読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

赤井三尋著「翳りゆく夏」

2011-01-18 | あ行
2003年度第49回江戸川乱歩賞受賞作。
20年前総合病院から新生児がさらわれた身代金目的誘拐事件。当時その誘拐犯としてパトカーに追われる中事故死した男の娘朝倉緋呂子が20年を経て偶然東西新聞社に採用が内定した段階で、週刊誌に「誘拐犯の娘を記者にする大東西の・・・」とスキャンダル風にリークされる。
それが発端となり20年前の新生児誘拐事件が元記者で今は窓際社員の梶が極秘に事件を再び洗いなおす特命を得て行動を開始する。
やがて、封印された真実が少しずつ明らかになって行く。
展開がテンポがよく、飽きさせない。
人物描写も事件当時の社会状況や風俗描写も的確で各所に伏線が張り巡らされていて面白い。
誘拐犯の娘として生きてきた緋呂子、誘拐され未だに不明の息子を忘れられない被害両親、20年間誘拐した事実をひた隠す真犯人等々。
若干ご都合主義的偶然を用いているが家族の絆と事件の傷跡や感慨をテーマに社会派ミステリー小説として楽しめた。
著者は、受賞後2005年「死してなお君を」(絶版) 2010年「月と詐欺師 」と社会派ミステリー作を出しているが、私はこれらを年代順を逆に読んだ。



2003年8月講談社刊 講談社文庫

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