読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

大沢在昌著「パンドラ・アイランド」

2008-12-22 | 大沢在昌
41歳元刑事「高州康彦」が選んだ再就職先は、東京から約1100キロ離れた南の島の
「青国島」の保安官。
空港はなく、月2便の運航の大型貨物船で28時間かかる面積約40平方キロメートル
の東西に細長い形の村民940名の島。
南の島でのんびりしようとしたやさき着任早々、次々に起る事件
何やらこの島には秘密があるらしい・・・。
東京中日スポーツで連載された「海と拳銃」を改題加筆訂正とある。
2004年 徳間書店刊  
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大沢 在昌著「黒の狩人」(上)(下)

2008-12-18 | 大沢在昌
狩人シリーズ。
主人公は新宿署の組織犯罪対策課に所属する、マル暴担当のベテラン刑事佐江警部補だ。ある日、署のトップや本庁刑事総務課の課長、公安エリートらが居並ぶ席に呼び出されて中国人とおぼしき惨殺死体が続けて発見されている連続殺人事件の捜査を言い渡される。
その際に通訳という役割で、ひとりの中国人を補助捜査員として帯同するよう命じられるのだった。
しかし、その男「宋忠民=毛」は中国国家安全部のスパイである可能性を踏まえた上での特命捜査であった。
佐江は自らを「カス札」と自嘲する刑事だが、普段通りのやり方で地道に聞き込みをした情報を元に、犯人に迫ることだけを考えて二人は、奇妙な形の“相棒”となって事件の渦中に飛び込んでいく。
中国の政治状況もよく調べられており敵味方とも中国人を登場させ今の日本のおかれた状況、国際化、貧富格差の拡大、経済難民、不法滞在の外国人問題、麻薬、等々を織り交ぜながらハラハラドキドキの展開に仕上げている。
事件の背後にちらつくのは、日中の黒社会と中国国家安全部の影が、佐江と中国人毛のキャラに、情報のためなら身体を使うことも厭わない外務省の美人中国課職員野瀬由紀も加わり謎解きに迫る。敵も味方も分からない中での心理戦と手に汗握る銃撃戦の後には、意外な結末が待っていた・・・・。
流石大沢流の早い展開で内容がリアルで面白い、読み出したら夢中で引き込まれて読んでしまった。
刑事小説でありながら、そこに中国マフィアと日本のヤクザの暗闘があり、日中の国家間の政治的駆け引き、情報戦などが入り乱れ、国際謀略スパイ小説のような感じだ。ただ、由紀のスパイもどきの情報フェチの心理は理解できなかった。
2008年9月幻冬舎刊/各1785円

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大沢在昌著「冬の保安官」

2008-12-04 | 大沢在昌
1984年からの各誌に発表した短編9編
シーズンオフの別荘地を見回る中年の管理人。一人の娘と、一台の車と出会い、
二つが結がった時、男の過ぎ去った過去が一瞬頭をもたげる。
冬のリゾートで己の生き様を頑に貫く男を描いた表題作
他8つがおさめられている。
SF宇宙もの「ローズ」などは珍しい。
1997年 角川書店 刊
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大沢在昌著「帰ってきたアルバイト探偵 」     

2008-12-02 | 大沢在昌
私立探偵で義理の親父と一緒に暮らす1年留年中の高校三年生
冴木リョースケが大活躍のハードボイルドアクション小説。
7年前に武器ブローカーが隠したロシア製小型核爆弾がどうやら東京にあるらしい。
核爆弾を巡って一儲けしようとするヤクザ、諜報機関中国安全部、
白人過激派グル-プ等・・・誰が早く見つけ出すか、歩く霞ヶ関の
内閣調査室副室長・島津と親父冴木隆を手伝ってアルバイト探偵リョースケが動き出す。
2004年 講談社 刊
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大沢在昌著「眠たい奴ら 」

2008-12-01 | 大沢在昌
大阪府警の月岡刑事は、しくじって組に借金を作り東京を跡にした経済やくざの
高見とがある地方で偶然出会い宗教法人大山教にまつわるトラブルに巻込まれる。
二人が同じ女を好きになり、その女の為に手を組み悪巧みにを解決する
痛快ハードボイルド小説。
1996年 毎日新聞社 刊
コメント (2)
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大沢在昌著「秋に墓標を」

2008-11-27 | 大沢在昌
都会の人間関係を断ち切って田舎の海辺の別荘で釣り三昧、愛犬と一人暮らしの
マンガ原作家の元に美人の女が迷い込んで来てその女に恋をするが、突然姿をけしてしまう。
彼女を捜すうち否応なく事件に首をつ込んでいく主人公松原リュウ。
『女と出会うまで、静かで平和だったかも知れないが、私の生活には色彩がなかっ
た。』・・・
バハマに本社のある日系企業の社長に殺し屋が差し向けられ、軽井沢、石垣島と
公 安、CIA、FBI、台湾、中国マフイアが絡み恋の行方と真相スリル
謎解き、ハ-ドボイルドの大沢ワ-ルド。
『女たちにとり、肉体の提供のみかえりは、男たちによる物理的な奉仕だ。
多くの場合それは、”金”という言葉でおきかえられる。』(63頁 )
2003年 角川書店
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大沢在昌著「天使の爪(上・下)」

2008-09-15 | 大沢在昌
「天使の牙」の続編。
河野明日香巡査の脳が脳死した神崎はつみの肉体に移植されて誕生した・・・
麻薬取締官「神崎アスカ」と仁王こと「古芳和正」刑事の活躍する
ハ-ドボイルド恋愛小説。
今回は、チェチェン人、ロシア大使館&SVR、中国人麻薬密売人、
CIAが政治状況含めて絡みあう。
ロシアから朝鮮系ロシア人の身体に脳移植された「ヴォルク」と呼ばれる
殺人鬼が、USドルの偽札を回収しに来日して暴れまくる。
心(脳)と身体が入れ替わったらどうなるか。
悪魔と天使の闘い最後まで息つく間も無く展開されるで
大沢ワールド満喫しました。
2003年 小学館 刊

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大沢在昌 著「天使の牙」

2008-09-13 | 大沢在昌
ヘリからの銃撃を受け二人は瀕死の重体になり河野明日香巡査の脳が脳死した。
しかしもう一人の重体者の神崎はつみの肉体に移植された。
しかも、はつみは覚醒剤に替わり、日本全土を脅かす新型麻薬アフター・バーナーという麻薬を取仕切る組織「クライン」のボス君国辰郎の情婦であったが
逃げ出して保護を求めて来た女だった。
はつみの身体で生き返った明日香は、警察内部の内通者を炙り出すため囮となる。
違う人の身体に脳を移植された明日香とその恋人兼パートナー古芳刑事の活躍を
描く、ハードボイルド小説。
警察に内通者がいる為、情報が筒抜けになる中、警察の応援が頼めない状況で
半島の先端にある別荘に君国を追い詰める展開は、特に後半部分はスピ-ド感あふれるサスペンスでその心理描写とともに酔う事ができる。
もどかしい愛の形に切なさがよく表現されていて読み出したら止まりませんでした。
天使の牙1994年1月~1995年6月まで週刊誌に連載された。
同名で大沢たかお、萩原健一らにより映画化済み。
続編は「天使の爪」。

2000年刊 角川文庫
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大沢在昌著「亡命者 ザ・ジョーカー」  

2008-08-13 | 大沢在昌
最悪のトラブルをたった一人で引き受ける裏家業のプロフェショナル
「ジョーカー」シリーズ第2弾。
裏世界を生きるトラブルシューターのプライドと美学を描く。
ジョーカーのもとに、長身白髪の英国人男性が訪れた。
彼は20年以上前、ジョーカーが先代を継いで二代目となった初仕事の依頼人だった…(鉄則)他、
表題の1989年6月4日中国天安門事件のことを扱っかった(亡命者)。
(感謝)、(戦士)、(命拾い)、(節介)の連作短編6編からなる 。
2005年   講談社 刊
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大沢在昌著「標的走路 レスリーへの伝言」

2008-06-10 | 大沢在昌
著者の佐久間公シリーズは「心では重すぎる」を読んでファンになり
「感傷の街角」「漂泊の街角」、「追跡者の血統」「雪蛍」と読みました。
この本は、昭和55年に執筆された同シリーズ処女小説『標的走路』を
復刊収録したもので大沢の数あるシリーズ物の中で私の好きな主人公の
佐久間公物シリーズは、ここから始まったとか・・・。
佐久間が早川法律事務所の調査員として働いていたころの事件を扱った
フレッシュな若い佐久間の活躍を読むことができました。
中東の某オイル産油国と日本人のハーフの大学生ジョーを探し出す
失踪人の調査から、やがて台風接近の中孤立した山荘ホテルでの爆破騒ぎから
敵味方入り乱れた原油確保を巡っての国家レベルの話へと展開する、
スケールの大きなハードボイルドサスペンス話。
流石、時代背景は1980年代ということで現代と違和感があるが今読んでも面白い。
大人になった佐久間公を主人公にした初めての作品「レスリーへの伝言」
(1977年オール読物新人賞投稿作品)がオマケとして収録されていてこれも
興味深く読んだ。
2008年2月ジュリアーノぶんげい刊 1365円
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大沢在昌著「魔物」

2008-04-13 | 大沢在昌
ロシアのシベリアから100年間封印されていた魔物が4年に一度の2月29日現代に黄泉返って日本上陸した。
北海道の麻薬取締官・大塚に、ロシアと地元やくざとの麻薬取引の情報が入る。
取引現場に急行し現場を押さえ、ブツは押収したものの、麻薬の運び屋であるロシア人を取り逃がしてしまう。
ロシア人は、銃撃による重傷を負いながらも、警官数名を素手で殺害し、町へ消えてしまった。
あり得ない暴挙と動きに、新種の薬物を摂取している可能性が考えられたが、犯人は逃走する際に一枚の絵を
大事に抱えていてたという。 
大塚はやがてロシア人ホステス・ジャンナの力を借り、それがロシアの教会で百年にわたり封印されていた
イコンであることを知る。
イコンに描かれていたのは聖人“カシアン”。
このカシアンは聖人に列せられながらも、心に強い憎しみを秘める人間に憑りつき、その者の欲望を満たす力を与える魔物だと信じられているという。
その伝説ゆえ、長きにわたって封じられていた。
ロシア人に憑りついたらしい魔物は超人的な逃走を続けるが、遂に犯人を追い詰めた大塚の目の前で、
同僚を殺され自らも重傷を負ってしまう。犯人は一体、何者なのか? 
大塚は、命をかけて真実を突き止める決意を固め、心の奥底に澱んでいた過去の心の傷と向き合いながら行方を追う。
向かった先は東京、憎しみ渦巻く魔物の理想郷へだ。
恐怖の心を誤魔化すためにそれを憎しみに変えた過去の自分の弱さの中でもがき格闘する男の姿を通し、
人間存在の真理を問いかける。
『弱いと知っていること。大切です。弱いから努力します。弱いから人に優しい。弱いから強くなる。』(本文より)
リアル感のない説明の付け様がない宗教、神と悪魔の問題、超越現象をそれなりに理論付け読者を引き込む
今回も今までと一寸違った大沢ワールドが楽しめました。
2007年11月角川書店刊 上下各1680円
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大沢在昌著「ニッポン泥棒」

2008-01-08 | 大沢在昌
世界中のあらゆる諜報機関のデータをハッカーし盗み出した末に作られた、
驚愕の未来予測シュミレーションソフト「ヒミコ」が完成。
それを解凍する「鍵」を握らされた男ハローワークに通う事が、
唯一の日課の元商社マン尾津とクラブのホステスのアルバイトをする
学生の女かおる、にさまざまな諜報機関魔の手が迫る…
誰が味方で誰が敵か?ハードボイルド小説、大沢ワールド。
今回は大沢氏の持論を下地に展開される
「バブル経済の崩壊以降の社会における、
日本人は未来への希望を失ってしまい、
日本経済・社会は行き先を見失ってしまった。
非常に悲しく、未来が明るくないのが解かっているのに
誰もが問題を先送りにしている・・・」と

主人公の尾津と、もう一人の鍵にされたかおるとの関係も含め、
登場人物が、皆なあやふやなまま書き足らずに終わってしまった
消化不良の感じがします。日本の将来展望も示すことなく嘆く
だけでは現状は変りません。
本の表題「ニッポン泥棒」の魅力的な文字は、京極夏彦氏の字だそうです。

2005年1月 文藝春秋社刊 2000円  
☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆
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大沢在昌著 「狼花 新宿鮫Ⅸ 」

2007-12-03 | 大沢在昌
鮫島が帰ってきた・・・新宿鮫シリーズ最新作
著者からの内容紹介文:
「理想を頭にもたない警察官など、ただの権力者だ。
俺たちが何のためにこれだけの権限を与えられているか、
一日も忘れてはいけないんだ」理想と現実のはざまで、
なお、求めつづける「正義」とは何か? 男の信念と絶望、
女の愛と靭さ、国境を越えた個人と国家権力……
さまざまな角度から日本を、現代社会を、「われわれ」を、
深く鮮烈に描き出す渾身の傑作長編。
前作でも登場した、祖国日本を捨てた国際犯罪者・仙田。
外国人犯罪を撲滅するため、ヤクザと手を組もうとする
エリート警官・香田。
どん底から富と愛や全てを手に入れようとする不法滞在の
中国人女性・呉明蘭。
自ら退路を断ち命を賭けて突き進む男女の思惑と野望が交差し一気に
発火点に到達した時、刑事・鮫島が選択した「究極の決断」とは?
理想と現実、信念と絶望、個人と社会、正義の意味、
そしてこの国日本のありよう将来が、スピーディな展開
ともに読み人に問いかける。
一気に読める面白いストーリーで今の日本の多発する外国人犯罪
の現状を捉えていて考えさせられる。
  2006 年 光文社刊1600円  
☆☆☆☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆ ☆


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大沢在昌(著)「影絵の騎士」

2007-10-31 | 大沢在昌
近未来ハードボイルド・アクション小説。
題名の影絵とは映画のこと。
舞台はそう遠くない将来の東京。
外国人や混血児がたむろする地域がスラム化し「B・D・T」と呼ばれて、
東京は徐々にむしばまれていた。
やがて原子力発電所の建設稼動とともに新東京として
何とか再生をされるようになったが、社会は「ネットワーク」と呼ばれる
三大テレビネットワークに支配され、あらゆる産業をも牛耳るまでに
発展を遂げていた。
都内で連続殺人が発生、番組を通じての連続予告殺人が横行し、
世間の関心を集め犯罪報道番組は高視聴率を上げていた。
事件の背後に謎のグループ「フィックス」の関与の情報を得た
私立探偵のケンは、日本版ハリウッドともいうべき
「ムービー・アイランド」という人工島に単身乗り込む。・・・

近未来日本の現状とその歴史、物語の背景に説明部分が多くあり
うっとうしい分物語の展開のスピードがそがれて楽しみが半減するのが残念。
しかし、アウトローで頭が良くて強いヒロイン「ケン」の活躍と彼に対する
感情移入は容易に出来る。事件の背後にいる黒幕をあばく謎解きミステリー、
スリル感アクションはいつもの大沢ワールド。
著者の女優論、映画論が小説の中で語られ興味深い。
『女優にとって大切なことは美しさじゃない。美しさはただの外箱に過ぎない。
内側からにじみでるもので勝負したい』(文中より)





2007年6月集英社刊 1,890円
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大沢在昌著「Kの日々」

2007-09-27 | 大沢在昌
消えた 8000万の身代金、金とともに消えた実行犯
中国人の李は死体となって東京湾に浮き、李の残された恋人、
事件の鍵を握る謎の女性「K」こと 元山京。
事件から3年、彼女は死んだ男を想い続ける聖女か、
それとも金を横取りした悪女か?
暴力団・丸山組の二代目、わけ有り「廃棄物処理業者」畑吹産業
の二代目カズオ、金に汚い四谷署の刑事・鬼塚などが絡んで、
話は混沌としていきます。
男と女ってこうやって恋に落ちるのでしょうか・・・
「K」に恋した・・・元刑事で今は裏社会の探偵「木」が、
闇に葬られた誘拐事件の真相を追う。
大沢ワールド全開各所に張り巡らされたトリック・・・はたして真相は、
恋の行方は?

エンターテーメント大沢作品、面白い!
一気読みしました。
でも、前半途中から重要トリックが 解ってしまいました。
しかし、さすが厭きさせない展開で・・・
死体「廃棄物処理業者」のカズオの心理が理解出来ませんでした。

2006年双葉社刊☆☆
週刊「大衆」に連載されたものの単行本化されたもの。
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