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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
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古処誠二著「ニンジアンエ」

2012-01-29 | か行
ニンジアンエ(ビルマ語)=宣撫=占領地において、占領軍の目的や方針などを知らせて、人心を安定させることを任務とすること。宣撫工作とはそのための諸々の活動。軍属は行軍する部隊や担当地域ごとに配置される宣撫班が基本単位である。従軍記者が見た戦地の戦いと真実を語った物語。
インパール作戦前年昭和18年ビルマ。新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐にある駆り出された宣撫班に同行する。緊迫した敵との遭遇や密偵や買収した現地の人々とのやりとり。そんななか、イギリス人将校・コーンウェル中尉と彼の部下のインド兵を捕虜にする。コーンウェル中尉は自身の置かれた環境に抗うかのように、終始自信に満ちた態度を崩さない。彼の態度のウラには何があるのではないか。軍隊に同行し状況を粉飾しながら「書く」という行為をめぐって、美濃部とコーンウェルはそれぞれの正義と信念についての意見を戦わせる。捕虜になったイギリス人は、なぜ不遜な態度を崩さないのか?ビルマ人の人質の行方どこに消えたのか?捜索が順調に進むほどに、美濃部の胸中にいくつもの疑問が生じていく。そしてすべての謎が解けた時、美濃部は「戦地の真実」を突きつけられる。ドンパチだけが戦争ではなかった。英領ビルマにおける現地人の反日、好日感情と兵隊達の心理をあえて淡々と描いたある意味ミステリー小説でした。

2011年11月集英社刊

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