水川黎が帰った後、
ハーブティー、ご馳走様でしたと言って、南条君も帰って行った。
うまくいかないものね、一人残った冬子さんが呟く。
何がですか?
あの二人よ、二人とも今どきの人にしては、とても礼儀正しくて、
ステキなのにね、話も弾んでたみたいだし・・・。
ドラマみたいには、いきませんよ。
そうね、水川さんが好きなのは空君だし、南条君は、渚ちゃんだものね。
空君達は、上手くいってるのかしら?
どうなんでしょうね?
雨が降ってくると困るから私もそろそろ帰ろうかしら?
冬子さんが重い腰を上げた時、ちょうど、加藤のおじいちゃんがやって来た。
もう、お帰りですか?
加藤のおじいちゃんに声を掛けられた冬子さんは、加藤さんがいらしたんだったら、もう少しいようかしらね?
と、言って腰を掛け直した。
そうなさいよ、夕飯ご馳走しますよと、加藤のおじいちゃんが言った。
そうね、家で一人で食べても美味しくないし、マスターに美味しいものでも作って頂きましょうか・・・。
マスターが、加藤のおじいちゃんに☕を運んできて、何か召し上がりたいものありますか?
と、尋ねた。
ハヤシライス何て無理かな?
お時間頂ければ作りますよ。
あら、私もハヤシライス食べたいわ
今は、ハッシュドビーフっていうのかしら?
マスターが笑って、どっちでも良いですよと言った。