読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
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五十嵐貴久著「交渉人・遠野麻衣子ゼロ」

2024-01-08 | あ行
社会派警察ミステリー交渉人シリーズ第4弾。何故遠野麻衣子が交渉人になったのか彼女のスタートライン物語。麻衣子の冷静で口数の少ない性格は交渉人になる前から同じで、交渉人研修室へ突然配属されるところから物語が始まる。交渉人研修では、警視の石田が講師となり、実際の誘拐事件を元にしたディスカッションや、交渉人ならどんな対応をすべきかの講義が行われ。「トラブルの原因は何か、お互いの言い分に耳を傾け、解決策を考え、当事者同士が納得するように妥協点を探り、譲歩できる落とし所を示す。話し合いでも説得でもなく、交渉によって事件発生を未然に防ぐことができる。だが、地味で、目立たず、評価されることもない」「交渉人は中立でなければならない。警察組織の代理人として犯人と交渉するが、警察の側に立つわけではない。無論、犯人の味方をするわけでもない。どちらにとっても納得できる解決策を提示する」「交渉人は交渉をしない。説得もしないし、犯人に共感することもない。ただ、犯人の話に耳を傾ける。真摯に話を聞くだけで、多くの犯人が投降する」など、麻衣子の交渉人としての礎が、この研修で学んだものであることが良く分かる展開。中盤以降は、交渉人の補佐として大規模な特殊詐欺事件の捜査に投入され、自分の監視対象者が殺され内部情報が洩れている可能性が?
内通者裏切り者は誰なのかがハラハラドキドキ感の中で展開されて麻衣子の成長物語でもある。あらためて前作を読み返す必要を感じたが。この1作目の前の時代20年前とすると今回の特殊詐欺の内容が今時すぎて時間差があわないように感じたが物語としては楽しめた。


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