goo blog サービス終了のお知らせ 

読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

海堂尊著「ケルベロスの肖像」 

2012-11-23 | か行
『チーム・バチスタの栄光』から続く、田口&白鳥シリーズ最終巻!完結編。
「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」と、東城大学病院に送られてきた脅迫状。
高階病院長は、院内の厄介事を一手に引き受ける愚痴外来の田口医師に、犯人を突き止めるよう依頼した。
厚生労働省のロジカル・モンスター白鳥の部下、姫宮からのアドバイスによって、調査を開始する田口。
警察、医療事故被害者の会、内科学会、法医学会など、様々な人間の思惑が交錯するなか、エーアイセンター設立の日を迎えた。・・・
ミステリー部分は少ない犯人も早い段階で予想がつく。また新登場のウルトラスーパーバイザー東堂の個性は強烈です。
「螺鈿迷宮」、「ブラックペアン」、「イノセント・ゲリラの祝祭」「極北クレイマー」に登場した人物が再登場それどれが重要な役割を演じていますから、この本だけ読んだ方には楽しめないでしょう。
2012年7月 宝島社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黒井嵐輔著「ブラックアウト」

2012-11-07 | か行
携帯小説で連載から単行本化。
ある日突然、主人公24歳日払い派遣生活の渋谷和也の住むアパートにゲームが届いた。
それがβl@ck★OUTだった。試にチョットだけのつもりが前人未到の“生き残りゲーム”に参加してしまう。
突然始ったプレイヤー同士の争いから、おとぎ話のクエスト、そして非現実的な兵器や、未知なるメインストーリー。
すべてが謎に包まれており、いまだにクリアした者はいないとか。
謎のゲームに巻き込まれ、困惑する和也に友人の古手川仁、進藤美砂もが参加。このゲームの果てに待つのは“死”もしくは・・・。
3年前から参加しているという彼らの同級生である「はるか」とは?
著者の斬新なアイデア満載のゲーム小説。登場人物説明の序盤の章という感じ、続編があるのでしょう。
 2012年9月 双葉社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鹿島田真希著「その暁のぬるさ」

2012-10-26 | か行
芥川賞作家の短編2つ。「あの人」を失ったことを誰にも言えぬまま保育園で働く「わたし」。
恋愛の美しい記憶を反芻し後悔し、袖をぬらしながらも、密かに「和紙の方」とニックネームをつけている上品な同僚と酒宴にむかい、保育士仲間での恋愛の自慢話や噂話に興じる。同僚の女性たちと対話をしても、世の中にはさまざまな恋愛観がある、ということしかわからない。
保育園児たちが「ままごと」している姿のなかに、本質的な愛の残酷さと暴力性を見つけ、自分自身もそうだったのではないかと怯えたり。わたしは「あの人」を失うことを恐れるあまり、本音をさらさず、わざと意地悪な行為をしたこともあった。
愛すれば愛するほど孤独になり、暴力への欲望がめばえていった。自問を重ねた末に心機一転しようと自殺の名所を旅するが、何も得られないまま職場に戻る・・・夢とうつつを行き交いながら「わたし」はある境地に達し、ゆるやかにぬるく愛を諦めるのであった。・・・失恋の女性心理を現代の源氏物語な古風な文体で表した私小説でしたが正直になれない恋愛心理がくどくどと続くのには閉口。
他に男性同士の性愛を女性が女性のために書くボーイズラブという女性作家30代の小説家の視点で担当のイケメン編集者のやり取りを綴った「酔いどれ四季」。
2012年8月 集英社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黒田研二著「CUTE&NEET キュート&ニート」

2012-10-20 | か行
人付き合いの苦手なオタクニートと幼稚園児が名探偵の連作短編ミステリー。
「ひきこもりニートの僕が、姪っ子の世話をするハメに…」。
引きこもりのニート29歳・白畠鋭一は、バツイチの姉・真矢がニューヨークに出張する間、幼稚園児の娘・5歳のリサの面倒を見るよう命じられ、単身姉の家がある名古屋へ。
リサの幼稚園を訪問して早々に変態と間違われたり、さらに園児・サヤカの誘拐事件にも巻き込まれ散々な目にあったり。
幼稚園で起る様々な事件を、リサに助けられて解決するうちに、縮こまった鋭一の心も徐々に開かれていく・・・。
といっても事件は殺人事件などではなく、大人の感性と幼児の純粋な感性とに生じたギャップの謎の意外性が、事件になっているもの。
事件を通して人と接することで、対人恐怖症を克服していく、という1人の男性の成長の物語でもあるという面もあるし、全編を通しての意外な真相も最終編で明らかになるという展開です。
こましゃくれた5歳児があまりにも良く気がつき聡明でありえないと感じる面もあるがユーモアを感じながら読み通した。
2012年1月文藝春秋刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海堂尊著「玉村警部補の災難」

2012-08-25 | か行
田口&白鳥「チーム・バチスタ」シリーズの、桜宮市警察署の玉村警部補とキレ者・加納警視正が活躍するミステリー。
ずさんな検死体制の盲点を突く「東京都二十三区内外殺人事件」、密室空間で起きた不可能犯罪に挑む「青空迷宮」、最新の科学鑑定に切り込んだ「四兆七千億分の一の憂鬱」、死体の歯医者・闇の歯医者を描く「エナメルの証言」。4つの医療ミステリー連作短編。
謎ときそのものは簡単で直ぐ予想は付くが医療がらみで面白い。
2012年2月宝島社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鯨統一郎著「笑う娘道成寺・女子大生桜川東子の推理」

2012-07-15 | か行
バー・ミステリー第4弾。表題作他「笑う女殺油地獄」、「笑う曽根崎心中」、「笑う白浪五人男」、「笑う勧進帳」、「笑う忠臣蔵」、計六編。
夜ごとバーに集まるヤクドシトリオこと私立探偵の工藤とライターの山内、マスターの島。そして、美貌の大学院生桜川東子とバーのアルバイトに入った歌舞伎好きの坂東いるか。焼酎のつまみに語られるのは、往年の銀幕スターへの思慕と、巷を賑わす未解決事件。トリオの頓珍漢な推理を尻目に、いるかが事件と歌舞伎との類似点を指摘すると、すかさず東子が新解釈で名推理を披露するパターン。
ミステリー部分、事件の概要とその謎解きは元ネタに沿い過ぎていてこじつけ感が強い。ミステリー物というより、ここで語られるトリビア・ネタや薀蓄話を愉しむのがメインかも。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

五代ゆう著「柚木春臣の推理 瞑る花嫁」 

2012-06-21 | か行
音楽的才能を持つ探偵・ユキこと柚木春臣と、タカシ、徹はアルバイトで山梨の旧家を訪れた。
資産家河原崎家の当主憲明翁が死去し、男女一対の骸骨を王と女王に戴く“驚異の部屋”と名づけられた密室のコレクションルームがあったのだが、その夜息子の新当主利憲が殺害されたのだ。
遺産を巡る争いの中で起こる奇怪な連続殺人事件。
因縁がさらなる因縁を呼び、怨念が新たな怨念を呼ぶ。
時を超え、死者がチェンバロを奏でるとき・・・
憲明翁の呪いか、それとも遺産争いなのか? 
チェンバロなどの古楽器やバロック時代の品々などの華麗な舞台設定に秘められたミステリーに親族や使用人の思惑が絡んでおどろおどろしい雰囲気の謎解き小説。
思わぬ連続殺人事件に巻きこまれた柚木は、その明晰な頭脳で推理する展開だが、主人公柚木の生い立ちや人間性が謎のまま
進められこの物語そのものが何かの続編なのか、次回作に続き解明されるのか何とも中途半端な読後感でした。
翁の執念の異常愛は予想できた。
2012年2月双葉社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鏑木蓮著「エクステンド」

2012-06-01 | か行
京都五条署の花街育ちの新人刑事・片岡真子が主人公の警察小説。
老舗呉服屋の邸宅で発見された若い女性の首吊り死体。
死体解剖の結果、死体には紐状のものによる索条痕の上に手による扼殺痕があり、その上で帯締めで鴨居からぶら下がっていた事がわかった。
家主の六代目・向井雅也は無関係を主張するが、被害者とつながる遺留品が見つかると、次第に供述を変えはじめる。
逮捕に踏み切った京都府警だが、同時に向井は何も語らなくなる。
そんな中、謎ばかりが残る遺体の身元が判明し・・・。
表題の「エクステンド」【extend】とは延長すること。広げることの意味で「命を延べる事こそ大事!」(P130)と重要な意味で使われている。
「起きてしまった事を受け入れることは、あらゆる不運の結果を克服する第一歩」(P5)
京都生まれの著者が京言葉や長崎弁を取り入れて、コンビを組む上司の出向してきたキャリア組の警部と真子が時効という時間切れ「本当のタイムリミット」が迫る中、活躍する。
2転3転する展開が面白いサスペンス。
2008年12月講談社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木下半太著「アヒルキラー」

2012-05-12 | か行
副題「新米刑事赤羽健吾の絶体絶命」
レースクイーン、モデル、ダンサーなど美女ばかりを狙った連続殺人事件が発生。
その顔はズタズタに切り刻まれ、死体の横には必ずアヒルのおもちゃが置いてあった。新米刑事の赤羽健吾と、行動分析課の上司・八重樫育子はこの世にも残酷な難事件を追ううちに、1952年の未解決娼婦連続殺人事件「家鴨魔人(あひるまじん)事件」、死体の横に木彫りの家鴨を残したという57年前の事件に行きつく。
この2つの事件ははたして因縁はあるのか?アヒルの意味は?
滑稽なお笑いの中に展開されるサスペンスと謎解き、犯人とその動機に違和感があって不満、伏線すくなく偶然の多すぎ、後半え~っ犯人はそいつかよと突っ込みいれたくなる結末。
「笑え笑え。笑えば何とかなる。」(P368)
『見たいと思う世界の変化にあなた自身がなりなさい(ガンジー)無抵抗にはどんな恐怖にも立ち向かう無抵抗と恐怖に怯え何も出来ない無抵抗がある。』(P312)

2012年2月幻冬舎刊
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鏑木蓮著「白砂(はくしゃ)」

2012-03-13 | か行
白砂(はくしゃ)とは、散骨の遺骨を砕いた砂状のものこと。
表題のごとく遺骨テーマにした悲劇。
警察物ミステリーにしては、犯行動機も犯人も最初から予想できその展開成り行きも見当が付いてしまって謎解きの楽しみはない。
しかし登場人物の心情を細やかに描いて事件の悲しい背景を浮かび上がらせていく。
働きながら予備校に通う20歳の高村小夜が一人暮らしのアパートで何者かによって撲殺された。殺害現場に唯一残されていた装飾品のペンダントは、遺骨を中に混ぜた、メモリアルオブジェクトだった。
その特殊な残留品をヒントに下谷署の鬼刑事・目黒一馬と相棒・山名が捜査あたる。
やふがて浮かび上がってきたのは、舞い降りた奇跡に翻弄された女たちの人生だった。
・・・ギリシャ神話や短歌などを絡めて神秘的で表紙の絵も美しのだが、大きな山場もなく淡々とそんな感じで終ってしまった。

2010年7月双葉社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鏑木蓮著「真友」

2012-02-20 | か行
刑事による警官殺し。共に父親と同じ刑事になる夢を語っていた14歳の冬、拳銃を奪われ警官だった父親が殺された。
憎悪と絶望を胸に、親友だった三條隆史と向田伸人の人生は激変する。仇討ちを誓った隆史は刑事に。
世間を敵にまわした伸人は裏側の世界に。その間で揺れ動く麻衣と奈緒の女心。親友だったあいつが、俺の大事なものを、すべて奪っていく。二人の人生は二度と交差しないはずだった。13年後奪われた同じ拳銃でさらなる事件が起きるまでは・・・。
生い立ちや背景と設定でインパクトのあるはじまり、お決まりの展開とありふれてはいるが
謎解きの面白さ人二人の少年の友情の行方が気になりまた文章の読みやすさで一気に読み終えました。
逃亡して身を隠し続ける事情にリアル感が感じられなかったが警官が絡んだ不祥事事件として結末は予想できたのは残念。
『真の友とは、側にいるヤツじゃない。遠く離れていても関係ないんだ。ふと、あいつならどうするだろう、あいつならどう言うだろうと思い浮かべられるヤツのことをいうんだ。』(P334)
2011年10月講談社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古処誠二著「ニンジアンエ」

2012-01-29 | か行
ニンジアンエ(ビルマ語)=宣撫=占領地において、占領軍の目的や方針などを知らせて、人心を安定させることを任務とすること。宣撫工作とはそのための諸々の活動。軍属は行軍する部隊や担当地域ごとに配置される宣撫班が基本単位である。従軍記者が見た戦地の戦いと真実を語った物語。
インパール作戦前年昭和18年ビルマ。新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐にある駆り出された宣撫班に同行する。緊迫した敵との遭遇や密偵や買収した現地の人々とのやりとり。そんななか、イギリス人将校・コーンウェル中尉と彼の部下のインド兵を捕虜にする。コーンウェル中尉は自身の置かれた環境に抗うかのように、終始自信に満ちた態度を崩さない。彼の態度のウラには何があるのではないか。軍隊に同行し状況を粉飾しながら「書く」という行為をめぐって、美濃部とコーンウェルはそれぞれの正義と信念についての意見を戦わせる。捕虜になったイギリス人は、なぜ不遜な態度を崩さないのか?ビルマ人の人質の行方どこに消えたのか?捜索が順調に進むほどに、美濃部の胸中にいくつもの疑問が生じていく。そしてすべての謎が解けた時、美濃部は「戦地の真実」を突きつけられる。ドンパチだけが戦争ではなかった。英領ビルマにおける現地人の反日、好日感情と兵隊達の心理をあえて淡々と描いたある意味ミステリー小説でした。

2011年11月集英社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鏑木蓮著「思い出をなくした男」

2011-12-23 | か行
依頼人のわずかな手掛かりから思い出を探し出す。犯人を追いつめるのではなく、思い出を追う。犯罪の謎を解くのではなく、人生の謎を解きほぐす「思い出探偵社」元刑事実相浩二郎の活躍する「思い出探偵」の続編。
「思い出探偵社」を、京都で始めてから7年が経つが、創設以来厳しい経営が続いていたのだが、1年前から主任探偵の一ノ瀬由美がテレビの人生相談に出演するようになって、依頼が徐々に増えてきていた。ところが、平井真という新人がメンバーに加わったことで、一波乱。
20数年前遊園地に残された一枚の写真の少年を探す・・・「雨の日の来園者」、
撮影現場から突然姿を消した斬られ役を連れ戻すべく、浩二郎が会津へ向かう・・・「大芝居を打つ男」
喫茶店店主の初恋の人を探し出す・・・「歌声の向こう側に」
由美の人生相談にもちこまれた記憶喪失の男の過去をたどる表題作「思い出をなくした男」の4編が収録された連作短編集。
人の苦しみに寄り添うことで、知らないうちに自分の苦しみを乗り越えていることがある。「思い出探偵社」が、人生の謎を解きほぐす。せつなくて懐かしい、心あたたまる物語。
「嫌な過去でも、存在する以上その人の血肉なんです。暗い過去ならこれからあかるくしましょ、悪い思い出なら、それを打ち消すほど幸せになりましょ。」(P321)
「自分を励ますための一番の方法とは・・・それは、だれかを励まそうと努力することである」(P398)
小さなヒントで都合よく探し出すのは出来すぎの感があるが読後感は良い。

2011年3月PHP研究所刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鏑木蓮著「しらない町」

2011-12-20 | か行
孤独死を遂げた老人の遺品である8ミリフィルムには、温かく微笑む中年女性の姿が映っていた。故郷の島根を離れ、映画監督を夢見る青年、門川誠一。
今は生活の為大阪でアパート管理のバイトしている毎日、ある日一人暮らしの老人、帯屋史朗の遺体を見つける。引き取り手の居ない老人の遺品を整理していた時、部屋で8ミリフィルムを見つける。
映っていたのは・・・行商のため重いリヤカーで集落へと向かいながら、優しくほほ笑む女性の姿だった。帯屋老人はなぜこのフィルムを大切に保管していたのだろうと興味が湧いた誠一はドキュメントを撮ることを決め、映像が撮られた場所とゆかりの人たちを訪ねて歩く。
独居老人の遺品の8ミリフィルムに導かれた青年がめぐりあう、戦争という時代、ありし日の故郷、人と人との絆の大切さを学び自らも再出発のきっかけを得るミステリー調の「無縁社会」と呼ばれるいま伝えたい絆と想いの物語。
孤独死について考えさせられました。
『人って生きたようにしか、死ねない・・・』(P244)
『一人で生まれ、多くの方と縁を作くり、そして一人で旅立つ。・・・一人であっても、心の中に会いたい人を思い描いて、豊かな気持でこの世から立ち去りたい』(P270)

2011年11月早川書房刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

壁井ユカコ著「サマーサイダー」

2011-11-28 | か行
高一の夏休みに彼らが卒業後廃校となった中学校の体育備品を寄付するために、ボランティアが募られたが、
すぐに人は減り残ったのは幼馴染の倉田ミズ、三浦誉、恵悠の三人だった。
それぞれ高校に進んだ少女と少年2人の間柄は危ういバランスで結ばれた三角関係だ。
そしての中心には、去年の夏休みに変死体で発見された担任教師・佐野青春を巡る彼らだけの秘密があり
彼らの関係も微妙な変化の時を迎えていた。
夏が再び巡ってきて、廃校舎に置いてきたはずの罪が3人を追い詰めてゆく・・・。
♀ミズの視点で語られたり、眼の障害とコンプレックスを隠し通そうとする♂誉の視点で語られたりの青春物語かなと読み進むうち、徐々にほの暗い恐怖が漂ってきて、後半はすっかりホラー小説に。
少年少女の切ない関係を瑞々しく描いていて好感を持っていたが読み終わった後は昆虫絡みのホラー話にゾーとした。

2011年10月文藝春秋刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする