
5歳のASDの男児真人が神森のトレッキングコースで行方不明になった。同じ一週間、罪を背負うもの、心に傷を抱えている者ら4人の男女も森に迷い込んでいた。樹海、合体樹、石並べ。その森は確かに見ていた。そして森は冒険の遊び場だったのか。拭えない罪を背負う彼らの真実と贖罪。男女4人が樹海の中で一人の男の子真人に遭遇。突然現れてふいにいなくなる彼は神森の精霊のようにも見えます。意思の疎通も出来ない真人の前ではなぜか心が浄化され、本来の自分の姿に戻っている様子が面白い。一週間後衰弱してはいるものの命に別状なく真人が無事保護され「くまさんが助けてくれた」と語る真人、その間に出会った「くまさん」とは。母親の山崎岬と叔父の冬也がその空白の7日間の謎を探っていく。謎を追う叔父視点の話と森での出来事が交互に語られる。うまくしゃべれない真人の謎の言動。4人の大人たちが自由な真人に振り回されこの間に彼を助けたのだ。それぞれの理由で、真人を警察に届けることはできなかったが、樹海の中で生き抜けるよう食料や防寒具などの提供したのだ。ネット上の岬に対する誹謗中傷と犯人捜しとお仕置き、真人の生きる力と成長に感動。
2024年5月新潮社刊
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