この時期、冬の到来を告げる、西高東低の冬型が2週連続で海を荒れさせ、波高4m以上&強風で手も足も出なかった。
そんな天候も3週目に突入 「今週末もダメか?」と意気消沈していた。
今週の金曜日(16日)は絶対に海に行きたいという思いがあった。それはなぜか・・・・・
私事ですが、隊長の誕生日が17日で、16日20:00時位から釣行開始・・・・翌17日00:10分まで釣りをして(4時間10分勝負)
誕生日を現場で迎えたいという思いがあった。おっっさんが誕生日と言うのもおかしな話だが、釣り好きなだけに、現場で・・・しかもここの所大荒れで釣りも出来ていないし、尚更という思いが強かった。
その旨 佐助君にメール入れるとやっぱり彼は二つ返事で 了解 と・・・・・
今回 釣り用車を小さいながら、フルフラット190cm確保出来る車に変更。モンベルスリーピングマット、寝袋、ISUKAノンスリップピロー まで用意。最悪車で帰りは寝れる態勢を整え出発する事にした。もちろんタイヤはスタッドレスタイヤに交換済み。
波高は2m弱予想 風はフォロー(微風) 天候弱雨 こんな天候に釣りに行くなんてアホです。
しかも海の状態は3週間近く、かき回され 底荒れ状態。 サーフも砂浜では、砂が巻き上げられ しかも2mの波高 勝負にならない。
頭のCPUがオーバーヒートする位、過去の記憶 カン 情報 をかき集め場所選定。 集合場所を佐助君にメール。佐助君は出遅れており20:10分 一人で、ポイント入りする事に。
装備を整える為に車から出ると、「ごぉぉぉぉーーーーーーーーーーっっ どぉばあんーーーー」と波が 近づいて砕ける音が。ここまでハッキリ聞こえると恐い。 恐る恐るポイントに立ってみると 立ち位置より沖に高く波が見え、近づき 立ち位置先5mで砕ける。 キャスト前なのに、頭から砕けた波を被る。フードは被っているものの、全身ずぶ濡れ まあ浸透率が良いジャケットなので、中まで海水は入らないが、顔は(顔を洗った時のように)びしょ濡れに・・・・・
上に乗れるような小さな岩を探し、その上にポジションをとる(ちょっとでも波被らないための)
ルアーは少しでも水噛みが良いルアーを選定 そうしないと沖で波にもまれてしまう。
20:10分 一人でキャストを開始する。
竿のティップ位置を頭の位置より高くして、ラインを少しでも波にとられないように操作する。
20時40分佐助君も合流
いつの間にか雨雲も去り、空には満天の星が・・・・・・
少しの間そのまま見上げていると、空にはこんなに沢山の飛行機が飛んでいるんだと驚く・・・・・
点滅光がいろんな方向に去っていく・・・・・ 見える範囲で数えてみるとざっと7機。 結構空も渋滞気味なんだなぁーーーーと・・・・
一晩数時間釣りするだけで、流れ星など数えきれないほど見える。
1分間空を見上げていれば最低でも1つは見える。
時に・・・・・
火球を見る事も。流れ星はすーーっと流れ すーっと消えるが、火球は間違いなく燃えているのが見え、大きさも大きく、水平線まで消えない。燃え尽きないという事は、大きさも結構あるんだなと・・・・・・
普段日常でもなかなか経験目撃出来ない事が、海で釣りしてると難なく体験できる。
日常の嫌な事すら 海に向かっていると小さな事に思えてしまう。 人間なんて まして一個人なんて自然と比べたら本当に小さなものだと感じる。
そんな事思いながら びしょ濡れでも 集中して釣りしてたら 早くも時刻は23:55分 後5分で誕生日だし、後15分で初めに予定したタイムアウト時間だ。
「そんなに都合よく誕生日サプライズなんて起きないよなぁー 開始から3時間55分経過 アタリはたった1回 その後2時間たってるし」
そして無事誕生日を迎え8分経過 もうさすがにびしょ濡れで寒いし、誕生日も現場で迎えられたし そんな事思っていた瞬間
バースディーサプライズがおきたのです
クゥン アタリが来た。
ハッとする俺
瞬間 竿を大きくあおる 2発 3発合わせを入れる 乗った。
竿から俺の腕に重さが伝わる
「重いっ そしてこれはデカイ 頼むこれは採りたい よーし 奇跡だ あのあたりが取れたよ まじかよ ほんとうかよ? いろんないろんな思いが脳内で爆発する」
竿がギンギンに絞られる 「えっ?」
そう思った瞬間 ドラグからライン放出 まさに放出という言葉しか思い浮かばない ドラグ音が止まらない・・・・
「まじかよ 頼む止まれ 止まれ これは採りたい 頼む止まれ」
魚は そんな俺の思い裏切り沖へと走る。
竿は最高状態に曲がり 魚の走りを吸収 逆にリールの方はたまったもんではない。
隊長スタイルに締め込んだドラグにもかかわらず このパワーを受け止められない。
PE1.2号 沖にもいたるところに根がある
これ以上はライン出せない そう判断から 魚の頭方向をこっちに向けるべく 竿を立て 手前に竿のバットでパワーを受けつつひじを曲げ受け止める。
1瞬魚は動きを止め こちらのラインの動きに誘導される。
「よし 魚こっち向いた いけるか?」
その瞬間 だんっ という1瞬のラインの緩み
これは 1つのフックが口からはずれた合図。
そしてもう一度竿に重みが伝わる 魚は外れてはいない が・・・しかし もう口に掛っているのは間違いなく1フックのみ。沖に走られたままで 手前に頭方向を向けただけで 何も巻き取れていない。
ヒット位置沖45m 沖に確実に最低でも25mは走られ、今の魚の位置は沖70m そして1フックのみのフッキング。
俺の中に気の迷いがあった、、、、、そしてその迷いは竿からラインにそして魚に通じた。
ここで大きく勝負して魚を強引に寄せたら 口に掛っているフックは 間違いなく伸びるか、口切れを起こすか いずれにしても魚をばらすことになる。
自分の中に欲もあった ぜひこの大物を誕生日のメモリアルフィッシュにしたい・・・・・そんな欲は 自然の中で生き残ってきたビックフィッシュに通じるわけもなく あさはかな俺の欲が負けた。
魚は左に大きく走る走る、 しかも合わせ技で手前方向にも一気に走ったのだ・・・・・・・
あわててラインテンションをOFFにしないように 高速でラインを巻きとる。
1フッキングになり弱気な俺と、捕りたいという欲まみれの俺の考えすら嘲笑うように 大きく根の向こうに魚は走る。
キャスト時に沖30m 左30度に水面から顔を出す大きな根(岩礁)を確認していた。
魚はその根の沖をさらに左に大きく走る。
その結果
PEラインはピーンと張った状態で、根に触れた。 その瞬間 テンションOFF(細いPEラインが根に触れて切れた)
竿先から あの物凄い重み トルク が解き放たれ、何もなかったかのように、竿は真っ直ぐな状態に戻る。
「あぁーーー」
「はぁーーー」
「やっちまったーー」
リールを巻く 何の重みももちろんなく ラインが巻き取られ その先には魚どころか もちろんルアーすら付いていない。
「なぜここで 捕れない?」
そして虚脱感・・・・・・
タバコでも吸っているのなら ここでまさしく1プクつけたい程の虚脱感だ・・・・・
そしてサーフに座りこみ 放心状態に・・・・・
「でかかった・・・・・・」 後の祭り・・・・・
佐助君がアシストに来てくれる・・・
「隊長 ヒットですか? 遠くに居たし、波の音でよく声が聞こえず 落ちた???と聞こえ・・・・・」
「うん ヒットして ファイトして バレタ 大きかった」
「まじっすか?」
「うん まじです」
メモリアルフィッシュ逃がした残念さは半端でなかった。
ここで、止めていたら何もドラマは起こらなかった。
しかし 不思議と 逃がした残念さより、魚は居た の気持ちが勝っていたのだ・・・・
そして第2幕のドラマが待ち受けていた・・・・・
いや ドラマを引き寄せたのだ・・・・・・
10分ほど佐助君と休憩した後 再度キャストを開始。 今度こそ捕る為にヒット後のラインブレイクを避けるため、キャスト位置を右に10m移動。沖に根が無い事を目視で確認。 立ち位置も確認。再度ヒットした場合この波では、ネットインは難しいため、波のタイミングで浜にずり上げる事とするが、その際大きな石等があればその位置でまたもやPEを切ってしまう。慎重に魚をずり上げる位置を想定する。
ヒットルアーはロストしてしまったので、先ほど魚に見せたルアーとは根本的に違う泳ぎをするルアーで誘いをかける事にする。要するに魚に見せすぎないと言う事だが・・・・・
キャスト再開。
17分後
フルキャスト ラインスラッグをすぐに取り、小さく誘いを入れ スローにまき始めた瞬間 違和感・・・・・・
りールの巻きスピードを若干速く そして再度スローにした瞬間・・・
「ぐん」 ルアーを押さえ込むアタリ・・・・・・
すかさず大あわせ2発
「よしのったぁーーーー」
「ヒットー」
今度は竿は絞り込まれるものの そんなにドラグは出ない・・・・・・・
それでも竿を左に倒し 右に倒し 慎重に寄せる・・・・・・・
手前10mに寄ったところで、再度ドラグが出て 沖に逃げようとする。
10m先の攻防・・・・・
竿先にも先ほどもの重みはないが、それでも十分パワフル・・・・
手前3mまで寄ったところで、ヘッドライト点灯。 竿で魚をいなしながら、沖から来る大波を待つ。
この波を待つ時間が長い 魚もなんとか逃げようと必死だ・・・・・
約1分後 沖に白い波頭がみえた 段々近づいてくる大波。
ここで魚のフッキング確認 テールフック1本 やばい
波が近づいた瞬間 竿のバットパワー全開で 波に乗せ 波際にずり上げる。
波は岩間でさく裂し 白く砕ける。1瞬魚の姿を見失う。
「何処だ?」 波が引いた瞬間 個体確認 「太い」 そしてずり上がった個体は 暴れ フックアウト・・・
逃してなるものか
あわてて 岩間に手を入れ 魚体を両手でつかみあげた。
「太い」丸々太った最高の魚体だ・・・・・・ ランカー・・・・・
獲った (本人はずぶ濡れ状態でも最高の一瞬 この1枚で防水カメラ故障)
最高のサプライズ ランカーだ・・・
まず1本目 (納竿時撮影)
そして いよいよなんかいけそうな感じ・・・・久々の爆釣か? こんなサプライズはありか??
キャスト再開
5投目
アタリ これは逃す・・・・
そして20分もたっただろうか?
違和感 「いる 確実に居る」
そこで先ほどと同じ リーリングにアクセントをつけて誘ってみる。
「ドン」 ドストライクな強烈なアタリ (ゲット後確認 ルアー丸飲み すごいアタリが出るはずだ)
今回は1本目よりさらに重い トルクもある
竿がしなる ドラグが出る しかしドラグが出て止まらないわけでもないが・・・・・重い 竿が魚の重みで悲鳴を上げる。
20m先の攻防を制し、先ほどと同じ要領で 波を待つ 今回は余裕もある。
ライトを照らし魚体を確認 ルアーを丸飲みしている しかも1本目よりさらに大きい。
ライトにびっくりした魚は暴れるが、その瞬間波が来て 一気に波に乗せ陸地にずり上げる。
「でけーーー さらにでけーーーー」
太りすぎの魚体は圧巻だ。
「やったぁーー 」全身から力が抜ける
2本目 太い 太すぎるだろこれは・・・・
2本持ち 重すぎるだろこれは。(顔がひきつっている)
am2:00 隊長納竿
もう満足 大満足。
防水カメラが1枚撮ったら不具合を起こしたため(そりゃーずーっと海水に濡れてれば不具合も出るはず)
車に戻り装備を外し 服を着替える。
予備のカメラを持って 普段着のままで、ポイントに戻る。
私が釣った横に 「ん? もう1匹横たわっている魚が」
そうなんです
隊長がカメラを交換しに車に戻っている間に 佐助君が1本上げていたのです。
「うーーん残念 ファイト見れなかったぁー」(ここの状況は佐助君がコメントで書いてくれるはず)
2:30分魚をジギング用大容量クーラーBOXに収め、現場を後にしました。
大満足の誕生日釣行だった。
佐助君の1本