goo blog サービス終了のお知らせ 

読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

笹本稜平著「その峰の彼方」

2014-08-22 | さ行
北米大陸最高峰・マッキンリーが舞台の山岳小説。最高の技術と精神力を持ちながら、ただ純粋に山と対峙することを願い、日本の登山界と距離を置く孤高のクライマー・津田悟は、ヒマラヤよりもマッキンリーを愛し、最難関である厳冬の未踏ルートに単身挑み、消息を絶ちます。
妻の祥子は子供を身ごもり、アラスカを舞台にした大きなビジネスプランも進行中だったのさなかなぜ今、彼はこのような無謀なチャレンジを行ったのか。大学時代の友人・吉沢をはじめとして結成された捜索隊は、困難で壮絶な山行ののち、悟の脱ぎ捨てられた上着や手袋を発見。
津田にいったい何が起きているのか・・・?
極限状態の向こう側にたどりついた人間は、自らの生と死と、どのように折り合いをつけるのか・・・。
突然くる大きな雪崩の恐怖。割れたクレパス。
強風・厳寒の寒さ。不安。疲労感。氷壁の厳しさ厳冬期のマッキンリーにおける救助活動の困難な状況
クライミングの凄まじい描写に息が詰まる感じ。
「人はなぜ生きるのか、何のために生きるのか?」等の哲学的命題にたいして著者が物語に織り込みながら綴る。
悟とアメリカ・インディアンの長老との対話の中で示される言葉・・・『握りしめた手の中には何もなく、開いた掌には世界がある』

『希望とは与えられるものではなく、自らつくりだすものだ』(P180)

『死は永遠の安息だけど生きるのは茨の道だ』(p181)

『信じることだよ・・・あるい想像したらきりがない。ただ心が不幸になるだけだ。幸運は不幸な心を避けて通る
希望こそが幸運をつかみ取る黄金の腕だから』(p203)

『安易に流されるだけの人生は同時に喜びをもたらさない。自分で輝かそうとしない限り、
人生は生まれてきて死ぬだけでそこにはなんの意味もない。』(p314)

『じんせいに意味を与えられるのは自分だけだ』(p315)

『死ぬときに自分は何者だったかと自ら問いかけて、なんの答えも持ち合わせていないとしたら
生まれてこなかったのと変わりない。』
(p428)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宮部みゆき著「ソロモンの偽証」 | トップ | 堂場瞬一著「内通者」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

さ行」カテゴリの最新記事