読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

大沢 在昌著「黒の狩人」(上)(下)

2008-12-18 | 大沢在昌
狩人シリーズ。
主人公は新宿署の組織犯罪対策課に所属する、マル暴担当のベテラン刑事佐江警部補だ。ある日、署のトップや本庁刑事総務課の課長、公安エリートらが居並ぶ席に呼び出されて中国人とおぼしき惨殺死体が続けて発見されている連続殺人事件の捜査を言い渡される。
その際に通訳という役割で、ひとりの中国人を補助捜査員として帯同するよう命じられるのだった。
しかし、その男「宋忠民=毛」は中国国家安全部のスパイである可能性を踏まえた上での特命捜査であった。
佐江は自らを「カス札」と自嘲する刑事だが、普段通りのやり方で地道に聞き込みをした情報を元に、犯人に迫ることだけを考えて二人は、奇妙な形の“相棒”となって事件の渦中に飛び込んでいく。
中国の政治状況もよく調べられており敵味方とも中国人を登場させ今の日本のおかれた状況、国際化、貧富格差の拡大、経済難民、不法滞在の外国人問題、麻薬、等々を織り交ぜながらハラハラドキドキの展開に仕上げている。
事件の背後にちらつくのは、日中の黒社会と中国国家安全部の影が、佐江と中国人毛のキャラに、情報のためなら身体を使うことも厭わない外務省の美人中国課職員野瀬由紀も加わり謎解きに迫る。敵も味方も分からない中での心理戦と手に汗握る銃撃戦の後には、意外な結末が待っていた・・・・。
流石大沢流の早い展開で内容がリアルで面白い、読み出したら夢中で引き込まれて読んでしまった。
刑事小説でありながら、そこに中国マフィアと日本のヤクザの暗闘があり、日中の国家間の政治的駆け引き、情報戦などが入り乱れ、国際謀略スパイ小説のような感じだ。ただ、由紀のスパイもどきの情報フェチの心理は理解できなかった。
2008年9月幻冬舎刊/各1785円


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