読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

重松清著 『ステップ』

2009-06-10 | 重松清
母親のぬくもりさえ記憶できない1歳半の美紀を残して結婚3年目で妻が逝った。
幼い娘を一人で育てていく父親の心模様を娘の小学校卒業までを描いた九つの連作短編。
二人と関わる人々とのなにげない日常風景。再婚を勧めつつ見守る義父義母、義兄夫婦。
「男手一つ」の子育ては決して楽じゃない。会社の上司や仲間に無理頼んで娘を保育園に送り迎えし、毎朝毎晩料理も作った。・・・ケロ先生。
小学校で「お母さんの絵」を描く図工の授業をどう乗り切るか・・・ライカでハロー・グッドバイ。
再婚したら美紀は受け入れてくれるだろうか・・・ホップ、ステップ。
娘を亡くした義父母との微妙な関係も含めその心の悩みはリアルだ・・・キュウリの馬に乗って/サンタ・グランパ/彼岸過迄。
だからこそ家族って何だろうと考えさせてくれる。
美紀の小学校卒業を控え僕はこう思う。「悲しみを胸に抱いたまま生きていくのは、決して悲しいことではない」と
・・・つらい思い出は、生きる優しさを育てる。・・・ジャンプ。
又重松ワールドに泣かされましたほっこりと温かい読後感もまたいい。
題名のステップはホップに続く二段目の跳躍や物事の進行上の段階の意味の他
stepfamily等の使い方で、血縁のない親子・兄弟などの関係を中に含んだ家族の意味があるので両方の意味を含んだ題名なのだろうか。
2009年3月中央公論新社刊

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 柴田よしき著「私立探偵・麻... | トップ | ホタルの棲む庭 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

重松清」カテゴリの最新記事