1968年初版 大塚勇三/訳 辻まこと/画
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【内容抜粋メモ】
●きらめく地平線
ラモンじいさん:ヒツジくらいのろまな動物はないな
少年:ニワトリがいるよ
ラモンじいさん:あれは動物じゃねえ 鳥だ
少年:鳥は動物界に属してるんだよ 学校の本にそう出てるのさ
以前にくらった一撃で曲がった鼻
口にはナイフの傷跡があるラモンじいさんは
少年の祖父の代からヒツジの世話をしている
少年の父は彼が本ばかり読んでいるから
このシーズンはラモンじいさんのやることを見て覚えるんだと言い聞かせたため
2人は2匹の犬を連れてヒツジの放牧に出かけた
ラモンじいさん:
1匹のヒツジはなんでもねえが、群れは考える
いつも決まったヒツジが先頭にいて、群れはあとからついていく
ラモンじいさんはどのヒツジも覚えている
茶色い犬ペドロに向かって頭を上下に振ると群れに走っていく
手を振った方向に変えさせることもできる
若い黒い犬サンチョはその様子を見てついていく
●泉のほとり
ヒツジの群れは泉で水を飲み、2人はたき火のわきに毛布を敷いて食事する
急に出発する時も慌てずにすむよう、出したモノはすぐしまうよう少年に教える
サンチョが少年のそばで寝たのを見て、今夜から少年の犬になった
●川をわたる
川をわたる時は群れがどう動くか予測できないため用心しなければならない
指笛を1度鳴らすのは犬に命令を伝えるため、2度吹くのはこっちに来いという指示
サンチョは興奮し、無茶苦茶に吠えてヒツジに咬みついたため
群れから2頭のヒツジが離れて水に飲まれる
ヒツジは危険な時に声をたてない習性があり
ラモンじいさんはすぐに全身川に浸かってヒツジを押して群れに戻す
少年:これはボクと同じなんだ これから覚えなきゃならないんだ
ラモンじいさん:生まれつき備わってなきゃダメだ 人間だってそうさ!
少年:サンチョを連れて帰るよ 僕らはただの余計者だ
ラモンじいさん:
オレも年をとった 若いってのがどんなことか忘れていた
ラモンはすてきな水浴びをしたってわけだ
●パイプと金
ラモンじいさんはマリアが岩に体を押しつけて掻いているのを見て
両足に縄をつけてひっくり返し、タバコをふかしてアシの管を通して煙を毛に吹き込む
ラモンじいさん:ヒツジのダニさ ほかのヒツジに広がる前に退治しなきゃならねえ
※sheep tick ダニのようなハエの一種
少年がシチュウを作って食べる
ラモンじいさんは食器の片づけをコイントスで決めようと言い
表を当てて、少年が片付けようとして止める
コインは両側とも同じ模様がついていた
●燃える太陽
厳しい真昼の太陽を避けるように、ヒツジたちは頭を互いの腹の下に入れている
荷物を背負ったロバはすべてをじっとガマンすることを覚えこんでいる
2人は毛布の小さい日陰に座り、少年が愚痴ると
昔、少年の祖父とヒツジの群れを連れて
モハーベ砂漠を通った話をするラモンじいさん
先に進むほど水は干上がり、途中でヒツジはバタバタ死んでいき
1匹の犬が行方不明になった
2人はヒツジのことも忘れて、互いに起こしてやりながら
ようやく小さな水の流れを見つけて正気に戻った
もう1匹の犬が残ったヒツジを連れてきた それがペドロの祖先
山師の小屋について、瘠せたヒツジを売ったお金を半分に分けて
祖父はラモンに渡した
ラモンじいさん:
水筒から1回に飲む分は小さいコップ1つで十分
それが水を長持ちさせるのに一番いい
ひと口入れたら、しばらくそのままにしてから飲むものなんだ
ラモンじいさんはもらったお金を酒と女、博打に使ったと話す
●ヘビ
ヒツジの群れが止まり、輪の真ん中にガラガラヘビがいる
サンチョが吠えてつっかかろうとして、ラモンじいさんは杖で打って止める
杖でヘビの首を折り、ナイフでガラガラ鳴るしっぽを切り取り少年に差し出す
少年はサンチョをひどく打ったことを責める
ラモンじいさん:
犬まで死んだらなんになる?
早く動かにゃならん時に、そいつに話をしてるヒマがあったかい?
ラモンにゃ子どもはいねえが、犬を子どもみたいに思ってる
ラモンじいさんはサンチョにヘビは人間が殺すものだと言い聞かせる
少年は納得してガラガラヘビのしっぽをもらう
ラモンじいさん:
こんな暑さにヤラれると頭が熱くなって
言わなきゃよかったと思うようなことも喋っちまう
●砂あらし
ラモンじいさんは砂あらしの気配を感じて
少年に大きなハンカチを渡して鼻と口をしっかり覆って
ピッタリついてくるよう注意する
空が茶色っぽい奇妙な薄暗さになり、すさまじい突風が吹いて
顔をそむけないと息もできない
少年はつまづいて立ち上がれずにいる
ラモンじいさん:
ロバの目や鼻、強い皮は風に平気にできている
ロバの影になって歩け
土手のくぼみに避難するが、たくさんの悪魔が金切り声をあげているようで震える少年
ラモンじいさん:あれはただの風さ 風は怒りゃしねえ
ラモンじいさんは少年を落ち着かせるため
若い頃、小山の上で野牛をからかい
ぐるぐる回っている間に野牛が口から火を噴き
右足がどんどん伸びたというほら話を聞かせる
話が終わる頃にはチョロ(砂あらし)も止んでいた
ヒツジを数えると群れから離れた3匹を
サンチョが連れて来るのを見て自慢に思う少年
●コヨーテどん
疲れすぎて眠れない少年は、コヨーテの吠える声を聞いて怯える
ラモンじいさん:
犬をバカにして怒らせるのがコヨーテのねらいだ
やつはやり手で、1匹だけなのに何匹もいるように響かせる
この土地にひろがる夜の声みたいだ
少年:ヒツジの世話をしていて、時々寂しくならない?
ラモンじいさん:
1人でいることと、寂しいのはまるきり別ものだ
オレが寂しいと感じたのは、町でたくさんの人間に囲まれた時だ
オレはこの土地と住み手を知ってる
神さまのおつくりになった世界が広がってる
少年:世の中には本に出てこないことがたくさんあるんだな
ラモンじいさんは子ヒツジをなくした話をはじめる
ラモンじいさん:
いとこのパブロから酒をひと瓶もらって飲んだ
ヒツジは子どもを産んでも、自分の子だと分からないのがいるから
はじめは人間が分からせなきゃならないのに
死んだように眠っている間に7匹の子ヒツジが死んでいた
祖父の顔を見られず、そのまま逃げだして、いろんな仕事についた
ある日、ヒツジ飼いが通り、祖父の牧場に戻ると
祖父は落馬して亡くなった後だった
知らない男が「ここにはお前の働く仕事はねえ」と言ったが
少年の父は祖父の遺言を伝えた
「私ら一家がヒツジを持っているかぎり、ラモンに群れを預ける」
それからずっとヒツジの群れを太らせて
毛をふさふささせて連れて帰る
そうすりゃ子ヒツジを思い出すこともできるんだ
●寝ないヒツジ
サンチョと少年は群れを移動させるコツを覚え始めるが
5頭だけは動かすことができない
ラモンじいさん:
群れが寝る時はいつも立ったまま見張りしてる連中がいるんだ
その連中が寝転がると、ほかのが立つのさ
●オオカミ
2人はテントで寝ていると、夜中にペドロがオオカミが来たことを知らせに来る
ラモンじいさんは少年にたき火をおこして、松明を持って来るよう指示する
銃声が一発響き、少年が松明を持って行くと、ヒツジは固まっている
きっちり固まると、真ん中にいるヒツジは息ができなくなって何匹も死ぬので危険
銃弾はオオカミに傷を負わせ、森に逃げたと思われる
見に行くと、サンチョがノドを噛み切られて死んでいる
少年:サンチョがオオカミと戦ってるのに、そいつはほったらしたんだ!
ラモンじいさん:
勇ましいだけじゃ足りねえ
1匹のオオカミがあっという間に犬を3匹かみ殺したのを見た
ラモンじいさんに言われてペドロの脇腹に手を当てるとひどい傷跡がある
パブロの娘の結婚式に行った帰り、すぐ近くに灰色グマがいて襲ってきた
ラモンが銃を取る間、ペドロはクマの首に噛みついて離れず
クマは鋭い爪で張り倒し、ペドロの内臓が少しはみ出ていた
ラモンは泣きながら戻り、少年の父が医者を呼び、ペドロは助かった
ラモンはいとこのビセンテの家にペドロの子犬がいるから1匹もらおうと決める
少年はその子をサンチョと名付けようと決める
■あとがき
ジャック・シェーファー
1907年アメリカ生まれ
代表作『シェーン』(!)は映画化されて評判になった
西部開拓時代に生きたラモンじいさん
西部の人、動物、自然への愛情を描いた
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【内容抜粋メモ】
●きらめく地平線
ラモンじいさん:ヒツジくらいのろまな動物はないな
少年:ニワトリがいるよ
ラモンじいさん:あれは動物じゃねえ 鳥だ
少年:鳥は動物界に属してるんだよ 学校の本にそう出てるのさ
以前にくらった一撃で曲がった鼻
口にはナイフの傷跡があるラモンじいさんは
少年の祖父の代からヒツジの世話をしている
少年の父は彼が本ばかり読んでいるから
このシーズンはラモンじいさんのやることを見て覚えるんだと言い聞かせたため
2人は2匹の犬を連れてヒツジの放牧に出かけた
ラモンじいさん:
1匹のヒツジはなんでもねえが、群れは考える
いつも決まったヒツジが先頭にいて、群れはあとからついていく
ラモンじいさんはどのヒツジも覚えている
茶色い犬ペドロに向かって頭を上下に振ると群れに走っていく
手を振った方向に変えさせることもできる
若い黒い犬サンチョはその様子を見てついていく
●泉のほとり
ヒツジの群れは泉で水を飲み、2人はたき火のわきに毛布を敷いて食事する
急に出発する時も慌てずにすむよう、出したモノはすぐしまうよう少年に教える
サンチョが少年のそばで寝たのを見て、今夜から少年の犬になった
●川をわたる
川をわたる時は群れがどう動くか予測できないため用心しなければならない
指笛を1度鳴らすのは犬に命令を伝えるため、2度吹くのはこっちに来いという指示
サンチョは興奮し、無茶苦茶に吠えてヒツジに咬みついたため
群れから2頭のヒツジが離れて水に飲まれる
ヒツジは危険な時に声をたてない習性があり
ラモンじいさんはすぐに全身川に浸かってヒツジを押して群れに戻す
少年:これはボクと同じなんだ これから覚えなきゃならないんだ
ラモンじいさん:生まれつき備わってなきゃダメだ 人間だってそうさ!
少年:サンチョを連れて帰るよ 僕らはただの余計者だ
ラモンじいさん:
オレも年をとった 若いってのがどんなことか忘れていた
ラモンはすてきな水浴びをしたってわけだ
●パイプと金
ラモンじいさんはマリアが岩に体を押しつけて掻いているのを見て
両足に縄をつけてひっくり返し、タバコをふかしてアシの管を通して煙を毛に吹き込む
ラモンじいさん:ヒツジのダニさ ほかのヒツジに広がる前に退治しなきゃならねえ
※sheep tick ダニのようなハエの一種
少年がシチュウを作って食べる
ラモンじいさんは食器の片づけをコイントスで決めようと言い
表を当てて、少年が片付けようとして止める
コインは両側とも同じ模様がついていた
●燃える太陽
厳しい真昼の太陽を避けるように、ヒツジたちは頭を互いの腹の下に入れている
荷物を背負ったロバはすべてをじっとガマンすることを覚えこんでいる
2人は毛布の小さい日陰に座り、少年が愚痴ると
昔、少年の祖父とヒツジの群れを連れて
モハーベ砂漠を通った話をするラモンじいさん
先に進むほど水は干上がり、途中でヒツジはバタバタ死んでいき
1匹の犬が行方不明になった
2人はヒツジのことも忘れて、互いに起こしてやりながら
ようやく小さな水の流れを見つけて正気に戻った
もう1匹の犬が残ったヒツジを連れてきた それがペドロの祖先
山師の小屋について、瘠せたヒツジを売ったお金を半分に分けて
祖父はラモンに渡した
ラモンじいさん:
水筒から1回に飲む分は小さいコップ1つで十分
それが水を長持ちさせるのに一番いい
ひと口入れたら、しばらくそのままにしてから飲むものなんだ
ラモンじいさんはもらったお金を酒と女、博打に使ったと話す
●ヘビ
ヒツジの群れが止まり、輪の真ん中にガラガラヘビがいる
サンチョが吠えてつっかかろうとして、ラモンじいさんは杖で打って止める
杖でヘビの首を折り、ナイフでガラガラ鳴るしっぽを切り取り少年に差し出す
少年はサンチョをひどく打ったことを責める
ラモンじいさん:
犬まで死んだらなんになる?
早く動かにゃならん時に、そいつに話をしてるヒマがあったかい?
ラモンにゃ子どもはいねえが、犬を子どもみたいに思ってる
ラモンじいさんはサンチョにヘビは人間が殺すものだと言い聞かせる
少年は納得してガラガラヘビのしっぽをもらう
ラモンじいさん:
こんな暑さにヤラれると頭が熱くなって
言わなきゃよかったと思うようなことも喋っちまう
●砂あらし
ラモンじいさんは砂あらしの気配を感じて
少年に大きなハンカチを渡して鼻と口をしっかり覆って
ピッタリついてくるよう注意する
空が茶色っぽい奇妙な薄暗さになり、すさまじい突風が吹いて
顔をそむけないと息もできない
少年はつまづいて立ち上がれずにいる
ラモンじいさん:
ロバの目や鼻、強い皮は風に平気にできている
ロバの影になって歩け
土手のくぼみに避難するが、たくさんの悪魔が金切り声をあげているようで震える少年
ラモンじいさん:あれはただの風さ 風は怒りゃしねえ
ラモンじいさんは少年を落ち着かせるため
若い頃、小山の上で野牛をからかい
ぐるぐる回っている間に野牛が口から火を噴き
右足がどんどん伸びたというほら話を聞かせる
話が終わる頃にはチョロ(砂あらし)も止んでいた
ヒツジを数えると群れから離れた3匹を
サンチョが連れて来るのを見て自慢に思う少年
●コヨーテどん
疲れすぎて眠れない少年は、コヨーテの吠える声を聞いて怯える
ラモンじいさん:
犬をバカにして怒らせるのがコヨーテのねらいだ
やつはやり手で、1匹だけなのに何匹もいるように響かせる
この土地にひろがる夜の声みたいだ
少年:ヒツジの世話をしていて、時々寂しくならない?
ラモンじいさん:
1人でいることと、寂しいのはまるきり別ものだ
オレが寂しいと感じたのは、町でたくさんの人間に囲まれた時だ
オレはこの土地と住み手を知ってる
神さまのおつくりになった世界が広がってる
少年:世の中には本に出てこないことがたくさんあるんだな
ラモンじいさんは子ヒツジをなくした話をはじめる
ラモンじいさん:
いとこのパブロから酒をひと瓶もらって飲んだ
ヒツジは子どもを産んでも、自分の子だと分からないのがいるから
はじめは人間が分からせなきゃならないのに
死んだように眠っている間に7匹の子ヒツジが死んでいた
祖父の顔を見られず、そのまま逃げだして、いろんな仕事についた
ある日、ヒツジ飼いが通り、祖父の牧場に戻ると
祖父は落馬して亡くなった後だった
知らない男が「ここにはお前の働く仕事はねえ」と言ったが
少年の父は祖父の遺言を伝えた
「私ら一家がヒツジを持っているかぎり、ラモンに群れを預ける」
それからずっとヒツジの群れを太らせて
毛をふさふささせて連れて帰る
そうすりゃ子ヒツジを思い出すこともできるんだ
●寝ないヒツジ
サンチョと少年は群れを移動させるコツを覚え始めるが
5頭だけは動かすことができない
ラモンじいさん:
群れが寝る時はいつも立ったまま見張りしてる連中がいるんだ
その連中が寝転がると、ほかのが立つのさ
●オオカミ
2人はテントで寝ていると、夜中にペドロがオオカミが来たことを知らせに来る
ラモンじいさんは少年にたき火をおこして、松明を持って来るよう指示する
銃声が一発響き、少年が松明を持って行くと、ヒツジは固まっている
きっちり固まると、真ん中にいるヒツジは息ができなくなって何匹も死ぬので危険
銃弾はオオカミに傷を負わせ、森に逃げたと思われる
見に行くと、サンチョがノドを噛み切られて死んでいる
少年:サンチョがオオカミと戦ってるのに、そいつはほったらしたんだ!
ラモンじいさん:
勇ましいだけじゃ足りねえ
1匹のオオカミがあっという間に犬を3匹かみ殺したのを見た
ラモンじいさんに言われてペドロの脇腹に手を当てるとひどい傷跡がある
パブロの娘の結婚式に行った帰り、すぐ近くに灰色グマがいて襲ってきた
ラモンが銃を取る間、ペドロはクマの首に噛みついて離れず
クマは鋭い爪で張り倒し、ペドロの内臓が少しはみ出ていた
ラモンは泣きながら戻り、少年の父が医者を呼び、ペドロは助かった
ラモンはいとこのビセンテの家にペドロの子犬がいるから1匹もらおうと決める
少年はその子をサンチョと名付けようと決める
■あとがき
ジャック・シェーファー
1907年アメリカ生まれ
代表作『シェーン』(!)は映画化されて評判になった
西部開拓時代に生きたラモンじいさん
西部の人、動物、自然への愛情を描いた