goo blog サービス終了のお知らせ 

読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

大沢在昌著「魔物」

2008-04-13 | 大沢在昌
ロシアのシベリアから100年間封印されていた魔物が4年に一度の2月29日現代に黄泉返って日本上陸した。
北海道の麻薬取締官・大塚に、ロシアと地元やくざとの麻薬取引の情報が入る。
取引現場に急行し現場を押さえ、ブツは押収したものの、麻薬の運び屋であるロシア人を取り逃がしてしまう。
ロシア人は、銃撃による重傷を負いながらも、警官数名を素手で殺害し、町へ消えてしまった。
あり得ない暴挙と動きに、新種の薬物を摂取している可能性が考えられたが、犯人は逃走する際に一枚の絵を
大事に抱えていてたという。 
大塚はやがてロシア人ホステス・ジャンナの力を借り、それがロシアの教会で百年にわたり封印されていた
イコンであることを知る。
イコンに描かれていたのは聖人“カシアン”。
このカシアンは聖人に列せられながらも、心に強い憎しみを秘める人間に憑りつき、その者の欲望を満たす力を与える魔物だと信じられているという。
その伝説ゆえ、長きにわたって封じられていた。
ロシア人に憑りついたらしい魔物は超人的な逃走を続けるが、遂に犯人を追い詰めた大塚の目の前で、
同僚を殺され自らも重傷を負ってしまう。犯人は一体、何者なのか? 
大塚は、命をかけて真実を突き止める決意を固め、心の奥底に澱んでいた過去の心の傷と向き合いながら行方を追う。
向かった先は東京、憎しみ渦巻く魔物の理想郷へだ。
恐怖の心を誤魔化すためにそれを憎しみに変えた過去の自分の弱さの中でもがき格闘する男の姿を通し、
人間存在の真理を問いかける。
『弱いと知っていること。大切です。弱いから努力します。弱いから人に優しい。弱いから強くなる。』(本文より)
リアル感のない説明の付け様がない宗教、神と悪魔の問題、超越現象をそれなりに理論付け読者を引き込む
今回も今までと一寸違った大沢ワールドが楽しめました。
2007年11月角川書店刊 上下各1680円

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  北方謙三著「旅のいろ」   | トップ | 映画・DVD「ホステル」「ホス... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

大沢在昌」カテゴリの最新記事