原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

久々に…「こういう人は落ちる」

2011-09-02 | 勉強法全般
9月,これから試験までの勉強の方向性を定めるにあたって大事など思うことを徒然に。かつて何回か書いた,「こういう受験生は落ちる」形式に書いていきます。

1.「フルに書く」練習をしない人

散々言われますが,LS経由の受験生の弱点は,書く練習が足りないことです。起案能力不足,実戦力不足などとも言われます。昨年,1000通くらいの答案を採点しましたが,本当にそれを痛感しました。「持てる力が100だとすると,50くらいしか答案に反映できていないんだろうな」という答案も多かったというのが,率直な感想です。それから,国語力に問題のある答案も多く目にしました。

これらは,「書き慣れる」ことで,ある程度のレベルまでは持っていくことができます。また,フルに書くことによって,自分が誤解していた点,また,新たな疑問が明らかになります。フルに書く収穫は,非常に多いものです。

大袈裟に言ってしまうと,解答例を読むだけでは,ほとんど意味がありません。法理論を自ら構築していく力は養われないのです。解答例を目で追うだけの勉強を重ねていると,単に規範を述べるだけ,単に事実を拾うだけ,事実の評価がピントをはずれた答案を作成しやすくなってしまうように思います。合格は遠のきます。

特に年内は,じっくりと腰を据えて書く。これが大事であり,書くことを「体が覚える」ようになれば,合格は勝手にやってきます。

2.短答に専念してしまう人

短答対策は,もちろん重要です。条文も,しっかりと読み込まなくてはいけないし,判例を正確に理解することは,合格のために不可欠です。ただ,短答だけに専念してしまうと,どうしても「覚える」ことが先行してしまって,法的思考力が減退してしまうように思います。短答が目下の課題である方も,一定のペースで,長文事例を読んで頭をひねることが大切です。

3.情報の取捨選択ができない人

この先,様々な情報が飛び交います。あの本がいい,あの答練がいい,といったことから,来年の出題予想まで,様々な情報が飛び交います。そういった情報に振り回される人は,合格率が低いように思います。有名な話では,かつて,「問題文を書き写せば受かる」なんて言われたことがありましたが,よく考えてみれば,これはとんでもないことであるのは明白です。裸の事実それ自体は意味を持ちません。法的な評価・分析・意味づけがあってこそ,法律要件の該当性が論証できるのです。大事なことは,様々に飛び交う情報に対し,自分が納得できる形で受け入れられるかどうか,です。その判断力こそが,合格への方向へ進むか,不合格への方向へ進むかを決するように思います。

発表が終われば,平成24年試験は本格的な準備期間に突入します。着実に,合格に向けて進んでください!

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