゴリの最新記事