読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

篠田節子著「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」

2011-09-27 | 篠田節子
高性能の猿型ロボットにつきまとわれる女性の恐怖とドタバタをコミカルに描いた表題作他3編収録。
駿河湾で揚がった巨大ウナギを食べた人間が食中毒にかかった。原因は、レアメタルのパラジウム。どういうわけか、ウナギの体内にパラジウムが残留していたのだ。非鉄金属を扱う会社の社員・斎原は、そのウナギが日本の資源確保の切り札になると確信し、パラジウムウナギの生息地を追って・・・太平洋の海底にレアアース。レアメタルが体内に濃縮されたウナギの目が不気味・・・『深海のEEL』。
マンションを建設しようとしたら人骨が大量に出てきて困った地主、そして蘇生した縄文時代の寄生虫が・・・、生肉による食中毒事件を思い出した・・・『豚と人骨』。
63年がかりでトンネルを掘削する男の悲喜・・・『エデン』。
最新の科学技術に著者の想像力が加味されて生み出された現在進行形ともいえるSF3編の短編集。科学技術発展の先に人類の幸福は可能?いや警鐘か?テンポよく進む展開にいろいろ考えさせられた。
私的には人生・幸福について考えさせられた「エデン」がよかった。
「故郷は家族だ。すなわち家族のいるところはどこでも故郷だ。」(P299)

2011年7月 文藝春秋刊

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