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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

今野敏著「機捜235」

2019-10-26 | 今野敏

MOBAILE  INVESTIGATION  UNT235。警視庁第二機動捜査隊所属の高丸(34歳)の相棒としてやってきたのはすっかり髪が白くなった、皺の目立つ男「縞長省一」だった。機捜にこんな定年間際のロートルがきて、しかも俺のパートナーになるなんて・・・。しかし、縞長は独特の能力「見当たり捜査」の経験を秘めた刑事だった。次々に起こる事件を、時に痛快に、時に味わい深く解決していく機捜の刑事コンビの活躍を描いた九つの連作短編集の警察小説。

見た目や雰囲気はダメだけど合気道の有段者でもあるところなど実に良くできる、淡々と覆面パトカーで街を流して次々指名手配犯を捕まえていく様子はちょっと出来過ぎか?

20193月光文社刊

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今野敏著「キンモクセイ」

2019-10-07 | 今野敏

日米関係の闇に挑む本格的警察インテリジェンス小説。法務官僚の神谷道雄が殺された。警察庁警備局の隼瀬順平は神谷殺害事件の専任捜査を極秘に命じられる。神谷が日米合同委員会に関わっていたこと、コードネームらしい“キンモクセイ”という謎の言葉を残していた事実を探り当てる。しかし警視庁は捜査本部を縮小、公安部も手を引くことが決定される。やがて協力者である後輩の岸本行雄の自殺体が発見される。隼瀨はキャリア仲間の土曜会メンバーの木菟田(外務省),燕谷(厚労省),鷲尾(防衛省),鵠沼(経産省)とで情報交換をし,さらに同僚の水木と極秘に捜査継続。捜査本部の解散は.日米関係の圧力か,と考えているウチに,岸本の自殺は殺人の可能性も出てきて隼瀬自身が岸本殺害の容疑者として逮捕されそうになる。記者の武藤の計らいで野党代議士の力を借りることに。・・・・

「米地位協定ってのは、要するに、在日米軍は日本国内で好き勝手やっていいですよっていう協定だ。こんなもん結んでいるのは世界中で日本だけだ。」「共謀罪を含む改正組織犯罪処罰法が施行されたときに、こんなことを言ったやつがいる。俺たち公安はこれでようやく特高に戻れたってな・・・。」国家の秘密というが、国家って何だ? 国民を守るための器が国家なんじゃないのか?

日本の法律が及ばない米軍基地。基地を通じて自由に出入りするCIA達。普段は見えてこない日米関係の闇が怖い。政府の上に米軍があるかのような状態が戦後ずっと継続している現実に吃驚した。

キンモクセイ・・・「禁止の禁、沈黙の黙、制圧の制・・幻の監視システム。」

「マスコミの役割報道・教育・娯楽・警鐘つまり権力の監視」(P279)

2018年12月朝日新聞出版刊

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今野敏著「呪 護」

2019-08-28 | 今野敏

鬼龍と孝景シリーズ。常識では解決できない事件に、必ず現れる安倍孝景と鬼龍光一の二人。都内の私立高校で、男子生徒の西条文弥が教師の中大路力也を刺す事件が起きた。警視庁少年事件課の富野輝彦は、事件の供述に違和感を覚える。女子生徒の池垣亜紀と中大路が淫らな行為をしているところを目撃した西条は、彼女が襲われていると思ったという。だが、亜紀は、西条とは食い違う奇妙な供述をしていた。中大路が入院している病院に向かった富野は、そこでお祓い師の鬼龍と孝景に再会する。彼らがいるということは、間違いない、この事件は常識では測れないところで起きているはずだ。大災害の序章なのか?

二つの宗教組織の対立で起こった事件を、鬼龍と孝景、そしてトミ氏の末裔である主人公で少年課に属する富野が解決していく。その過程で、著者の伝奇的な知識が豊富に出てくるので、その方面に興味がある人はとても楽しめると思うのだが。・・・歴史的事実がちりばめられているのだが、ちょっと全体的にオカルトチックな感じで書かれているため、記述が全部作者の創作のように感じられて楽しめなかった。

20193月角川書店刊

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今野敏著「スクエア 横浜みなとみらい署暴対係」

2019-06-27 | 今野敏

「逆風の街」「禁断」「防波堤」「臥龍」に続く、横浜みなとみらい署シリーズ。神奈川県警みなとみらい署刑事組織対策課暴暴力団対策係係長「ハマの用心棒」こと諸橋のもとを県警本部監察官の笹本が訪ねてきた。県警本部長が諸橋、そして相棒の城島との面会を希望しているという。横浜・山手の廃屋で、中国人の遺体が発見された。被害者は中華街で一財産を築いたが、三年前から消息不明だった。事件の背後に暴力団関与の疑いがあると判断した本部長の要請で、所轄外ながら捜査に加わることになった諸橋と城島だったが・・・。

会話中心の文体は展開の面白さもありサクサクと読める。今回は何かと難癖付けるキャリアの笹本監察官が一緒に行動して、いつものメンバーや登場人物とのコラボがいい。後半の畳みかける展開は楽しめた。

2019年2月徳間書店刊 

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今野敏著「任侠病院」

2019-05-05 | 今野敏

任侠シリーズ第3弾。日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、東京下町で長年ちっぽけな所帯を持っている。堅気に迷惑をかけない正統派ヤクザであったが、地元新住民の間から暴力団追放運動が起こってきた。そんなおり、組長の阿岐本雄蔵が、潰れかけた病院の監事となって再建を引き受けることになった。暗い雰囲気の院内、出入り業者のバックには関西大物組織の影もある。再建先と地元、難題を二つ抱え込んだ阿岐本組。病院の理事もさせられた日村は・・・。

どの登場人物もキャラが際立って展開も痛快。医療現場さえも暴力団のフロント企業の餌食とされている展開にビックリさせられた。耶麻島組との争いがあっさりしすぎてちょっと物足りなりなかったが病院の裏事情も解り、今回もこのシリーズは面白く一気読み出来ました。

201110月実業之日本社刊

 

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今野敏著「任侠学園」

2019-04-19 | 今野敏

「任侠」シリーズ第二弾。日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、ちっぽけながら独立独歩、任侠と人情を重んじる正統派のヤクザだ。そんな組を率いる阿岐本雄造は、度胸も人望も申し分のない頼れる組長だが、文化的事業に目のないところが困りもの。今回引き受けてきたのは、潰れかかった私立高校の運営だった。「生徒は舎弟も同じだ!」おなじみ阿岐本組の面々が潰れかかった私立高校の理事に。荒廃した学園を、日村たちは建て直すために井の頭学院高校に乗り込むのだが。百戦錬磨のヤクザも嘆くほど、荒れ果てた花壇、窓ガラスを割る生徒、学級崩壊している授業に為すすべもない教員たちにモンスターペアレント。代貸の日村は苦労しながらもヤクザらしく一人の人間として、生徒たちと対峙していく。そんな中とある生徒のバックについている大きなヤクザが動き出し・・・日本人が捨てた「恥の心」を取り上げた社会派ユーモア小説に一気読み出来ました。西田敏行・西島秀俊のW主演で映画化だとかこちらも面白そう。

20079月実業之日本社刊

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今野敏著「任侠浴場」

2019-03-29 | 今野敏

「任侠」シリーズ第4弾。東京のとある町に事務所を構えるヤクザの親分・阿岐本雄蔵は、困った人をほっとけない上、文化事業好きな性格が困りもの。そのせいで組員たちは、これまで出版社、高校、病院などの経営再建に携わる羽目になってきた。「おう、アニキいるかい」ある日、事務所の外から前触れなく聞こえた不穏な声。日村が扉を開けると、案の定、そこには組長の阿岐本と兄弟分の盃を交わした永神の姿が。永神は潰れかけた銭湯の再建話を持ち込んできた。今度の舞台は赤坂の路地裏にある古びた銭湯だ。世の中どんどん世知辛くなって、ヤクザ稼業も楽じゃないが、阿岐本、代貸・日村はじめ個性的な面々は、銭湯にお客を取り戻すべく策を練り始めるが・・・。

個性的面々の活躍が面白い。マル暴甘糟も登場してシリーズファンには貯まらないほっこりタイムの読後感。

20187月中央公論社刊

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今野敏著「アンカー」

2019-03-08 | 今野敏

スクープシリーズ第4弾。視聴率が低迷し始めたTBNの報道番組『ニュースイレブン』。そのテコ入れとして、関西の系列局からサブデスク役で濃いキャラの栃本という男が異動してきた。視聴者受けを重視する関西人の栃本と、報道の理念にこだわるデスクの鳩村は早速衝突し、現場には不穏な空気が漂いつつある。一方、これまで幾つものスクープをものにしてきた番組の名物記者・布施は、なぜか十年前に町田で起きた大学生刺殺の未解決事件に関心を寄せていた。被害者の両親が、犯人逮捕の手がかりを求めて今もなお駅前でのビラ配りを続けているのが記憶に残ったという。この件の継続捜査を、警視庁特別捜査対策室のベテラン刑事・黒田が担当することを知った布施は、いつものように黒田へ接触を図る。布施と黒田がまたしても動き始めるが、真相解明に至る糸口はあまりに乏しく、謎だけが深まって行く。テレビ報道の本質とは? 事件の奥に潜む意外な真相とはがメインとなり話が展開される。結局犯人は逮捕されるが犯行の動機が分からない。また、犯罪を自主的に中止したことの説明に説得力がないのが不満に残った。「一貫した考えというのは必要だ。それはポリシーと呼ばれたりする。だがそれにあまりに固執するのは危険だ。変化に対応できなくなる。」(P287)20175月集英社刊

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今野敏著「エムエス 継続捜査ゼミ2」

2019-02-26 | 今野敏

「女子大生×警察」小説、シリーズ第2弾!元刑事、警察学校校長を最後に退官した小早川の再就職先は三宿女子大学。「刑事政策演習ゼミ」、ゼミの5人の女子大生と未解決事件を取り上げるため別名「継続捜査ゼミ」と呼ばれる今回は、冤罪をテーマにしようとする。小早川は、授業で学内ミスコン反対のビラを配る女子学生高樹晶と研究室で会うが、高樹は小早川の研究室を出た直後、何者かに襲われ救急車で運ばれた。その後、高樹に対する傷害容疑で小早川が任意同行されることに。警察に疑われ続ける教授に代わり、ゼミ生たちが協力して事件の真相を明らかにしていく。個性が豊かな登場人物達との中で学術的なアプローチという切り口で事件を解決する新たな視点は新鮮。今回のテーマ「冤罪」はいつでも自らも何かのきっかけで降懸るかもしれない事柄。刑事の筋書きでの自白から冤罪の可能性は怖いと感じさせられた小説でした。

201810月講談社刊

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今野敏著「カットバック 警視庁FCⅡ」

2019-02-20 | 今野敏

主人公は警視庁地域総務課に勤務する楠木肇、特命を受けてFC室(フイルムコミッション室)に出向くと人気刑事映画のロケ現場での警護。楠木は普段はほとんどやる気のない男。しかし、事件となると意外な才能を発揮する。特命班「FC室」には、地域総務課、組対四課、交通課から個性的な面々が集まっている。そして人気刑事映画のロケ現場で潜入捜査官役の俳優が脚本通りの場所で殺された。新署長率いる大森署、捜査一課も合流し捜査を始める警察。なんとしても撮影を続行したい俳優やロケ隊。

隠蔽捜査シリーズとは何の関係も無いが、「隠蔽捜査7」までの舞台であった大森署が絡む。交通機動隊員・服部、軽薄なノリの検視官・安田、竜崎署長の後任大森警察の新女署長・藍本、貝沼副署長、戸高刑事など出てきてそれなりには面白いのだが緊迫感のない展開で「あぶない刑事」のパロディ版の様相で著者のいつもの刑事小説を期待すると外れる。

20184月毎日新聞社刊

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今野敏著「棲月 隠蔽捜査7」

2018-08-27 | 今野敏

竜崎伸也シリーズ第9作。竜崎に移動の内示が大森署最後の事件になるのか?今回も正体不明の敵に立ち向かう、私鉄と銀行のシステムが次々にダウン。不審に思った大森署署長・竜崎は、いち早く署員を向かわせるが、警視庁の生安部長から横槍が入る。さらに、管内で殺人事件が発生。電話で話した同期の伊丹から「異動の噂が出ている」と告げられた竜崎は、これまでになく動揺する自分に戸惑っていた。

ぶれない立ち位置・原理原則にのっとった言動と行動はとても安心感があり会話中心の読みやすい展開でスイスイ読めるのだが、サイバー犯罪がらみの、犯人・筋書きが途中で解かってしまったのは残念。転任先の神奈川県警での活躍も早く読みたいです。

20181月新潮社刊

 

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今野敏著「豹 変」

2018-06-22 | 今野敏

都内の中学校で、三年生の佐田が同級生の石村を刺す事件が起きた。所轄署の取り調べで佐田は、老人のような口調で「邪魔をしたから懲らしめたのだ」と語り、係員を簡単に振り切り警察署から姿を消してしまうのだった。被害者の石村を訪ねた警視庁の少年課の巡査部長富野は、石村が佐田の狐憑きを除霊しようとして刺されたと聞かされる。旧知のお祓い師・鬼龍光一とともに佐田を捜し、除霊に向かう富野。だが、次に豹変したのは、なんと石村の方だった・・・。

本当に狐憑きの仕業なのか?そして次々と中学生の間で発生する類似の事件。そこには意外な共通点が浮かび上がる。刑事と祓師が、不可解な事件を追う。祓い師とカリスマ的なアプリの開発者を対決など一応科学的説明らしくしてあるが突っ込みどころ多数会話中心で余白が多くサクサク読めたのだが・・・。

20156月角川書店刊

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今野敏著「武士マチムラ」

2018-03-25 | 今野敏

「武道家評伝シリーズ」沖縄においてすら忘れ去られつつある『手(ティー)』の歴史を綴った一連の作品『義珍の拳』『武士猿(ブサーザールー)』『チャンミーグヮー』に続く四作目。自らも空手道場を主宰する著者の沖縄空手1829年、沖縄の泊村で生まれた松茂良興作(まちむらこうさく)の一代記。

主人公である松茂良興作が生きた時代は沖縄に生きる人々にとっても苦難の歴史そのものだった。琉球処分と廃藩置県による琉球王国の消滅、というウチナーの危機の時代に、武道家としていかに生きるべきか。「この時代に手が何の役にたつのか?」興作は繰り返し自らに問い、弟子からもまた同じ問いを投げかけられる。沖縄の存立の危機は、そのまま沖縄人としてのアイデンティティーが問われることでもあった。時代の行く末の見えぬ不安と苦難の時代に、武士(ブサー)として「手」に生きる意味とは何なのかを追及した空手の真髄と沖縄のあるべき姿を追い求めた男の波瀾の生涯は感動の物語でした20179月集英社刊

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今野敏著「道標 東京臨海署安積班」

2018-03-20 | 今野敏

一人の熱き警察官の軌跡を描いた10篇の短編集

東京湾臨海署刑事課強行犯第一係、通称「安積班」そのハンチョウである

安積剛志警部補の、警察学校時代から現在の刑事課強行犯第一係長に至るまでの出来事

警察学校時代のエピソード・・・「初任教養」が面白かった。

同期の 速水やメンバーの、村雨、須田、水野それぞれの人間性がよく描かれて警察小説でありながら

班員同士の心の交流や機微が描かれていて優れた人間ドラマでした。

201712月角川春樹事務所刊

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今野敏著「精鋭」

2017-11-18 | 今野敏

特殊急襲部隊「SAT」を題にした警察小説。柿田亮は研修を終えたばかりの新米巡査。当初地域課に配属されるが自分が警察官に向いているのか悩みつつも、機動隊を志望し、ハイジャックなど凶悪事件を解決する特殊急襲部隊(SAT)の隊員を目指す・・・。

警察小説であり、一人の警察官の成長物語でもある。「失敗は許されない。敗北も許されない。SATが最後の砦だ。俺たちは軍隊じゃない。あくまでも警察官だ。闘うという意味が違う。軍隊のように、相手を打ち殺すという意味じゃない。テロリストを制圧して検挙するために戦うんだ。」機動隊に選ばれる人、訓練の様子、自衛隊との合同訓練。自衛隊員の平和についての告白や思いなどを通じた著者の見解と主人公の心理の変化など面白く読めた。

「日本人は、平和や安全がただで手に入ると考えている。平和ボケだなんて言われているが、・・・平和を切望したり、安全な生活を夢見るような世の中になったらたいへんだよ。そうならないように俺たち自衛隊員や・・・警察官ががんばらなくちゃ・・・」(P261)

2015年2月朝日新聞出版刊

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