メランコリア

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少年SF・ミステリー文庫 13 死者からの声 ロイ・ハギンズ/原作 国土社

2023-05-11 19:54:34 | 
1983年初版 1986年 第2刷 内田庶/訳 装画・挿絵/平野琳人

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください








このシリーズの挿絵はほんとうにユルいなw

SFとミステリが交互に構成されている

仲の良い姉から電話があった直後に
交通事故で亡くなったしらせを受けるって
SFか幽霊からのメッセージ的な?って思ったけれども
ちゃんと謎解きだった

引き込まれて一気読みできるスピーディーな展開とボリューム


【内容抜粋メモ】

●姉からの電話




姉のドナからクレイ・ケーンの会社に電話がある 午後4時10分
夕食を作るから何時に帰るか聞く要件
掃除機の修理が来ているため騒音でよく聞き取れない(ここがひっかかる

2人はロスの同じアパートで暮らしている
姉は高校卒業後すぐにハリウッドに行って女優になったため
離れ離れになっていたが、姉がアパートに誘い
ロスでの仕事も探してくれた

5分後、ハリウッド分署のリンド巡査部長から電話があり
ストーン貯水池近くの道路から姉の車が落ちて全焼したとのこと
事件が起きたのは午後2時半頃

近くに姉のハンドバッグを見つけ、身分証明書なども入っていた
死体を確認しに来て欲しいと言う

クレイは信じがたく、姉に電話するが誰も出ない

家に戻ると、姉宛ての手紙の封が切られている
郵便配達は午後3時だからホッとするクレイ

隣りに住むルスは友だちで病気がちなため家にいる
11時に姉が遊びに来たと言う
その後、スポンサーと一緒にランチする約束があると言っていた


●黒焦げの死体





事件現場に行き、死体を見ると真っ黒に焼けていて誰だか分からない
バッグや持ち物は姉のものだが、姉の死体と認めないクレイ

車のイグニションキーがさしこまれたままなため
車が盗難されたとは考えにくい

化粧のコンパクトは、H.Wのイニシャルがあり
マネージャーのデイブの妻ヘレン・ウェインと推測する

出かける時はデイブのキャデラックを使うが
ヘレンも車を持っている
夫妻の家はこの近くの山荘(もう怪しいな

高校時代、推理クラブに入っていた経験を生かして
姉がなにか事件に巻き込まれたと考えるクレイ


●ヘレン
警察からの連絡で死体はヘレンと判明
夫デイブが確認した

2人は町で会う約束をしていたが
ヘレンの車が故障していたため、ドナの車に乗せたと思われる


●姉の手紙
デイブから電話があり、ドナが来て、金が必要だというから
手元にあるだけ渡したという
クレイ宛てに手紙を出した







その後、速達が届き、タイプで打った文章に姉のサインがしてある
(タイプは誰でも打てるからね

「昔起きた事件が悩ますようになったから
 しばらくよそへ行かなければならないが探さないで待っていて」

ルス:
お昼にはそんなそぶりはなかった
なにか隠されている気がする
tとeの文字の特徴を見たことがある







クレイは姉の引き出しにあったデイブからの手紙と同じだと気づく
会社の秘書ケイパーが打った

となると、姉はどこかに捕らわれているのかもしれない
マーテル主任に電話するがつかまらない

クレイは銃を持ってケイパーの家に行く



●電話の謎




帰宅した所に銃を持っていきなり現れると恐怖の表情が浮かぶ
バッグから姉のアパートの郵便受けのカギが見つかる

デイブに頼まれてやったと告白
サインはデイブが姉のを真似した

デイブが妻の事故死を知ったのは午後3時
2人で姉のアパートに行き郵便物を取った

デイブは死体を確認しに行く前に知っていたことになる


●思わぬ犯人
秘密を知った姉をどこかに隠しているはずだと思い
デイブの屋敷に行き、窓ガラスを割って押し入る

小さなドアを見つけて、そこにあったのはヘレンの死体だった
事故死したのは姉のほうだったと気づく

そこにデイブが銃を持って入ってきて、話を聞いて欲しいと頼む

8か月前、株で大損し、ドナの出演料を使って取り返そうとしたが
それも失敗した

ヘレンがそれを知って、ドナに言うといった

ヘレンと離婚して、ケイパーと結婚しようとしているという噂を信じて
それについても責めたため、カッとして火かき棒で殴って殺してしまった







それを見たドナは自分も殺されると思い逃げた
デイブはヘレンの車で追いかけたが
ドナはスピードを出しすぎていたためカーブを曲がりきれず落下した







恐ろしくなり、事故で死んだのはヘレンにして
ドナは行方不明だということにした

メキシコまで逃げるのを見逃してくれと頼むが
クレイは許さない

もう少しで撃たれそうになるが、ルスがマーテル主任らを連れて来る
もともと人の良いデイブは罪を償うと約束する








解説 各務三郎
本書はパズル小説(謎解き
怪談と違うのは、合理的な解決策がとられていること

現代でもタイプライターの手紙は捜査上、有力な手がかりとなっている
(そんなに機械によってクセが出るんだ/驚

スピーディーな展開は、アメリカ私立探偵小説らの影響
(例:ハメット、チャンドラー


ロイ・ハギンズ
1914年 オレゴン州生まれ
大学卒業後、映画・テレビ界に入り、かたわら小説を書いた

『サンセット77』シリーズの原作者として有名になる
ロスの私立探偵ベイリーが活躍する番組で日本でも翻訳紹介されている



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