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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

今野敏著「変幻」

2017-10-28 | 今野敏

「同期」シリーズ続編。警視庁捜査一課の宇田川亮太刑事の同期、特殊犯係の大石陽子刑事が「しばらく会えなくなる」と言い飲み会の翌日から音信が不通となった。かつて公安にいて辞めさせられた同期の蘇我と同じように・・・。

女性ながら果敢に麻薬取引の疑いのある会社に潜入捜査に入った大石の危機を、殺人事件の犯人を追いながら宇田川と公安らしい蘇我が、「同期」という同じ釜の飯を食ったもの同士の仲間意識で救出に動く展開とそれらを通じて宇田川が熟練の先輩刑事に導かれながら成長する姿を扱った物語。

ちょっとしたしぐさや行動から何か匂いを感じとる「感」が事件の解明につながっていきます。

警察組織の上下構造と、同期といった仲間意識の対比が面白い。

2017年6月講談社刊

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今野敏著「回帰 警視庁強行犯係 樋口顕」

2017-10-05 | 今野敏

 警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ。四谷にある大学の門近くで自動車の爆発事故が起こった。事件現場は、樋口の母校の側。死者と怪我人を出したこの爆発は、やがて「爆弾」によるものだったことが判明。宗教テロが疑われる中、警視庁刑事部捜査一課の樋口顕は情報収集に動き出すが、上司である天童隆一管理官から「かつての部下、因幡が『テロを防ぎたい』という電話をかけてきた」と打ち明けられる。国際テロ組織に入ったとの噂がある因幡からの電話は、今回の爆発と関連していると疑われるそんな時、娘・照美がバックパッカーで海外に行きたいという。刑事と公安が合同する大掛かりな指揮本部。民主警察の流れをくむ刑事と特高警察の流れをくむ公安とは捜査のやり方が異なるのだ。そのポリシーと手法のぶつかりあいの中双方の長所を役立て、組織連携をしていく樋口の姿が面白い。バングラデシュ人とパキスタン人の見分けなんか判るわけがないが結末はちょっと意外だった。20172月幻冬舎刊

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今野敏著「去就 隠蔽捜査6」

2017-09-21 | 今野敏

主人公竜崎伸也シリーズ8作目。大森署管内で女性の連れ去り事件、さらに殺人が勃発。ストーカーによる犯行が濃厚になる中、捜査の過程で署長・竜崎は新任の上役と対立する。家庭でも娘美紀にストーカー騒動が発生。予想不能の事態が公私に続発して・・・。ストーカー対策チームの設立、殺人事件とそれにからむ誘拐、そして娘のトラブルと相変わらずいろんな問題が一気に押し寄せ大ピンチ襲来展開です。

もちろん伊丹や戸高、野間崎などおなじみの面々も登場して楽しめた。やっぱり竜崎伸也はかっこいい!「原理原則」を貫く、たとえ変人と言われようが、合理的思考とぶれない姿勢に読後感はいつも爽快。

2016年7月新潮社刊

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今野敏著「サーベル警視庁」

2017-07-25 | 今野敏

明治387月。国民が日露戦争の行き着く先が気になるころ、警視庁第一部第一課の電話のベルが鳴り駆けつけると。殺されたのは帝国大学講師・高島で彼は急進派で日本古来の文化の排斥論者だという。同日、陸軍大佐・本庄も高島と同じく、鋭い刃物で一突きに殺されたとの知らせが。警視庁第一部第一課は、伯爵の孫で探偵の西小路や、元新選組三番隊組長で警視庁にも在籍していた斎藤一改め藤田五郎とともに捜査を進めていく。帝国大学講師・夏日漱石、小泉八雲、ラファエル・フォン・ケーベルなど明治を代表する伝説の講師陣も登場し明治らしさを醸し出す展開。やがて本庄大佐に次ぎ,怪しいと思われていた薬屋が刺殺され,状況は混沌とする。当時の警察の内情や薩長との対立も描かれ,面白い斎藤一の剣とフランス式のレイピア(サーベル)との対決は面白い。明治版隠蔽捜査?

2016年12月角川春樹事務所刊

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今野敏著「継続捜査ゼミ」

2017-07-06 | 今野敏

元ノンキャリ刑事の小早川は警察学校の校長を退任後に就いたのは女子大の教授。三宿女子大のゼミに集まった少数精鋭のイマドキ女子大生6人が挑むのは、継続捜査案件、つまり「未解決事件(コールドケース)」。キャンパスで起こる小さな2つの事件もあって、ゼミの一環として未解決事件にあたるという物語。

薬に詳しいのや武術にしいでた学生など個性的な女子大生に現役の刑事が参加し女子学生の柔軟な推理が光る。ちょっと稚拙な警察の捜査の仕方に疑問が残るが変わった設定の警察ミステリー小説でした。

2016年10月講談社刊

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今野敏著「マル暴総監」

2017-03-05 | 今野敏

“史上最弱の刑事"甘糟の奮闘ぶりに笑って泣ける〈マル暴〉シリーズ第2弾。チンピラが路上で睨みあっているとの通報を受けて、現場に駆けつけた北綾瀬署のマル暴刑事・甘糟達夫。人垣に近こうと思ったそのとき「待て、待て、待て」と大きな声がかかり、白いスーツを来た恰幅のいい男が割って現れた。翌日の夜、そのチンピラのひとりが刺殺体で発見される。捜査本部が立ち上がり甘糟とコワモテの先輩刑事・郡原も参加するのだが・・・・。

警視総監は暴れん坊将軍か。?半グレ殺人事件の捜査線上に浮かんだ意外すぎる人物に甘糟刑事は大弱りするのだが、痛快、面白い甘糟・群原キャラに惚れた。続編頼みます。

2016年5月実業之日本社刊

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今野敏著「プロフェショナル」

2017-02-18 | 今野敏

2014年にTV連続ドラマ化、2015年に映画化されたプロファイリングの担当青山翔らが活躍する「ST 警視庁科学特捜班」シリーズ。

ある大学で立て続けに発生した連続誘拐事件。解放された3人の被害者たちは、皆「呪い」をかけられたあと解放されていた。警視庁きっての特能集団、科捜研から招集された異能の5人と一人。その素顔は、警察内でも厄介視される変人集団だったが、被害者の3人の内の一人が死亡するに及んで本格的に捜査を開始する。

科捜研の6人がなじめないうちに深みのないミステリーが解決した感じでつまらなかった。

2015年5月講談社刊

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今野敏著「防諜捜査」

2017-01-15 | 今野敏

 

「倉島警部補」シリーズ.作業班への配属を任命された倉島。そんな折、ロシアの美人ホステス轢死事件が発生。警察は事故と自殺の両面で捜査を開始するが、事件はロシア人の殺し屋、オレグによる暗殺だという証言者が現れた。自分の信頼できる仲間を引き連れて事件解決に挑む倉島。国益とプライドをかけた防諜戦争の行方と、倉島は真のエースになれるのかが今回の中身。

公安捜査官の意地とプライドがぶつかり合う展開で、あまり知られていない公安警察という特殊な世界を垣間見せてくれて面白かったが、ロシアからのパイプライン、エネルギー政策などもっと掘り込んで欲しかった。2016年4月文藝春秋刊

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今野敏著「真贋」

2016-11-18 | 今野敏

盗犯を担当する警視庁捜査三課のベテラン刑事・萩尾秀一郎警部補、その部下の女性刑事・武田秋穂が活躍するシリーズ第2弾。窃盗事件の報に臨場する萩尾と秋穂。その手口を見て、常習窃盗犯・ダケ松の仕業だと見抜く。やがて、ダケ松が逮捕されるが、面会した萩尾は、その供述に疑問を持つ。どうやらダケ松には弟子がいるらしい・・・。国宝の「耀変天目茶碗」が展示されるデパートの陶磁器展で、故買屋八っ屋長治が大きな仕事を画作中の噂や二転三転する捜査。

キュレーターの資格を持つ知能犯係2課の舎人刑事などが絡み飽きさせない展開。泥臭い職人技の世界で弟子をいかに育てるかのいぶし銀の世界の話が興味深い。

キューレーターの美術館職員音川の人物像が掘り下げ不足でトリックも筋も予想がつくのが残念。

20166月双葉社刊

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今野敏著「臥竜・横浜みなとみらい署暴対係」

2016-11-10 | 今野敏

「横浜みなとみらい署」シリーズ。ハマの用心棒こと、みなとみらい署暴対係諸橋夏男係長と相棒の城島勇一は、居酒屋で暴れまわった半グレたちを検挙する。大陸訛りがあることから、東京の下町あたりを縄張りとする中国残留日本人二世や三世らが横浜に進出してきたのではと危惧する諸橋。そんな折、関西系の組長羽田野が殺害された・・・。

暴力団同士の出入りかとも懸念したが、任侠の神風会の岩倉が本庁の刑事に検挙された。監察官の笹本など何時もの面々が登場し絡む。会話調のわかりやすい展開で一気読みの面白さだが・・・あまり得るものはなかった。

2016年2月徳間書店刊

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今野敏著「マインド」

2016-09-26 | 今野敏
ある朝、出勤した警視庁捜査一課・碓氷警部補の元に都内で起こった現職警察官と中学生の自殺と二件の殺人の報告が入る。
発生時刻はすべて同じ日の午後11時頃だった。関連性を疑う第五係は、田端捜査一課長の特命を受けて独自の捜査を開始する。
その後、さらに同日同時刻に都内で盗撮・強姦未遂等あわせて三件の事件が起こっていたことが判明し同時多発事件の様相が見えてきた。
やがて心理捜査官の藤森紗英が捜査に参加。
この同時発生事件の被疑者、自殺者は皆、アクア・メンタルクリニックに通うクライエントであったことが、突き止められた。
何かこのクリニックにはあると2人は捜査を開始する。
途中で犯人は解ってしまったが動機とその方法に興味が移り先日見た米映画「Now You See Me 2」
監督ジョン・M・チュウ邦題「グランド・イリュージョン」の中で催眠術を使うシーンを思い出した。
荒唐無稽な展開だったが高度な術者なら可能かなと思わせる著者の筆力に脱帽。
2015年5月中央公論社刊
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今野敏著「チャンミーグヮー」

2016-08-16 | 今野敏
空手有段者で道場「空手道今野塾」主宰の著者が描く空手小説。
明治大正昭和を生きた沖縄空手界の喜屋武朝徳の生涯を描いた感動スポーツ小説。
廃藩置県に揺れる琉球。多くの士族が職を失う中、旧来の身分・王制に固執する頑固党と、
新体制を求める開化党の対立が深まっていた頃、高級士族・喜屋武家で育った朝徳は、父から“手”の指導を受けていた。
最初は義務感しか抱いていなかったが、次第にその魅力に取りつかれていく。
勃興する東京でも暮らし、謂れなき誹謗中傷にも晒されたりしたが、沖縄に還り、修行を続けるうちに・・・。
手(ティー)→唐手→空手と名前の変遷とともに一つの道を一生かけて極める。学べば学ぶほど奥が深くなる、限りなく続く道、
しかし限りある命、受け継いだ技・技術・奥儀を弟子に伝えていくこと。
最後は戦争の時代に翻弄され無念だったろうに。空手はしないが人生論として学ぶべきことも多い感動小説でした。
2014年9月集英社刊
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今野敏著「渋谷署強行犯係 虎の尾」

2016-07-18 | 今野敏
渋谷署シリーズ。
渋谷署強行犯係の刑事・辰巳は、宮下公園で複数の若者たちが襲撃された事件について話を聞くため琉球空手の使い手でもある
整体院を営む竜門のもとを訪れる。被害者たちは一瞬で関節を外されており、空手の使い手の仕業ではないかと睨んでいたのだ。
さらに竜門の師匠、大城が沖縄から突然上京してきた。大城もまた、この事件に興味を持っているらしい。
傷害事件の犯人を探るため、辰巳、竜門、大城は、夜の渋谷へ繰り出していくのだが・・・。
半グレ集団やホームレスへの集団暴行など絡ませて空手3段の著者ならではの格闘シーンや琉球空手の薀蓄は面白かった。
2014年1月徳間書店刊
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今野敏著「マル暴甘糠」

2016-05-06 | 今野敏

主人公甘糟達夫は、35歳の巡査部長。北綾瀬署刑事組織犯罪対策課に所属しているマル暴刑事。
ある日ヤクザ暴力団の構成員、東山源一が撲殺されたという知らせが入る。
現場の防犯カメラに映っていた不審な車の持ち主とされる男は、行方不明。署内には20数名からなる捜査本部が立ち上がり、
甘糟と、コワモテの先輩・郡原虎蔵も加わることになった。
捜査本部には、警視庁本部から派遣された捜査一課の捜査員も加わるが、捜査は思いがけない方向に展開される。
撲殺事件の裏にあるのは暴力団の抗争か、半グレの怨恨か?
人間関係に悩みながらも公務員意識が一杯なのに周囲に対する思いやりと洞察力に長けた弱気なキャラの
甘糟刑事の活躍ぶりに笑って泣ける一冊。
2014年12月実業之日本社刊

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今野敏著「自覚 隠蔽捜査5.5」

2016-02-18 | 今野敏
隠蔽捜査シリーズ第7弾。7つの連作短編集。キャリア警察官僚から降格させられて大森署の署長になった
主人公竜崎伸也の人となりを周りの部下や上司などを通じて浮かび上がらせる展開。
誤認逮捕の危機、マスコミへの情報漏洩、部下たちの確執、検挙率アップのノルマなど、大森署で発生するあらゆる事案を一刀両断、
超合理主義的な考え方に感心させられた。反目する野間崎管理官、〝やさぐれ刑事〞戸高、かつて恋したキャリアの後輩畠山美奈子、
そして盟友・伊丹刑事部長ら個性豊かな面々の視点で爽快無比な活躍が描かれている。
『自覚』。住宅街で発生した強盗殺人事件。大森署の戸高刑事は人質を取った容疑者に向けて発砲するが・・・撃てない警察という世の風潮の中、
竜崎がくだした判断は・・・の表題作他
『検挙』。検挙数と検挙率のアップの通達に問題児の戸高が果敢に挑み、大森署は大パニックに竜崎はこのパニックをどう収めたのか。
『遅漏』『訓練』『人事』『実地』『送検』。署長・竜崎伸也はぶれない。どんな時も・・・それは目標・目的・立場が明確だから
2014年10月
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