読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

宇佐美まこと著「黒鳥の湖」

2024-06-19 | あ行
上場企業『ザイゼン』の社長財前彰太は、妻の由布子、娘の美華と三人で幸福に暮らしていた。ところが、世間を騒がす女性拉致事件のニュースを見かけ、彰太の心に不安が兆す。その快楽殺人者の手口に覚えがあったのだ。十八年前、反対を押し切って由布子と結婚するため、そして伯父の会社を奪うため、彰太はある〝罪〞を犯した……。主人公の財前は暗い行いで資産を得、会社経営者にのし上がり美しい妻と娘を得て豪邸に住んでいますが、妻の過去の愚かな行いは後々までやっかいな因果を残し、最愛の娘が登校拒否から非行に走りぐれて、あげくに失踪する。出てくる財前家の疎ましい過去の数々。「肌身フェチの殺人鬼」という見えない異常者がこの物語の恐怖感を煽り、やがて最終章ですべての謎が解けるのだが、幾重にも前半の張られた伏線の回収が見事です。途中犯人のめぼしはおおよそつくのだが人間の悪と因果を暴く衝撃の家族ミステリーでした。
2019年12月祥伝社刊 

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